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短編2
「ワタシはあなたが嫌いなの」
彼女はそう言って笑った。
なぜなんだい?と僕は尋ねる。
「それくらい自分で考えなさいよ」
そんなことを言われたが僕の頭では考えたところで彼女の答えにはたどり着けないと分かっているので数秒考えたふりをした後僕は彼女に再度聞いた。
「だってあなた、分けが分からないんですもの」
分けが分からないと言われてもそれこそ分けが分からない。
「あなたの考えはワタシの考えとはそもそもが違うし、ワタシの考えはあなたの考えとはそもそも違うのよ」
確かに僕は彼女の考えが分かった例がない。
今でもなぜ彼女がそのことを別れの理由に使ったのか分からない。
僕としては彼女の考えが分からずとも別にどうでもいいことだと思うのだがどうやら彼女にとっては大事なことのようだ。
「だからワタシはあなたが嫌いなの」
そんなに嫌い嫌いと連呼されたら流石の僕でもいくらか照れてしまう。
「別れましょうよ」
彼女は笑顔で言い放つ。
僕は答える。
「僕と君は付き合っていないけどね」