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夢科学研究室のある校舎から夢融合炉のある場所まではとてもゆっくり歩いたとしても、五分もあればたどり着く。その道すがら、ぼくは夢野博士から夢に関する不思議な一例を聞かせてもらった。やはり死ぬ夢の話だ。
細かな内容は憶えていない。なぜ、そんな話を忘れてしまったのかも不思議だが、とにかくぼくは忘れてしまった。夢融合炉の前にたどり着いたときには、夢野博士との会話もすべて記憶から消えていて、ぼくは少し「おかしいな」と感じはじめていた。そんなぼくを尻目に夢野博士は合図した。
「それじゃあ、炉を始動するよ。覚悟はいいかな」
「覚悟って」
「目覚める覚悟だよ。夢融合炉の本当の目的は、この夢世界を現実世界と融合し、われわれ夢の住人がその夢物語を現実へと転換するためにあったんだ。この炉だって、君の夢見た……いや、出会った女性だって……この炉の力ですべてが現実になるんだよ」
と、夢野博士が懐から車のキーを一回り大きくしたような鍵を取りだした。夢融合炉のエンジンキーに違いない。それを博士が炉の外壁にある鍵穴に差し込み、かちゃりと音がするまで回した……
光。爆音。衝撃。
瞬間、ぼくは夢融合炉が爆発したことを悟った。
ぼくは死んでいた。




