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中から返事は聞こえなかった。そっとドアノブを回し扉を開ける。部屋の明かりは点けっぱなしで、奥にある博士の机で、夢野博士は椅子の背もたれに寄りかかり、
「ふう、」
と一息ついたところだった。
「博士、失礼します」
「おお、タツマ喜六くんか。いいところに来てくれた。これを見たまえ」
博士の手にしていたのは夢新聞だった。
「あっ、それならぼくも持っていますよ。ほら」
「それなら話は早い。一面は見ただろう」
「ええ、驚きました。ぼくが死ぬなんて」
「いや違う。ここは夢世界だ。夢の中で死とはいい意味を持っていることが多いんだ」
「そうなんですか」
「いわゆる逆夢の仲間だと思えばいいんだ。君、近々いいことが起きるよ」
「そんなものですか。ぼくは死ぬのが怖くて、夢融合炉を本格始動させようとしたり、夢山首相と会って話を聞こうとしたり……自分の死を阻止するための方策を色々と考えていたんですが」
「要らぬ心配だよ。第一、ここは夢新聞が発行されるような夢世界なんだよ。仮にそこで死んだとしても、現実世界の君が死ぬようなことはない。いや、むしろその逆の、思いもしなかったようないいことが起きるかもしれないな」
言って夢野博士はこう付け足した。
「それならこれから一緒に夢融合炉を始動しに行こうじゃないか」
「ぜひ、ご一緒させてください」




