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第6話 テスト程めんどくさいものはない

テストが始まり、かったるいなと思いながら問題を解いていく。教室中、カリカリと言う音だけが響く。あの全員が集中して解いている雰囲気は久しぶりだ。


(勉強会しといてよかったな、なんとかわかる。)


内心でそう呟きながら解いていく。赤点取らなきゃいい、資格さえ取れればいいとは言ったが、もう少し勉強しとけば良い学校に行けたよなぁ。とも思うんだよ。


(しかし理数系はやっぱ苦手だな、ま、赤点取らないように頑張ろ。)


窓から熱い陽射しを浴びながら、とりあえず解いていく。50点は目指したいからな。平賀はペン回ししながら考え、島村は悩みながらも解いている。…?1人スラスラ解いてる女子がいるぞ?まじか。しかし進学向けの学科だからすげえな。解くの早えやつは早えよ。


チャイムが鳴り、全てのテストが終わる。クラスメイトの誰かの「やっと終わったー!」が響き、「どうだった?」や「難しくね?」と言う会話が聞こえる。俺も疲れたから机に突っ伏す。


「久川、数学どうだった?」

「とりあえず35点は行けたな。次は40点を目指そう。」

「70点目指そうぜ?」


平賀が苦笑しながら肩をこづいてくる。


「お前は何点いけるよ?」

「80はいけたかな、けどこれから難しくなるから気合いを入れないとな。」

「へっ、言うじゃねえか。俺も天才目指すか?」

「なら真面目に授業受けろよ?解き終わったら寝てたじゃん。」


2人で笑い合う。良いじゃねえの、解けて終わったら寝るの。寝てるやつ何人かいたぞ。しかし普通科は進学率が高いらしいな。80〜90%は進学するとか言ってたな。まぁ俺も就職考えると専門学校に行くことを考えるけどよ。就職のことも考えて3年になったら即座に玉掛けとクレーンの特別教育取りに行くけどな。前の世界でも持ってたんだ。就職と転職に便利なのよ?18歳以上から取りに行けるし。後フォークも取りに行かんと。


「一ノ瀬さん、本当にありがとう!なんとか赤点免れそうだよ!」

「良かったわ、またテストが近い時勉強会しましょう?次の期末テストで赤点取ったら意味が無くなるから。」

「また僕の家でやろ?良い点数取りたいしね。」

「うん!これで安心してアルバイト探せそうだよ!」


良かったじゃないか、金稼ぎたい年頃だし、欲しい物いっぱいあるもんな。


柊が俺と一ノ瀬に近づいてくる。


「この前相談に乗ってくれたから自信がついたよ。」

「良かったわ、お互い頑張りましょ?」

「うん!」


柊と一ノ瀬が微笑み合う。島村が俺のところに来て肩を掴んでくる。おいおい、テンション高いな。


「と言うわけで冬川、後でバイト先探すの手伝ってね!」

「おいおい、テストの結果出てからだろ?まぁ任せときんしゃい。」

「冬川さん、見つからないようにね?」


冬川が先走り、一ノ瀬が呆れながらも微笑む。掃除して帰りますか。


2日後、テストが返される。うん、数学、理科、英語は35〜50の間だ。社会は75点、残りの国語は70点台くらいか、文系は得意だったから悪くないだろう。クラスメイト達も受け取ると千差万別の反応で喜ぶ奴や落ち込む奴もいる。70点で絶望してるやつは死ねばいい、バカを舐めるな!50点で喜ぶ頭悪い奴らを舐めるな!休み時間、5人で集まり、結果報告をする。


「よかった〜、本当に赤点免れたよ〜。」

「俺もだけどな。」

「見せてみなさい。」


机に突っ伏しながら島村が安堵している。一ノ瀬が俺のテスト結果を見て眉を顰める。しかもその後本気で呆れ果てたため息をついて。やめて、泣きたくなるから。頑張ったんだから。


「英語31点ってあなたね…」

「赤点免れたから良いじゃないの。それより島村、良かったじゃないか、今夜は赤飯だな。」

「お祝い事にするの!?」

「嫌か?」

「嫌だよ!」

「これでお祝いできるなら私はなんなのよ?」


一ノ瀬が呆れながらも口元を抑えて笑い、島村が笑いながら肩をこづいてくる。「ほんとあの5人仲良いよね〜。」と1人の女子が俺たちを見てきて、クラスメイトたちもクスクス笑う。


「柊は何点だ?」

「僕は70から80の間だよ。」

「やるじゃないの。」

「一ノ瀬さんは?」

「今のところ90点台よ。一つは100点取りたいわね。」


クールに言いやがる。多分逆立ちしたって勝てやしねえよ一ノ瀬には。頭良すぎるだろ。


「後で順位出るから最下位は飯を奢りだな」


ニヤニヤしながら言うと柊と平賀は吹き出し、島村は「それ絶対あたしかあんたで決まりじゃん!」と頭を抱える。クラスメイトの男子の1人が「クラス全員に?」とジョークを言ってくると俺は「借金まみれになるわ!いつものメンバー限定だわ!破産するわ!」とツッコむ。「破産ってなんだよ!?」や「何それ!」と笑いながら言われ、爆笑の渦を出すとチャイムが鳴り、授業を受ける。


社会が返され、順位が出る。今日は5時限目までなので掃除の後、5人の順位を確認するために集まると一ノ瀬が愕然としていた。


「どうした?1位取ったんか?」

「いや‥2位よ。自信はあったのだけど。」

「嘘だろ?1位すげえな。」


5人の間でざわつく。マジか?俺マジで一ノ瀬だと確信してたぞ。冗談抜きで。


「まじで?一ノ瀬さんが1位だと確信してたけど…」

「誰だろう‥」

「凄いね‥だって一ノ瀬さん合計で467点だよ?アタシなんて256点なのに」

「さりげなく俺に6点勝ってんじゃねえかおおい!?」

「さりげなく最下位確定してるじゃない」

「言わないでくれ、虚しくなってくるから。」

「だったら勉強しなさいよお馬鹿。まぁ赤点免れたことは褒めるけどね?」


一ノ瀬がクールに、口元に人差し指を当てて微笑みながらジョークを俺に言ってくる。やかましい!さりげなく俺の提案の奢り確定してるし、お馬鹿はねえだろお馬鹿は!泣くぞ!そんな事はどうでもいい、1位は誰だ1位は?そういや異様にスラスラ解いてた娘がいたな‥確か早坂…誰だっけか?


「とりあえず帰ろうぜ?金曜だし飯でも食ってこうよ。」

「いいねー!ファミレス行こうよ!」

「僕も大丈夫だよ!ゆっくりできるしね!」

「俺はラーメン食いてえ。もしくは中華。」


俺と一ノ瀬も頷き、教室を出ようとすると1人の女子が目に入る。この前ぶつかった女子じゃないか。その子は少しだけこちらを、特に一ノ瀬を見てたが偶然俺と目が合うと恥ずかしそうに、申し訳なさそうに顔を背けた。


「どうしたの?」

「いや…」


伝えるべきか?一ノ瀬に目を合わせる。キョトンとした顔をしてきたので流石に事情を伝えた。


「いや…あそこの女子が見てきてたんだよ、特にお前を。俺と目があったらすぐ逸らされたんだけどよ。」

「早坂さん?なんで私を?」

「わからん。」


あまり目立たないやつなのはわかる。休み時間中誰とも話さないで読書してるし、基本1人で行動してるからな。


「ちょっと行ってみるわね。」

「どうしたのかな?」


一ノ瀬が早坂の元に近づく。早坂は驚いて固まっている。


「ごめんなさいね。私に用があるのかと思って、勘違いだったら謝るわ。」

「い、いえ…その…。あの…。」

「落ち着いて、何もしないわよ?もしかして‥あなたが1位の?」

「は、はい…そうです。その…一ノ瀬さんとお話をしたいな‥と思ったのですけど、申し訳なくて…」

「何が申し訳ないのよ、私に勝った事?」


早坂が頷く。「私みたいのが‥ごめんなさい」と俯きながら呟いている。


「なんで謝るのよ…むしろ燃えたわ?私ももっと頑張ろうと、モチベーションが上がったわよ?ねぇ早坂さん、好きな物とかある?」


一ノ瀬が早坂に微笑み、好きなものを聞く。


「れ、恋愛小説なら…推理物も…」

「あら、気が合うじゃない。私も恋愛物って好きなの。ちょっと待ってて」


一ノ瀬が悪戯っぽく早坂にウインクするとが俺達の元に戻ってくる。平坂さんの方を向き、頷く。


「もし良ければ、早坂さんもいいかしら?仲良く慣れそうだし、友達になりたいから。」

「勿論、歓迎だよ。」

「うん、僕もいいよ!聞こえてたけど恋愛物が好きなら僕とも気が合いそうだもん!」


平賀と柊が頷く。柊は特に趣味が合いそうだから喜んでいる。良かったな柊、新しい友達ができるじゃないか。


「アタシもいいよ!勉強教えてもらいそうだし!」

「俺もいいぞ。しゃーねえ、俺が早坂さんにも美味いもの奢ってやらぁな。ちったぁお前らにサプライズってものを教えてやる。」


5人が俺を見て口を丸く開ける。柊が「…サプライズ?」と困惑している。島村と平賀は顔を見合わせ、早坂と一ノ瀬も困惑している。安心しな、社会人の頃、よく1人で美味い飯屋を探す旅をやってたからこの世界でも休日に楽しんでたのさ。保証する。


「まぁ美味い飯屋だよ。良い店だからな。確実に気にいると思うぞ?俺に任せな。ファミレスより気にいるぞ。」

「わかった、任せるぜ。」


俺と平賀で拳をコツンとぶつけ合う。早坂はそれなりの人数で行動する事に慣れてないのか、それとも初めてなのかは分からない。顔は赤くなり、緊張している。夕陽を浴びている教室で、俺たちを見る。目元は前髪で隠れて、話すのも苦手なのかバックを抱えてモジモジしている。


「あ、あの…早坂葵です。よろしくお願いします…。」


ズレたメガネを直し、地味だけど真面目な雰囲気のある彼女らしい柔らかい笑顔を見せる。島村が真剣な顔になると「可愛い‥化粧とかメイクを教えたら化けるかも。」という。あ、燃えてんなオメー。


「ええ、よろしくね早坂さん。」

「よろしくね!私とも仲良くしよ!」


早坂は礼儀ただしく挨拶し、一ノ瀬と島村が微笑んで握手する。しかしギャルと真面目っ子が仲良くなるって余り見た事ないな。まぁそこはアレかもしれんな。


「それじゃ行こうぜ、ATMにも行かなきゃならないからな。」

「マジで奢ってくれるの!?」

「当たり前じゃ!提案者が奢れなくてどうする!流石に提案しといて奢れないは恥ずかしいなんてもんじゃねえぞ!?」

「ザマミロー!次も勝つもんね!」

「許さん!次こそ勝つからな!このままでは終わらんぞ!!」


俺と島村の馬鹿会話に全員が笑う。早坂さんですら口元を抑えて震えている。

新しい友達が出来た。濃いメンツだが、まぁいい。さて、「美味い飯屋」に行きますか。楽しもうぜ?


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