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第4話 勉強会というのはなんだかんだ楽しい

コンビニでお菓子やジュースを全員分購入して、また駅の方に向かう。待合室で暇つぶしのためにスマホを取り出す。


「あら、先についてたのね。」

「今着いたのか。」

「ええ、冬川君は随分早いわね?それは‥お菓子?」


一ノ瀬が待合室に入ってくると俺の買ったお菓子や飲み物を見て目が丸くなっている。


「1人で食べるの?」

「そんなわけあるか。みんなの分だよ。それに、4人も行くんだからさ。」

「そうね、みんなの分を買ってくれてありがとう。後でお返しするわ。」


そう言うと俺にウインクしてくる。堅物なのに可愛いじゃないの。しかしまぁ私服姿も清楚だなオイ。そう思いながら、2人で談笑していると島村と平賀も来る。


「やっほー、2人とも早いね!」

「ごめん、待った?」

「いや大丈夫だ。」


4人が揃う。島村が俺の服を見て「ポロシャツにジーパンっておっさんじゃん!?」と言ってくる。いいじゃねえか、シンプルで!島村のツッコミに内心泣きそうになったその時、柊がきた。


「皆おはよ!」

「柊君、おはようございます。今日はよろしくお願いしますね?」

「よろしくな柊。」

「柊君、よろしくね〜」


みんなが挨拶する。俺は軽く「ヨッ」と手を上げて、「それじゃ行こ!あ、冬川君、お菓子ありがとう!」といつものように微笑みながら行ってくる。男なのに惚れちまいそう。


「「「「「お邪魔しまーす。」」」」」


挨拶して家に入る。前の世界も高校って電車通いだったから友達の家って行かなかったんだよなぁ。集まってゲーセンとかには行ったけどさ。過去にふけていると柊のお袋さんが顔を出す。おい待て、なんだこのクッソ美人は、本当に30代後半から40代なのか!?ラノベやアニメ世界、やべえな。


「あらいらっしゃい。うちの息子がお世話になってるわね。」


と言うと頭を下げてくる。


「いえいえ、むしろ世話になってるのは私の方です。勉強とか教えてもらってますし。」


無駄に礼儀正しくお礼を言うと柊を除く3人が「お前は何を言ってるんだ。」みたいな視線を送ってくる。泣くぞコラ。なんでそんな「バカじゃねえのお前?」みたいな目線を送ってくるんだ。やめて、泣いちゃう。

そして柊の部屋に入る。綺麗な部屋じゃないの。本当に恋愛漫画や小説ばっかだ。まぁそんなことより勉強しなきゃな。


「で、何からやるんだ?」

「まずは数学からね。久川君と島村さん、本当に苦手そうだから。」

「だってわからないものはわからないよ。」


島村がぶー垂れるが一ノ瀬は無視して教科書を開く。

因数分解とかもう覚えてねえなあ…さっぱりわからねえ。島村と2人で考えながらなんとか解いていく。


「ねえ平賀君、これってどうやって解くんだっけ?」

「あーこれはこれをこうして、こうだよ。」

「こうやってもわかりやすいわよ。」


俺と島村はわからず固まるが、一ノ瀬達はスラスラ解いてる。羨ましい。畜生、工場なら負けやしねえのに!ていうか勝てる自信があるのに!あー、一服できれば少しは脳が働くのによー。つか要素の個数ってなんだよ。そう思いながらもなんとか解いていく。お、11時か。


「11だから休憩しましょ?」

「おー、ポテチ食おうぜ?」

「12時にはお昼ご飯だから却下よ。」


忘れてたぜ。んじゃジュースくらいならいいだろ。袋からコーラを取り出す。歩夢がコップを持ってきたから俺が注いで飲む。コーラうめえ。そういや島村がテストの成績でバイトができる的なこと言ってたな。あえて聞いてみることにした。


「なぁ島村、バイトって何をする予定だ?探してるにしても当てはあるのか?」

「うん、近所のスーパーだけどレジ打ち募集してたんだ。時給も1200円だしね。」

「先生に見つからないようにね?校則違反だから見つかると停学になるから。」


一ノ瀬が意外な反応を見せるバイトは絶対ダメ!とかいいそうな気がしていたからな。

一ノ瀬が俺を揶揄うように見てくる。


「あら、ダメっていうと思った?」


いたずらっぽく髪をかき上げながら微笑んでくる。


「ああ、堅物学級委員長だからてっきりな。」

「別にいいと思うわよ?好きな物が欲しい、携帯代を支払う、家族の負担を減らしたい、そう思うのは当然じゃない?たしか許可証出せれば大丈夫な筈だし。」

「意外だなほんと。」


すまん、マジで驚いてる。


「一ノ瀬ちゃん、そこは気をつけるから大丈夫だよ!」

「まぁ一ノ瀬の言う通り許可証は出したほうがいいな。そうそう、聞きたいんだがどう言うスーパーだ?教えてくれ。」


俺が聞くと4人が「なんでそこまで聞くんだ?」と言う顔をする。スーパーのレジ打ちはな…客層で決まるんだよ、大変か楽かが。


「え?うーんとね、安いのが売りのスーパーだよ。」

「却下、やめとけ。」

「あら、決めるのはあなたじゃないと思うけど…どうしたの?」


俺の発言に全員が驚く。安心しろ、高校生の時、レジ打ちバイトで地獄を見た俺が教えてやろう。


「理由がある。安いスーパーは客層があまり良くない。客層が悪いところはクレーマーとか多いからな。酷いやつは日本語が通じないからな。」

「久川、それ本当か?」

「ああ。例えると『袋つけますか?』と確認していらないと答えたくせに『なんで袋をつけないんだ!』と激怒してくる奴がいるからな。」


俺が説明すると柊が「え…おかしいよねそれ。」と言い驚いている。純粋だねぇ…だけど本当にいるんだよ?そう言うバカ。


「あと『早くしろ!時間がないんだぞ!』や『お釣りの渡し方がなんで適当なんだ!報告してやる!』とかキレてくる馬鹿もいる。そうだな、お高めのスーパーに行ったほうがいいぞ。」


マジで経験してるんだよ…。品出しならそっちの方が楽だからなマジで。

島村がそれを聞いたのか少し困惑している。


「え…どうしよう、そんな大変なの?楽そうに見えたのに…」

「マジで辛いぞ…?しょうがない、一緒に探すか?スーパー以外でも品出しや楽なやつを募集してるところも探してやるよ。品出しの方が楽だからな。」

「ありがとう、助かる!」


島村が本気で懇願してくる。学生ってほんとバイト探すのに必死だもんな…楽なやつはすぐ埋まっちまう。多分今はみんな必死に探してるだろうな。


「とりあえず近くのスーパーだけじゃなく、コンビニやホームセンターが募集をかけてたら写真を撮って、あと新聞の求人広告とかあったら見せてくれ。

「う、うん。妙に詳しいね?」

「久川君、なんでそんなに詳しいの?」


4人がジト目で見てくる。やべ、俺が転生してることがバレるのめんどい…上手く誤魔化さねえと…。


「あー、別の学校の先輩が苦労したんだよ。ファミレスでバイトしてる人でさ、ストレス溜まったとかクソみたいな客のことで何度も愚痴られてさ。」

「そうなんだ…ねえ久川君、僕もお願いしていいかな?お小遣い欲しいからさ。」

「任せろ。歩夢のお願いは断れん。」


サムズアップして答える。おっと、長話をしすぎたな。勉強勉強。

12時になり、近くのファミレスで飯を食いに行く。雑談して、戻ってまた5人で談笑しながら勉強をする。


「ふう、少し音楽でも聞くかな、柊、音楽聞いても大丈夫?」

「うん、平賀君ってどんな音楽聞くの?」

「ポップスとロックだね。2000年代の曲とか聴くよ。」


おお、王道の答え、80年代とかは利かないのか…。だが素晴らしい、2000年初期の曲は俺も聴く。


「私もアイドルの曲とか聴くわ。可愛らしい曲とか好きなの。」

「へえ〜意外だね!落ち着いた曲とか聴いてるのかと思ってたよ。」

「ふふっ、ジャズとかも好きよ。父さんがよく聞くの。好きな物は好きだから。」


一ノ瀬が照れ臭そうに、だけどその考えはわかる。だがあることに気づく。「好きな物は好き」その言葉に柊が少し落ち込んだ顔をした。思い込むような、「本当にそうなのかな?」みたいな表情。


「何を流そうかしら?勉強中に派手な物は難しいわよね‥」

「そうだな、本音を言うとロックを聴きたいけどね。」


一ノ瀬と平賀が微笑みながら考え込む。こう言う時は落ち着いた曲がいいってもんだ。任せなさい。俺は無言で「シューベルト:交響曲第3番二長調、第2番変口長調」を流す。


「クラシック?久川君、クラシック聴くんだ。」

「ちょっと意外…」


柊と島村が驚いている。一ノ瀬と平賀も頷く。舐めるなよ。こちとら前世で艦隊戦でクラシックが流れる某スペースオペラを何百回もみたんだ。クラシックは好きだぜ?


「アニメの影響でね、クラシックなら落ち着くだろ?」

「そうね。私もクラシックを聴いてみようかしら。落ち着くわ。」


そして勉強を続ける。友達といる時間ってあっという間だよなぁ。もう17時だよ。嫌いな授業なんて長く感じるのに。仕事も楽な作業は早く感じたもんだ。夕方と家の事もあり、帰宅することにする。


「「「「お邪魔しましたー!」」」」


挨拶して柊の家を出る。しっかしあれだな。勉強って友達とやってるとまぁ気楽にやれるけど、授業中ってほんと退屈だよな。一ノ瀬達と別れ、ファッションでも考えるかとボヤく。


「しかし、せっかくだから俺もファッションとかに気を使うか。」


1人で飯を買いにコンビニに向かおうとするとメールが来る。柊からだ。なになに?


『もしよければ明日遊べるかな?一ノ瀬さんも誘おうと思ってるんだけど、あと少し相談したいことがあるんだ。』


別にいいけど、相談したいことってなんだ?

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