第3話 会社で働くとなんだかんだ給料のことばっかり考える
「さっぱりわからねえ…」
涼介が机に突っ伏しながら嘆く。国語と社会はそれなりにできるが英数理はさっぱりなのだ。
英語とか頭痛くなるし数学も意味がわからなすぎる。誰だ連立方程式とか三角比とか考えたやつ。
「30点取れれば良いって言ってたじゃない…」
一ノ瀬が呆れながら言う。仕方ないじゃないの、大人になってもわからないものはわからないんだから。図形とかなら多少はわかるんだけどなぁ…図面習ったから。
「亮介君、本当に数学と英語苦手だよね、僕が教えてあげる?」
「頼む歩夢、バカの俺には数学と英語は異次元だ。数学なんて考えたやつ殴りてえよほんと。あとなんで日本人で英語覚えなきゃいけないんだ。そんなものパイロットや通訳めざしてるやつだけでええやん…俺に航空自衛隊の戦闘機乗り目指せってか」
「何を言ってるの貴方は。」
「パイロットは英語必須なんだよ。英語で会話するんだよマジで。無線交信とかさ。」
「そうなの久川君!?」
「知らなかったの?それにしても、何
でそんな雑学は知ってて勉強だめなのよ…」
歩夢が苦笑いし、一ノ瀬が呆れ果てる。「ちゃんと勉強しなさいよ…」とぼやいている。
「じゃあ勉強会しない?テストは来月だけど、備えたいしね。それに明日なら僕の家でも大丈夫だよ。図書館だとあまり喋れないしね。」
「お、サンキュー!お前頭いいもんなぁ。俺と違ってさ。」
「私もいいかしら?久川君の学力心配よ?」
やかましいわい。社会にでりゃ勉強よりも機械の操作とかそっちの方覚えるんだよ。この身体よ、元の久川よ、なぜ普通科を選んだ!?この学校10以上もいろんなコースあるのに!工業コースならよかったのに!女子いないけどな。あー溶接やりてえ。プレス作業やりてえなぁ。フォークリフト乗り回してえなぁ。
「どうしたの久川君?」
「いや、ちょっと思い出に耽った。」
社会人になると働いてる時間は金になる、学校って逆に金払ってるもんなぁ、これならバイトしたり働いてる方がいいよなぁ。会社で働いてりゃ20〜30万にはなるしよ。残業込みで。6時限目とか7時限目までいると時給換算すると結構
金になるんだよなぁ…。そう考えているとチャイムが鳴る。やっと6時限目だ。こいつが終われば帰れる。早く帰りてえ。
チャイムが鳴り、教室と廊下の掃除をする。塵取り担当と箒担当とか分かれてたよなぁ。どの世界も変わらねえ。
「ねえ、もしよければその勉強会、アタシと平賀もいいかな?」
「俺も勉強したいんだ。高校初の中間テストだし、まぁ色々とね?」
島村と平賀が掃除中に提案してくる。島村は何となくわかるが平賀は頭いいのに何でだ?
「島村は何となくわかるが、平賀は何でだ?頭いいだろお前。」
「成績良くしといたいからさ。あと中間テストでも上を目指したいしね。」
「アタシは赤点免れないといけないの。母さんに『バイトしたいなら中間テストで赤点取ったらだめ!赤点取ったらバイトはさせないからね!』って言われてさ〜、ね!お願い」
俺はいいが柊が大丈夫か?部屋の事とかあるから柊に確認する。
「柊、2人も参加したいそうだがいいか?」
「うん、いいよ!人数が多い方が楽しいと思うし。」
柊が微笑みながら許可する。しかしまぁ、男同士ならともかく男の家に年頃の女の子が行きたいってのもすげえな。さすがラノベ風世界、現実ではありえぬ。そんな経験なかったけどな。おっと、今日は金曜だからゴミ捨てだ。ゴミ捨て場に行かなきゃな。面倒臭えとボヤきながら俺はゴミ袋を縛る。2つの袋、一つは肩に担ぎ、もう一つは左手で持つ。
「久川君先週もやったけどいいの?僕が代わりに持つよ?」
「あーいいよ。別に重くないし、その代わり明日の勉強よろしくな。」
俺がそう言うと平賀が来る。
「片方は俺が持つよ、流石に先週やってもらって悪いからさ。」
「サンキューな。あとでエロ本と言う名の聖書を買ってやろう。」
「いらないよ。」
畜生真面目っ子め。エロ本の良さがわからぬと申すか。若いねぇ、純粋だねぇ。
ゴミ捨てが終わり、教室に戻ると柊と一ノ瀬、島村が待っていた。
「みんな僕の家知らないよね?明日の10時に○×駅に来てね。」
「わかった。早めに着いたら連絡するわ。電車の時間もあるしな。」
「うん、じゃあまた明日ね!」
別れの挨拶をして教室を出ようとすると1人の眼鏡をかけた女子生徒…名前は思い出せないがぶつかってしまう。「あ…ごめんなさい‥」と謝ってきてバッグと本を抱えながら急いで出ていく。図書室…この学校だと図書館だが、あそこにでも向かうのか?
駐輪場に行き、自分のママチャリの鍵を外して駅に向かう。あー、自転車に乗ってるとわかる。車ってほんと便利だったよなぁ。5月になりゃ誕生日だ。せめて原付の免許とりてえ。すれば通学も楽になるのになぁ。
家に着くとお袋が「おかえりー。」と言ってくる。しっかしまぁ美人なお袋だよなぁ。現実なんざ高校生の息子持ってたら40代に行くか行かないかだぞ。20代にしか見えねえの、ほんとアニメとかラノベ世界特有だよなぁ。
「あれ?紗香は?」
紗香はこの世界の妹で中学3年生だ。いつもは帰ってきてるのにどうした?
「友達と遊んでくるから遅くなるってメール来たわよ。」
「あいよー。夕飯は?」
「生姜焼きよ。」
「できたら呼んでー。」
よし、3杯はいけるな。そう言って自分の部屋に入る。あー早く18にならねえかな。サバゲー用品欲しいわ。今のうちにバイト探して金貯めよっかな。
のんびりとゲームをやる。数分後、お袋にご飯ができたと言われて部屋から出て飯を食う。
「あ、母さん。明日友達の家行くから。勉強会ね。」
「亮介が勉強!?勉強嫌いのあなたが!?」
元の身体の久川も勉強嫌いだったのか、わかるぞ。その気持ち、親に心配されるほどなのも一緒だったのか。
「まぁね、5人でやることになったからさ。明日は夕方までいないよ。夜ご飯はわからないから。」
「分かったわ、早めに連絡ちょうだいね?」
「あい。」
そう言って食いおわして自分が食った分の食器は洗う。部屋に戻って、ゲームをやって22時に寝る。
翌日、待ち合わせの駅に集合して柊の家に向かう。電車の時間もあって早めに着いちまったな。仕方ない、コンビニ行って菓子類とジュースを買おう。




