第22話 可愛い子に惚れられたのに振るやつは許さん。part1
次の日、昨日の3人を思い出しながら平賀とチャリ漕ぎながら会話している。
「よー平賀、昨日変な奴ら見たぞ。」
「え?どんなやつ?」
「歳は俺らと変わらないくらいだけどよ、女子2人の男子1人でさ、ここの場所を教えてくれって言ってきたんだよ。案内したんだけどさ。普通スマホのマップ使うだろ?」
昨日のことを思い出し考え込むまぁスマホのナビはたまに間違えるが、大体の位置はわかるだろうと、やっぱわかんね。
「それ昨日話した転校生じゃねえの?見た目どんな感じだった?」
「あー帽子を深く被ってたな。確かに可愛かったし男もイケメンだったな。殺す」
「殺すな。イケメンに嫉妬するな。」
いいじゃねえか。イケメンなんで許さないもの!しかも両手に花だぞ!?許せるか!
「まぁいいか、とりあえず昨日帰りにそんな事があったんだよ。」
「ふーん、まぁいいんじゃね?明日の楽しみにとっとけば。」
転校生といやぁまぁアニメやラノベだとイベントみたいなもんだよな。しかしアイドルとモデルか、なんか日常系っぽい世界だと思ってたらとうとうアレか、イベント始まりやがったな?
あー学校に着いちったよ。早え。
学校に着くと校門の近くで飯を打ってる業者からどら焼きとクリームパンを購入し、自販機でお茶を買う。ん?女子が下駄箱に手紙を入れてる…?ラブレターじゃねえか!!まじかよ!リアルで初めて見たぞあんな光景!うん、誰にも言わないようにしよう。そうしようそうしましょう!
廊下を歩いていると雑談が聞こえるが昨日からアイドルとモデルが転校して来ると話題になっており、こう、ワクワクした雰囲気が漂っている。若いねほんと。
「早坂さん最近歴史物読んでるんだ。」
「…はい、なかなか面白く‥恋愛と推理物以外もいいですね。」
「新撰組の漫画なのね。」
新撰組か。確かに面白えわな。親父がハマってるもの。まぁおれも歴史好きだけどさ。前世でも新撰組がメインのゲームやってたしな。けど好きな時代は戦国時代。
「…その、なんとなく手にとって買ってみたのですが、新しいジャンルなのでその…。」
「わかるよ!読んだことのないものを見ると新しい発見があるんだよね。」
俺、前の世界で恋愛物読んだら友人に「お前変な物食ったか?」だの「頭打ったか?」と言われて泣いたぞ。今でも忘れられん。しかし柊と早坂さんが会話してるの、なんか妙に可愛らしいな。文学少女と男の娘…悪くない。いやむしろ最高の光景ではないか!素晴らしい!素晴らしすぎる!
「あれ?どうしたの久川君?」
「何か変なこと考えてたわね?」
一ノ瀬!?勘が鋭すぎだろ!正直に言ったら殺されるかもしれんからやめておこう。卍固めかけられるかもしれん。
「いや、なんでもない。早坂さんと柊が会話してるのなんかいいなと思いましてはい!男の娘と文学少女とは素晴らしいと思いまして!最高の絵面だと思いましてはい!」
「思ってたじゃない!」
スパァン!という音が鳴るレベルで頭を教科書で引っ叩かれる。痛え。
「全くほんと馬鹿ね…」
「だからってフルスイングで引っ叩くか!…まぁいい、しかし新撰組か〜。本格的な歴史物か?」
「…い、いえ、その…あの…」
早坂さんの顔が赤くなる。あ、これ聞いちゃいけない奴だ。間違いない。腐女子だな?イケメン同士のやつだな?
「うん、言わなくていい。だいたいわかった。OK、大丈夫だ。」
「え、どういうこと!?」
「柊、世の中には知らなくていい事もある。」
純粋な少年にはわからぬだろう…。腐女子という存在は…うん。
早坂さん…目覚めてしまったな。某幕末ゲームとか始めたり某刀や槍を擬人化したゲームとかやったらハマるんじゃねえか?
おっと、チャイムが鳴りやがった。さて、1日の始まりだ。
いつものように他愛のない授業を受ける。休み時間は雑談、また授業。学生の1日はこれの繰り返しだ。
さて、お昼休みじゃい。
「ねえ、面白いことを聞いたよ?」
「ん?どうしたんだ島村?」
島村がニヤニヤしながら俺に話しかけてくる。面白いことってなんだ?
「実はね、美術科の3組の女子が告白するんだって。隣のクラスの男子に。ものすごくイケメンでさ、その女子もすっごく可愛いんだよ?」
「ほう、マジか…まぁ実を言うと朝女子が下駄箱にラブレター入れてるの見たが…まさかデザイン科とはな‥」
「え?知ってたの?」
「いや、朝偶然見かけてな?いつやるのか知ってるか?」
「放課後だって。しかも教室。」
放課後か!楽しみだ。ラノベ風の世界での告白イベント…モブとして見てくれるわ!




