第20話 どうしてこうなった。どうしてこうなった!
強制的に溶接部に入部することになり、俺は椅子に座っている。
「瀬戸口だっけ?俺は溶接部部長の北山。工業科だけどよろしくな。」
「よろしく。僕は瀬戸口輝、ライフデザイン科出身だよ。」
部長同士で挨拶している。溶接部も7人の少人数の部活だ。
「いいなー女子いて。」
「俺たち男所帯だもんな。」
溶接部の部員がぼやいている。気持ちはわかる。男所帯ってなんか辛いよな。
「で、緑川先生、北山はなぜこんな事を?」
「それはですね、園芸部は文化祭で花を売ることにしまして、北山君が植木鉢を乗せる台座を提案したらいきなり、いや本当にいきなりこのような事を…」
「成程…」
藤岡先生が腕を組んで考え込んでいる。
「んじゃ藤岡先生、俺たちが作りませんか?確かに売れそうですよこれ。」
「俺たちでメッキ加工か錆止め塗って本塗装するのもいいと思うっすよ!練習にもなるっす!」
部員達が提案する。意外な反応だ。俺職業訓練校で溶接始めたから工業科とか知らねえんだよな。
「確かにな。端材で使えそうなのは俺が探そう。緑川先生、何個作る予定ですか?」
「それはまだ未定ですが…久川君は50個と…。」
「ですよね…僕達もいきなりの事だから数は何個作るか決めてないですし、と言うか決定しないで作りましたからね…」
瀬戸口先輩も考えている。50個でいいじゃん。俺作れるよこれ?1ヶ月半ありゃ余裕っしょ。
「とりあえずあのバカモンは明日から特別教育を取らせて反省文を書かせますが、あいつの腕は逸材なので溶接部にも反省も兼ねて『強制的』に入部させますね?」
「いいですよ。作業着姿的にも違和感ないので。メインはこちらでお願いしますね?」
「もちろん。まぁ久川は自由参加という事で。週に2日はこちらに来てもらいますが。」
メインはこっち!?ちょっと待てや!俺園芸部でしょうが!しかも2日は強制参加とかまじか!?
「あー、それいいのか瀬戸口君、こっちで預かることになるの。」
「うん、いいよ。緑川先生の言う通り違和感ないから。」
優しい瀬戸口先輩までもか!?
「けどこの台座を作って売ろうとしたのはなんで?」
「見栄えが良くなるかと思いまして、はい!」
「なるほどな、これを50個作るなら溶接部で加工すればやれるからいいな。」
藤岡先生も頷き、一つ提案してくる。
「私が見積もり立てますから、台座の売上に関しては園芸部とこちらでうまく割りましょう。端材では足りませんからね。」
「わかりました。よろしくお願いしますね、藤岡先生。」
園芸部と溶接部による共同、この学校では初だろう。園芸部の部員達と溶接部の部員達が互いに頷き、文化祭のことを話し合い始める。雰囲気が真逆の部活が和気藹々と話し合う光景はなんだ妙な光景だ。
しかしまぁなんだ。台座作って終わりにしようとしたら溶接部とはね…ま、頑張りますか。
「バイトどうしよこれ…」
そこは正直に話して園芸部2日間、溶接部1日にしてもらいましょ。




