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第二話 なんだかんだ家族全員の弁当を作る親ってほんとすげえわ。

午前最後の授業の国語が終わる。クラスメイトは購買に行くか、弁当を取り出す。どの世界でもグループで固まって食う奴らや1人で黙々と食うやつに分かれる。どの世界線でも変わらねえんだな。しかしまぁ今見ても懐かしい光景だよなぁ。俺も前の世界じゃ高校の購買でラーメンとポテト、唐揚げ食ってたわ。


「やっと飯だ、あー腹減った。」


俺がそう言うと柊も微笑みながら頷き、一ノ瀬も同意する

柊が弁当を開け、一ノ瀬も弁当を用意する。


「よっこらせっと。」


俺がそう言って弁当を取り出す。すると2人が「・・・え?」みたいな反応をしてきた。


「…俺の弁当なんか変か?」

「いや…その、それ工場勤務の人や現場作業員の弁当…よね?」

「先週まで普通の弁当だった…よね?」


柊と一ノ瀬が困惑しながら聞いてくる。何故だ、三段弁当便利なんだぞ、暖かいまま弁当食えるんだぞ、冬でも。


「えー、デザインとか気にするか?便利だからいいんだよ。働くとな、普通の弁当よりこう言う方が温かいまま飯食えるからいいの。」

「ん?働く‥?」

「どう言うこと?」


柊と一ノ瀬がジト目で見てくる。クラスメイトも何人かが「今変なこと言わなかった?」や「働くって…学生だよね?」とか言ってくる。俺を見ながら。

やべえな、訂正しねえと。


「いやさ〜漫画読んでてさ、鉄工所の漫画の。便利だからいいかなと思ってよ。」

「へぇ〜鉄工所の漫画なんてあるんだね。確かにそう言うの読んだから欲しくなったの?」

「そゆこと。」


歩夢、純粋すぎるだろ。いや鉄工所の漫画あるけどよ。前世で愛用してただけだよ。夏場は使わなかったけどな。すると別の2人が話しかけてくる。


「おっさんじゃん!」


金髪のギャルが話しかけて俺の弁当を指さしながら笑ってくる。こいつは島村咲、一ノ瀬と同じく、やはりこの世界の特徴なのか、もんのすごくスタイルがいい。あとなーんか俺に話しかけてくるやつだ。わしゃ前世じゃギャルと関わりなんてなかったのに。31年間彼女なんていなかったよ俺。


「それどう見ても現場作業員のイメージがあるぞ?」


そう言うとこのクラス1のイケメン、平賀良が話しかけてくる。こいつは運動も勉強もできて、尚且つ性格もいいと言う完璧超人だ。殺したろか。


「うるせぇなぁ。いいんだよ、世の中はデザインより利便性だ利便性。大体島村、お前パンしか食ってねえじゃねえか。ちゃんと弁当食え弁当!!あと平賀、お前は殺す。」

「えー別にいいじゃん。弁当作るのめんどくさいし。」

「なんで殺されなければいけないんだ。」


島村はクスクス笑いながら、平賀はため息を吐きながらボヤく。


「イケメン死すべし慈悲はない。大体この学校、イケメン多すぎるだろ。ブ男とフツメンはおらんのか。」

「普通じゃないか?」

「死ね。というかくたばれ。」


舐めとんのか貴様!こちとら冴えないおっさんの見た目しとるんやぞ!イケメンにこの気持ちがわかるかこの馬鹿たれが!ほんっとうにアレだよな。なんでラノベみてえな世界ってイケメンとスタイル抜群の性格の良い美少女しかいねえんだよ!現実なんて終わっとるぞこの野郎!


「本当に直球で言うなよお前!」

「じゃかあしゃあ!おどりゃイケメンだから気に食わんのじゃ!」

「なんで妙に広島弁っぽい口調になるの?」


島村が呆れ、平賀がツッコむ。いいんだよ、イケメンの扱いなんてこんなもんで!ブ男舐めんな!


「なんとなく。まぁとりあえず平賀、世の中は利便性だ利便性。」

「そんな物なのか?」


そんなもんだと思うが、平賀は疑問に思っている。大人になるとね、わかるんだよ…。デザインとかより利便性って。


5人で駄弁りながら飯を食う。まぁなんだかんだ友達がいるのっていいよなぁ。会社じゃ車の中で食うか弁当を依頼して食堂だったもんなぁ。大企業なら定食とかあるのによ。

そして食い終わる。いつもの癖でポケットに手を突っ込んでしまう。


「あーねえんだった…癖が出ちまうなぁ‥」


そうぼやいてしまう。仕方ないじゃない。飯の後の一服って美味いんだもの。車の中で吸ってたからなぁ。弁当食った後。


「何がないの?」

「気にするな。口の中が寂しいんだよ。なぁ一ノ瀬、ガムかココアシガレットないか?」

「持ってくるわけないじゃないでしょ。」


一ノ瀬がキッパリと言う。絶対成人迎えても吸わなそうだもんなぁ。島村が「あ、ガムならあるよ。」と言い差し出してくる。


「お、サンキュー。」

「全く‥ガムは校則的に良くないわよ?」

「堅いこと言わんでくれよ。見つからなけりゃ良いんだよ。」


一ノ瀬が眉をひそめる。本当に堅いやつだな。ガムくらい良いでしょうよ。授業中じゃないんだから。すると一ノ瀬がコホン。とわざとらしい咳をする。


「ところで、来月は中間テストがあるのよ?1ヶ月前だからって気を抜いてないわよね?」

「テストなんざ知らん。赤点取らなきゃ良いんだよ。」


一ノ瀬がテストのことを言ってくるが、んなもん赤点取らなきゃ良いんだよ。30より上とりゃ良いんだよ。俺はぼやくが一ノ瀬がため息をつく。


「そんな良い加減な‥進学、就職のことを考えると勉強って大切でしょ?何を言ってるのよ。」

「人生なんて何とかなるもんだ。一ノ瀬にはわからないだろうけど、頭悪いやつでも何とかなるもんだぜ?」


学生の頃って教師の言うことが絶対、みたいなところあるけど大人になるといろんな視点が見えるんだよ。もっと気づくの早ければな、就職や学校生活は苦労しなかった筈だよ。もしかして、今この世界にいるのは…それなのか?いやないな。都合が良すぎる。


「久川君、楽観的すぎるわよ…。」

「後悔しなけりゃいいんだよ。社会に出たら…勉学よりも腕‥なんだよ。」

「え…?」


一ノ瀬が驚いた顔をする。まぁなんだ。大人になると、色々わかる物だからさ。なんだかんだ大人になったら資格が優先されるんだよ。まぁ友人たちは、もし就職やバイト探しで苦労したり、理不尽でアホな教師が来たらちょっとは手助けしてやるかね。特に歩夢だ。本気で心配なんだよな…。


「ん?久川君、僕の顔に何かついてる?」

「…いや、何でもない。」


何かなぁ、表向き平然としてるけど裏じゃ絶対溜め込むタイプなんだよな、何と言うか、いじめられてても親に言わず、我慢するというか、悩みを溜め込んでも吐き出すのは絶対にしない、俺と真逆のタイプだと思うんだよな。


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