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第12話 なんだかんだガチでやる面接よりも気さくにやってるところの方がマシ

夏休み初日、2時間ほどだが部活がある。クソ暑い中雑草を抜き、肥料を撒く。あータバコ吸いてえ、酒飲みてえ!


「労働の後のキンキンに冷えた一杯が最高なんだよなぁ〜。」

「酒じゃないわよね?」

「コーラかサイダーでございます。それ以上でも以下でもありません。」


やだなぁ。未成年だから飲めませんよ?前世でも滅多に飲まなかったけど。忘年会くらいでしか飲まなかったし。


「久川君、確か瀬戸口先輩の実家でバイトやるんだって?」

「早坂さんと共にやるそうね、接客とかできるの?」


平本先輩、清水先輩よ、俺を舐めるな。接客業の経験があり、おかげでブラックバイトととまだマシなところを見極めるところまで言ったんだぞ?前世でな!


「あ〜…多分できるっす…ただ…。」

「そ、その…私は経験ないので…人と話すの苦手ですし…」


俺はできるとはいえ自信満々に答えると流石にあれだから誤魔化したが、早坂さんは心配だ。割とガチで。


「…まぁ本来教師である私が認めるのはあれだけど、無理しないでね?変な客が来たら瀬戸口君にちゃんと伝えるのよ?そうそう、夏休み始まってるから許可証は難しいでしょうし、黙認してあげるからね?というか教師も気にしないから。」

「早坂さん、頑張ってね?」

「はい…。その前に面接ですけどね…」

「まぁ名目上だから安心してよ。父さんがどんな子なのかは知りたいからって言ってたからさ。」


うん、皆んな早坂のこと心配しているな。気持ちはわかる。大人しいし、人付き合いは得意じゃない感じだ。多分知らない立場だったら俺でも同じ反応をするだろう。


「まぁなんだ、バイトをやるってのはいいことだと思うぞ…?社会勉強にも経験にもなるしな。」

「僕がサポートするから、安心してね。」

「瀬戸口君は優しいから大丈夫だよ〜。」


園山先輩が安心させるように肩を優しく叩く。


「そういや瀬戸口先輩、時給いくらなんすか?」

「1200円だよ。」

「結構いいっすね。」


麦わら帽子を被りながら除草剤を撒いていく。花壇とかではなく、指示された場所で。たまに学年主任の先生がたまに依頼してくるのだ。俺が交渉してジュース代くらいは貰ってるけど。


「時給で思い出したけどよくあの人に交渉持ちかけたね、結構授業態度とか厳しく見るし、授業中も厳しい人よ?悪くない先生だけど。」

「何を言ってるんすか平本先輩、労働の対価を求めるのは当然じゃないっすか。」

「恐れを知らないの?」

「いや、いい先生なら話を聞いてくれるって勘ですよ。」


俺と早坂が入って1週間経った時、土曜日の活動で学年主任が入ってきて「悪いけど、ここの除草頼むな。」と言ってきたのだ。瀬戸口先輩に「これも園芸部の活動っすか?」と質問したら


「うーん、活動といえば活動だけど、いつの間にか頼まれる感じになったんだよね。もちろん学校の美化活動も兼ねてるけど…」

「わかりました。」


俺は読んでいた漫画を置いて学生主任の前に立つ。


「すいませんがね先生、1年の俺が言うのもなんですが、この暑いなか指示された場所、この広さだと大変なんでちょっとしたお返しというか見返りのようなものくれませんか?」

「ちょっ、あなた何を言ってるの!?」

「久川君!?あなた何を考えてるの…?」


緑川先生が本気で驚き、学年主任も目ん玉ひん剥いている。冗談じゃねえよ、30人くらいいりゃいいけど10人もいねえんだぞ。草刈りの大変さ舐めてんのか?自衛隊ですら草刈機使ってんだぞ。


「ど、どう言うことだ?」

「当然でしょう。こっちは先生含めて8人、それでこの広いところを草むしりやれってんですから少しは労って欲しいんですよ。いや別に毎回見返りが欲しいってわけじゃない、俺たちは運動部と違って依頼されてやってるからそれなりの対価が欲しいんですよ。」


学校だから生徒に無償でやらせるなんて許さねえからな俺。職場じゃ休出したら休出代はでるし、クソ暑いなか3人でやってたら工場長ジュース代くれたからな?そらそうだ、中でスポットクーラーや扇風機の風を浴びてる中こちとら汗だっくだくだぞ。


「草むしり結構辛いんすよ?草刈機とかあれば別っすけど。ジュース代くらいはいいじゃないっすか?自分たちが独自でやってるならともかく、学校の依頼でやってるんすよ?」

「ふむ…。」


学年主任が腕を組み考えている。冗談じゃねえよ、こんなこと1時間やってたら会社じゃ1500円は出るわ。


「お前の言うとおりだな、ジュース代は出してやる。それに、確かにお前達に甘えてるところはあったからな。俺から出そう。」

「え!?いいんですか!?」


部員達がざわつく。瀬戸口先輩が驚き、園山先輩と平本先輩が顔を見合わせている。かわいいな。


「ああ、確かに炎天下の中学校の依頼でやってるんだ。」

「あ、あの…それ他の部活から抗議を受けるんじゃ…」

「それはないさ。学校の依頼でやらせてたんだから。他の部活はやってないんだから言われたら俺にいえば大丈夫ですよ緑川先生。しかし全員で2000円分は痛いな。」

「学院長と校長殴って5000万くらい貰っちまいましょう。金庫あるんじゃないすか?ここ私立ですし。」

「バカ!んなことできるわけないだろ!」


俺の提案にバカ笑いしながら財布を見ている。腹を括ったような顔をすると緑川先生と瀬戸口先輩に提案した。


「草刈機は危ないから大鎌3本、除草剤と噴霧器2台を買うよう校長先生に交渉しよう。無くなったら除草剤はそちらで買ってもらうが、ジュース代は月一にしてくれ、俺の財布が辛くなるからな。」


学年主任の提案に緑川先生と瀬戸口先輩が頷く。


「そして、その代わり頼んだ場所の草刈りの出来は俺がチェックしにくるからな。それならいいだろ?…しかし緑川先生」

「え…ええなんでしょうか…?」

「あの生徒本当に1年か?明らかに雰囲気おかしいぞ?」


うるせえ!元31歳舐めんな。いきなり高校生になってて驚いてたんだよ俺だって。

まぁそんなことがあって除草剤を撒いているのだ。


「本当に僕より年上に感じるよ…だって…」

「言いたいことはわかりますよ瀬戸口先輩、だって…」

「なんかもう高校生じゃないですもん…僕から見ても思いますよ。ほんとうにどうねんだいなんですか…?」


作業着に麦わら帽子の俺を見て部員達が頭を抱えている。泣いていいかな?

その後学年主任が来てチェックしてokをもらいました。よかったよかった。


部活が終わり、私服に着替え、制汗スプレーを体に吹き付けて匂いをとる。汗臭えもん。すげえよ。

そのまま瀬戸口先輩の家に向かい、面接を行う。結構でかい花屋だな。チャリで20分くらいの距離とか羨ましい。


「それじゃ待っててね、父さんがそろそろくるから。」

「わかりました‥」

「了解っす」


約5分後に父親が出てくる、先輩に似た感じの優しい顔つきで、わざわざ飲み物まで持ってきてくれた。

「ごめんね、少し待たせちゃって。息子がお世話になってるよ。」

「あ…こちらこそ‥」

「緊張しなくて大丈夫だよ。面接といっても仕事内容を話すだけだから。」


早坂の緊張を解くように穏やかに伝える。隣に瀬戸口先輩も座る。


「うちのやる事はこれね。水やりや水切り、水替えとかバケツ清掃とかラッピングとか基本のことだね。早坂さんはラッピングとか、久川君は汚れ作業とか平気らしいから水切りとかやってもらうよ。夏休みだから13時から19時までね。給料日は月最後の日ね。」

「接客とか花の説明は僕に任せてね。」

「わかりました…服装は?

「私服で大丈夫だよ。ラッピングとか装飾とだから。手先とか器用かな?」

「は、はい…!大丈夫です!」


緊張からか顔が真っ赤になりながらもはっきりと肯定する。芯の強い彼女だ。頑張りたいと言う意志があるのだろう。


「そうか、頑張ろうね。何日くらい来れるかな?」

「あー、俺はほぼ基本何日でも大丈夫っすけど、8月の頭は…」

「息子から聞いたよ。その日は大丈夫だからね。」

「私も久川君と同じです…」

「うん、それじゃ週3日にしよう。2人とも月火、土でいいかな?」


カレンダーを見て提案してくる。まぁそれくらいならいいか。


「あ、もし休みの日でも来たくなったらいいすか?」

「うん、大丈夫だよ、むしろありがたいけど…。いよ?」

「免許代と原チャリ欲しいんでやりますよ。ちなみに何時までやってるんですか?」

「うちは9時から18時まで。お盆の時は19時までやってるよ。普段は19時までは清掃とか片付け、お盆期間は20時まであるから、そうそう、夏休み明けたら1日2時間だけどいいかな?17から19時までで。土曜日は13から19時までね」

「はい…大丈夫です。」


むしろ楽じゃねえか。やってやるぞ。稼いでくれるわ。業務内容を聞き、店内を見てメモをする。


「それじゃこれ書類ね。明後日までに持ってくればいいよ。」

「了解っす。」


雇用契約書、労働条件通知書、マイナンバー関連の書類、給与振込先の情報、身分証明書、誓約書などが渡される。早坂は初めてだから少し驚いているが俺は何度も見てきたため「書くのめんどくせぇ。」くらいしか思ってない。


「だいたいわかったかな?」

「「はい!」」

「それじゃ明日からよろしくね。」


俺と早坂は立ち上がり、お辞儀して店を出る。しっかしまぁスーパーとかは経験はあるが、花屋は初めてだ。花言葉とかゼフィランサス、サイサリス、ステイメン、デンドロビウム、ガーベラ、シオン、黄色いバラしか知らん。なんでそれを知ってるかって?そら某SFアニメと某ゲームからです。深い事は聞くな。カップル来たら嫌がらせに黄色いバラ売ってやる。薔薇束にして売ってやる。


「カップル来たら黄色いバラ売るか。」

「ふふっ…だめですよ…?それ完全に嫉妬丸出しですから…」そんなことやったら怒られちまうよ。

「へっ、冗談だよ‥」


早坂の苦笑いに冗談と答える。いやまぁ怒られるわ。んなことやったら。多分あの優しい顔から想像できないほどの鬼の形相になるレベル。

2人で想像して笑いながらチャリを押して帰る。夏休み楽しみながらバイト頑張ろうぜ。


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