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女神の愛猫〜神獣リーゼロッテの日々徒然  作者: 天宮カイネ
第1章(序章) 生活基盤構築編
1/10

1-1 始まり




 こんにちは。私この度、人間の女性から猫の雌に転生したリーゼロッテと申します。なお転生前の人生はほぼ覚えていませんが、死因だけは覚えています。

 はい、私は川を流されてゆく子猫を助けて、そのまま溺死しました。その結果、猫好きな女神様に魂を拾われて猫に転生したのです。


 外見は3歳くらいの黒猫で、瞳は右が青、左が緑のオッドアイな、中々の美猫ですよ、私。ちなみにリーゼロッテという名前は女神様がくれました。


 …でもね、女神様。転生先はなにも『異世界』じゃなくても良かったと思うんだよね。剣と魔法の王道ファンタジー的な世界、しかも魔物とかいう凶暴な生き物が闊歩している世界なんですよ、ここ。なんでも、件の猫好きな女神様が管理している世界だそうで。


「私…終わったかも…」


 現在地は森の中の高い木の上、木の下には狼っぽい魔物が5匹ほど、私に向かって吠え立てています。はい、絶賛獲物として狙われ中です、私。

 あ、言葉は『念話』という便利なもので発しているのよ。これ、普通に口で会話するのとほとんど同じ感覚で使える優れものです。


 まあ…この状況下ではなんの役にも立たないんだけどね。


「ううう…奴らが木登り出来ないのは不幸中の幸いだったわね…今の内にステータスでも見ておこうかな」


 他に出来ることもないので、自分の『ステータス』を確認することにする。なんか役立つ魔法とか…あれば良いな…。


ーーーーーーーーーーーーーーー

名前:リーゼロッテ

種族:猫(神獣) 性別:雌 年齢:0歳


保有魔力:3852700/3852700


【固有スキル】

《念話》《人化》《魅了》《製作》

《鑑定》《ストレージ》


【一般スキル】

《全属性魔法》《爪術》


【称号】

《女神リベルセリノの愛猫》

ーーーーーーーーーーーーーーー


 !!?…えっ、これチート転生だったの??ていうか称号…ああ、そういえば猫好き女神様の名前、リベルセリノ様だったわ。

 えーと、今ここで使うべきは…《魅了》、はなんかヤバそうだから、魔法で《威圧》とかできないかな?

 こう、鳴き声に魔力を乗せて衝撃波を放つイメージで…


「ニャアァァァンッ!!!」


 …おっ、狼達が尻尾巻いて逃げて行ったぞ。成功!…だけど、これからどうしようか。このまま木の上にいても仕方ないし…とりあえず、《隠密》的な魔法を掛けて移動しよう。


 目指すは人里…で良いのかな?




 *




 あれから、せっせと森の中を走り抜けていた私、リーゼロッテですが……この森、終わりが見えません!どうやら一朝一夕には脱出できないようなので、この辺で食料を探そうと思います。お腹空いたし。


「とりあえず…《鑑定》を駆使して食べられそうなものを探せば良いかな」


 ということで、固有スキルの《鑑定》を発動させてみる。すると、視界に大量のポップアップが現れて驚いた。えっと、これ調節できないのかな?こう、食料に限るとか…あ、できた。


「とはいえ、草はなー…お、果実がある!」


ーーーーーーーーーーーーーーー

「スカイオレンジ」

・ベレドナ大森林の固有品種。甘みが強く美味。

ーーーーーーーーーーーーーーー


 《鑑定》の結果はこうだった。ふむ…?この森、ベレドナ大森林っていうのかな。


「まあ、まずは食事よね」


 ということで、橙色の大ぶりな実をひとつもいで、風魔法を使って真っ二つにしてみた。そして驚く。え、断面…というか、果肉が鮮やかな空色なんですけど…なるほどスカイオレンジか。正直食欲は失せる色合いだけど、《鑑定》さんを信じて食べてみることにする。


「……んん!?」


 なんとか外皮を剥き、思い切ってかぶりついた私は、途端に口の中に広がった芳醇な甘みに思わず呻いた。なにこれ美味しい。酸味が控えめで甘みが強いから、いくらでも食べれてしまいそうだ。


「はー…美味しかったあ」


 今の私の頭よりも大きかったスカイオレンジを、私はあっという間に平らげた。満腹になり、ひと心地ついたところで、考える。


「このスカイオレンジ、何個か持って行きたいな…」


 美味しかったし、当座の食料として持って行きたい。そうなると、使えそうなのは…固有スキルの《ストレージ》かな、やっぱり。

 さっそく《ストレージ》を発動させてみると、目の前に白い裂け目のようなものが開いた。念のためそれを《鑑定》してみると、以下のような鑑定結果が出た。


ーーーーーーーーーーーーーーー

「リーゼロッテのストレージ」

・神獣リーゼロッテの異空間収納。

・容量無限、時間停止機能、一覧表示機能付き、ただし植物以外の生きている物は収納できない。

ーーーーーーーーーーーーーーー


 うわあ…薄々予想はしていたけど、リベルセリノ様、本当に大盤振る舞いしてくれたんだなあ。生き延びるために有難く使わせてもらおう。

 風魔法でスカイオレンジをボトボト落としていき、それらを全て《ストレージ》にしまう。よしよし、これで当分は飢え死にの心配はしなくていいね。


 さて、他にも食料を探しつつ進みますか。




 *




 森の中をうろつくこと、おそらく数時間後。私は高い木の上に登り、太い枝の上で香箱座りをした。日が暮れてきたので、今夜はここで野宿をすることに決めた。幸い、季節が良いのか寒くも暑くもないので、眠ることはできそうだった。ただ、眠っている間に何かあると困るので、『隠蔽』や『護り』の効果を持たせた《結界》を周囲に張っておいた。これで少しは安心して眠れるかな。

 まあでも、まだ眠るには早いので、私は本日の戦利品(?)を確認すべく《ストレージ》を開いた。一覧を表示させて、改めて中身を眺める。


ーーーーーーーーーーーーーーー

スカイオレンジ ×35

ブラッドアップル ×28

パープルベリー ×59

ミルクグレープ ×42

ーーーーーーーーーーーーーーー


 本日手に入った食料は以上の4種の果物だ。ちなみに、ブラッドアップルは外皮も果肉も血のように真っ赤な林檎で、パープルベリーは鮮やかな紫色の苺、ミルクグレープは外皮も果肉もミルク色をした葡萄だ。どれも鑑定結果は"甘みが強く美味"というもので、スカイオレンジも含めて全体的に大きさが地球で見慣れたものよりも大きい。


「とはいえ、果物ばかり食べてる訳にもいかないよなあ…」


 神獣というなんか凄い種族に転生したとはいえ、さすがに果物のみでは生きられないだろう。そうなると、狩りとかして肉や魚なども手に入れなければならない。

 狩るのは良いとして、生肉は食べたくないなあ。料理は、この身体では出来ない……あ。


「確か固有スキルに、《人化》があったよね。あれ、人型になれるスキルなのでは?」


 ということでレッツトライ。《人化》スキルを発動!と念じたら、一瞬で視界が高くなった。お?成功かな?


「って、全裸じゃないの。当たり前か……それより、なんか小さくない?私」


 手足も身長も小さい。外見年齢はこれ、5、6歳じゃないのかな?実年齢0歳なことを考えれば、むしろこれでもマシかも?

 あと、黒い尻尾があるし、触ってみたら頭には猫耳っぽいものもある。猫の獣人っぽい?この世界に獣人がいるかは知らないけど。


「切実に服が欲しい。さすがにスキルでは……そういえば、《製作》ってなんだろう」


 まだ試していなかった固有スキル、《製作》。これ、もしかしたら使えるかも?

 例えば、その辺の葉っぱから繊維を抽出して布にする、とか……出来たな。薄緑がかった麻っぽい布ができた。次にこれを、服…ワンピースの形に、と。


「凄い…リベルセリノ様ありがとう…!」


 出来上がったワンピースを着て、ついでに下着も作って履いてから、私は女神様に感謝を捧げた。本当に有難い。

 しかも《人化》を解いたら、猫の姿に戻ると同時に服も消えたので、「もしや…」と再び《人化》してみたら…服を着用した状態で人型になれたのだ。これは便利すぎでしょう。

 まあ、猫の姿の方が身体能力が高いようなので、基本的には猫で行くのだけどね。《人化》を解いて、眠るためにその場で丸くなる。毛皮って良いわね…おやすみなさい。




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