偽物聖女に転生しました
初投稿です、よろしくお願いします!
「お嬢様、……お嬢様?!誰か!お医者様を呼んで!」
あぁこれだめだ、私死ぬわ。
✳✳✳
(気持ち悪………)
寝起きから気怠い体とズキズキと痛む頭、目覚めた瞬間目に入ったのは趣味の悪い濃いピンクの天蓋。枕の感触はまるで絹――その柔に肌を寄せたところでふと思い至った。
「…………え?ここどこ?」
徐々に覚醒した頭で、ここが明らかに自分の部屋でない事に気が付き青ざめる。ベッドから慌てて起き上がり、直ぐ側にたった大きな鏡の前に立った。
サラサラと流れ落ちるストロベリーブロンドの髪。影を落とす睫毛、苺を溶かして煮詰めたような濃いピンク色の、溢れんばかりに大きな瞳。白く透き通る肌に、つんと尖った鼻、薄く色づいた小さな唇。
認めたくない現実をこの整いすぎた完璧な容姿と、飽きるほど読んだ異世界転生というジャンルの記憶が全力で証明している。私――おそらく日本で死んだであろう女子高生の私が、死ぬ間際まで見ていた鏡の中の女は私が口を開けるのに合わせてその唇を薄く開いた。
「……………っきゃーーーーー!!!!!」
「お嬢様?!どうなさいましたか?!」
私の悲鳴にドアを開けて入ってきた彼女――おそらく侍女――に向かって震える声で尋ねる。
「わ、わたし………」「はい!」「私、の名前って」「……?フェリシア・リシャール様です。リシャール公爵令嬢で、」
今代の、聖女様。
不安げな顔で容赦なく続けられたその言葉に、とうとう私は限界に達した。スローモーションに見える部屋と遠のいていく意識の中で、何度も何度もプレイした乙女ゲームの設定資料集がパラパラと捲られ、あるページで開かれる。
――フェリシア・リシャール公爵令嬢。類まれな美貌と莫大な聖力を持って生まれた偽物聖女。悪行の限りを尽くし、ヒロインがその力を開花させたその年、従者の告発により18歳で処刑される。
聖女でありながら18歳で処刑される稀代の悪女。
それが転生した私、フェリシア・リシャールだった。