表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

君からもらった大切なオーパーツ

作者: くまっち

「なろうラジオ大賞」応募作品です。


字数が1000文字以内で、お題は「オーパーツ」

 教室の席に座って、俺の宝物である不思議な水晶を手に見つめていた。


「あら秋人、それまだ持ってたんだ」


 話しかけて来たのは隣の席の楓だ。


 幼馴染みだが別に付き合っている訳でもなく、来年からは別の大学に進学する。


「この水晶、すごく不思議なんだ。力を加えると中に闇の渦が巻いて、力を強くすると渦も大きくなる」


「本当だ。それ私があげたやつだけど、前はこんなこと起きなかったよね」


 この水晶は3年前、楓からもらった誕生日プレゼントだ。どこかで拾って来たらしく、綺麗だからと俺にくれた。


 その頃から俺は楓を好きになっていた。



 

 楓とは小さい頃からずっと一緒で家族のような関係。俺はそれが壊れてしまうのが恐く、ずっと告白できずにいた。


「ねえ秋人、私は東京の大学に通うから、離ればなれになっちゃうね」


「そうだな。でも帰省はしてくるんだろ。家も隣同士だし、今までと特に変わらないんじゃ」


「でも東京で彼氏ができたら、秋人とはもう会えなくなるかもね」



 楓に彼氏。



 楓は美人でこれまで何度も告白された。その度に俺は焦っていたが、楓の好みに合わなかったのかまだ誰とも付き合ったことがない。


 そんな楓も大学生。すぐに彼氏もできるだろう。


 俺は思わず、


「楓っ」


「何?」


 楓が俺を見つめているが、相変わらず感情が推し量れない無表情な顔。


 だから俺はその一歩が踏み出せず、


「なんでもない」


「そう」


 普段から感情を表に出さない楓だが、その表情は少し曇って見えた。




「その水晶、私に返して」


「だってこれは俺にくれたものじゃ」


「東京で彼氏ができたら、その水晶をあげたいの。だから返して」


 そう言って楓は俺から水晶を奪おうとする。


 だが俺にとっても大切な水晶。いきなり返せと言われても困る。


 水晶の奪い合いをしているうちに、二人の手から零れ落ちた水晶が、床に落ちて割れた。





「あっ!」


 粉々に割れた水晶から黒い渦が現れ、大きく広がった。


「何よこれ?」


 するとさっきまで騒々しかった教室は、俺と楓以外の時間が停止し、渦の中から声が聞こえる。


「やっと水晶を割ってくれた。お爺ちゃん、お婆ちゃん、早くその渦に飛び込んで未来の私たちを助けに来て」


「お婆ちゃんって、誰よあなた」


「私は二人の孫の雫。説明は後、早く来て」


「急にそんなこと言われても」


 俺は戸惑う楓の手を握ると、渦に飛び込んだ。


「行こう」


「ちょっと、明人!」


 俺は楓が好きだ。だから勇気をもって踏み出す。




 ここから二人の冒険が始まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] この話は、これからでしょう。
[良い点] 水晶の秘密がわかったときになるほど!と思いました。続きがとても気になるような、ワクワクする作品でした。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ