「異臭」
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とてもツライことかもしれないけれど
見なきゃならない、感じなければならない事だって、ある。
伝えねばならない事も。
見たくない現実。見てしまった現実。
今もなお、鼻に残る………
「異臭」
目の前に広がるは混沌
汚物となった美しきものたち
目の前に浮かぶは過去
崩れ去った大切なものたち
息をしていたものたちが遺棄され
活きていたものたちが勢いを無くした
息を止めても纏わりつく異臭
煙になることも出来ずに異臭を放つ
腐る愚策
山積みの希望を腐らせる傀儡
汚泥にまみれる事もなく
汚染地域に踏み入ることなく
美しき世界での采配
己が信じた世界が終わるまでの、彩、灰。
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(めのまえに ひろがるは こんとん)
目の前に広がるは混沌
(おぶつとなった うつくしきものたち)
汚物となった美しきものたち
(めのまえにうかぶは かこ)
目の前に浮かぶは過去
(くずれさった たいせつなものたち)
崩れ去った大切なものたち
(いきをしていたものたちが いきされ)
息をしていたものたちが遺棄され
(いきていたものたちが いきおいをなくした)
活きていたものたちが勢いを無くした
(いきをとめても まとわりつく いしゅう)
息を止めても纏わりつく異臭
(けむりになることも できずに いしゅうをはなつ)
煙になることも出来ずに異臭を放つ
(くさる ぐさく)
腐る愚策
(やまづみの きぼうを くさらせる)
山積みの希望を腐らせる傀儡
(おでいに まみれることも なく)
汚泥にまみれる事もなく
(おせんちいきに ふみいることも なく)
汚染地域に踏み入ることなく
(うつくしきせかいでの さいはい)
美しき世界での采配
(おのが しんじたせかいが おわるまでの さい はい)
己が信じた世界が終わるまでの、彩、灰。
心に身体に染み付いた【異臭】
どんなに洗い流そうとしても、残り続けてしまう。
いっそ全て無くしてしまいたいけれど
それも出来ない、日常。






