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神獣バハムート



「もう、終わりだ…」



商業都市として名を馳せているビリオン。

普段なら活気のある街であり、行き交う人々の顔に暗闇が差すことなどない。


そんな都市の住人の顔を絶望で覆い、誰かの口から終わりだと声が漏れた。


これまでにない、災厄が街を襲おうとしていたからだ。



神の獣とまで呼ばれるほどの脅威。魔獣とは別の名を与えられた獣。神獣しんじゅうバハムート。



突如として出現したそれは、大森林の中だけでその勢力を抑える訳もなく、やがて人が住む都市にまで進行を開始していた。



先に述べると、計画通り行けば討伐できる魔物である筈であったし、始めは住人も絶望した顔の者やパニックに陥る者など一人もいなかった。



しかし、人々を襲う災害とはいつも突然訪れるものである。




「両翼包囲陣形成完了!このまま、押し切れ!」



騎士団長は作戦通りに魔獣を討ち取る準備を完了させ、油断ならぬ顔で指揮をとっていた。



全長20mはあろうかという、獅子を模した、四つ足で大地を踏みしめ、剛力かつ角を二本生やし、雷を纏う獣、バハムート。


それと対峙しているのが王国軍。



千を越える大軍が隊列を組み、両翼包囲によってバハムートを左右に展開した陣で囲い、多方面に防御列、魔法列、バリスタ等の兵器部隊で覆う。


その後、計画の通りに包囲されたバハムートは、全軍の攻撃によって、やがて力尽きる筈であったし、その為の兵装も、物資の準備も万全に整っていた。



もう少しで討ち取れるというときに、最悪とも呼べる事態が起きたのだ。



それは、あるはずのなかった場所に現れた、天穴からの魔素放出だった。


まさに自然が起こす災害。魔素は、魔力の元であり、吹き出す量によっては絶大な力を魔獣に与えてしまう。



それによって、今までバハムートを包んでいた白い雷が変異し始めた。




「ルルルグァァアアアア!!!」



バハムートの咆哮を引き金にし、白雷は黒い雷へと変わる。そして神獣を黒雷が包んだ次の瞬間のことだった。



一挙にして黒い雷はバハムートより放出され、タンクの役割を担っていた半数の人間が吹き飛ばされた。




その結果、作り出たされたのは、地獄絵図であった。



黒雷にやられた兵のうち、防ぎきれなかった者や、魔力切れを起こした者は皆重傷を負ってしまう。



「キアン!しっかりしてキアン!」



恋人の名を呼ぶヒーラーの声が聞こえる。



「何目を閉じてやがるマッド!」


戦友に声をかけて何とか意識を、命を吹き替えさせようとする者の声もする。


血塗れとなったタンク役の兵達と中衛、後衛にいた戦士達の怒号や悲鳴があちこちで響く。



「タンクの重傷者を急いで下げろ!!」



「何が起こってんだ!?」



「カバーできるやつ、魔力を練れているやつは全力で包囲の穴を塞げ!押しきられるぞ!!」



優勢を保っていたはずの軍勢はバハムートの変異により、一挙にして劣勢となり、窮地に追い込まれていった。



「グルルルァアアアア!!!」



バハムートが叫ぶ度に、凶悪な黒雷が放たれ、隊列は乱れ、軍勢が圧されていく。



「ヒーラー急げ!」



「ダメだ、持たねえ!」



「こんな変異体聞いたことねえぞ!」



あちこちで混乱状態に陥り、恐慌状態にるのも時間の問題かと思われる最中、指揮をとっていた騎士団長が動く。





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