自己紹介1
前回のお話が思っていたよりアクセス数があって更新しようと思った次第なのですが、短編になっていてあたふたしました。まだ慣れないことが多い作者です。更新が遅いのも申し訳ありません。
「はじめまして!この度、ここの学校に転入してきた沢渡燈火です!1年間よろしくお願いします!」
快活な挨拶、とびっきりの笑顔で自己紹介を終えた彼女に、クラスの男子は目を奪われ、若干名の女子からは憎々しげに見られていた。「すっごいかわいい…」「なんなのあれ…」「ちょっと可愛いからって…」などと色々な声が聞こえる。
そんなことは露とも知らず、彼女は担任に促され自分の隣の席に座った。
当の自分は未だ一目惚れの衝撃が抜けておらず、彼女が隣の席になった事実を当の彼女に話しかけられたことによって自覚した。
「これから1年よろしくね!君のお名前は?」
それは完全な不意打ちで、口を開こうにも、何故かみるみる顔が熱くなっていったり、鼓動が早くなっていることにばかり気がいってしまって上手く返事ができなかった。
もはや自分で何を言ってるのかすらわからない。
「お……俺達の自己紹介もこの後にあるからよ、それまで楽しみにしとっとけよ。」
いやほんとに何言ってんだ、今の俺が言ったの?嘘でしょ。
「初対面なのに意地悪だなぁ。でも、そういうの嫌いじゃないよ。」
とても寛容だった。助かった……
そう思ったのもつかの間、担任から「じゃあ次はお前らの番だな。出席順に自己紹介を始めてくれ。」という声がかかりハッとする。
(俺、楽しみにしとけとか言ったよな?何も楽しませられるような自己紹介なんて思いつかないんだが……やばい……)
正直焦る。
なんであんなことを言ったんだろうか、もっと他に言うことあっただろ……と思いつつどうにもならない事はわかり切っているので必死に思考をめぐらせる。が、これが全く思いつかないので過去の自分を恨むことしか出来ない。
そんな感じでウンウン悩んでいると、唐突に彼女がこちらを見ながら口角を上げてニヤニヤとしながら口を開く。
「じゃあ君の自己紹介、楽しみにしてるからね。」
そんな彼女の言葉に
え、なにそれすっごい可愛い……と一瞬惚けてしまったが、そんな場合じゃないことにすぐ気付かされた。
なんと、次の自己紹介が自分の番なのだ。
(え……どうしよう……なにも思いついてない……)
ピンチ