出会い
「はぁ……。」
俺は森の中をさまよっていた。
「帰りたくねぇ……。」
俺は小さな村出身で人は少ないものの魔力の強い人が多い。たとえ弱くても、扱いが上手い、3・4種類の魔法が使えるとか特徴がある。
そんな村に帰ったところで俺に居場所はない。
「どうすっかなぁー。」
そうつぶやいたとき、空から声がした。
「何か困っているのか?少年よ。」
俺は恐怖で動けなくなった。
西の大陸、ウェストを支配する魔女イザベラ。四大勢力の一つである魔女は、一夜にしてウェストを半壊させた。魔獣を作り出し、人々を苦しめている。
その魔女が目の前にいる。
「ふむ、君は面白い魔力を持っているね。」
「…お、俺には魔力はない。な、なんで魔女がこんなところに?」
ここは北の大陸、ノースの西側。魔女が大陸を離れたという話はあまり聞かない。
「なぜか?そうだね…散歩?家出?そんなとこかしら。」
……散歩?い、家出?たしか城に住んでいたはずだ。勇者も派遣されているはず。それなのに…。
「それよりもあなた、私の配下にならない?」
「………は?」
今なんて言った?魔女が?俺を配下に?
「すごい魔力ねー。あなた、いったいどうやってそんな魔力を?」
「さ、さっき言ったが俺には魔力はない。」
俺に魔力?皮肉でも言ってんのか。でも俺に魔力がないのを知らないはず。
「そんなに硬くならなくてもいいわよ。まあ、この姿じゃしょうがないか。」
ボフン。そんな音とともに煙に包まれた。
「……へ?」
思わず変な声が出てしまった。
さっきまでいたまさに魔女!って感じの人がいなくなっていた。
そして代わりにいたのは……
「こっちのほうがはなしやすいかしら。」
そこにいたのは魔法使いの格好をした、十歳くらいの女の子だった。




