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適性なし
遠い昔の話。大戦時、人族・獣族・竜族など十を超える種族が殺し合いをしていたころ、ある一人の魔法使いが戦争を止めた。
「言葉を交わし、共に歩める者たちよ。争いをやめ、仲良く生きなさい。」
その後、魔法陣が空を覆い、言葉が統一された。
魔法言語と呼ばれたそれは、言葉を理解できる知能を持つ者すべてが、話し、読み、書くことができた。しかし同時に、固有の言語は失われた。
そして現在、少年は悩んでいた。
「嘘だろ…適性なし……?」
そこは世界中に設置された役所。少年、エアルは魔法適性を調べていた。
魔法には、火・水・木・土の4種があり、水晶に手をかざし、映し出された色によってどの属性かがわかる。
しかし、エアルがかざした水晶は白く光り、消えた。
「壊れてませんか?これ。ちょっと試してみてくれません?」
そういって役員の人に水晶を渡すと水晶は青と緑に輝いた。
「大丈夫みたいです。どうやら適正はないようですね。」
「そんなの聞いたことない……」
エアルは愕然とし、しばらく立ち直れなかった。




