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願い  作者: 室姫暁人
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とりとめのなき話

朝起きて、ごはん食べて、ただそれだけのおはなし。

ゆるやかな時間が流れる。

 彼が持ってきてくれたチーズの乗ったパンを頬張りながら、

少しぬるくなった牛乳を飲む。

む、いつもとチーズのとろけ具合が違う、これは・・・

「高橋くんこれ自分で作った?」

「なんでわかったの!?」

・・・君が作ってくれるトーストはとても美味しいんだよ。

好みもよくわかってるし。

だなんて、口が裂けても言えない。


「美香、自分で降りてごはん食べればいいのに。べつに体調とか悪くないでしょ。」

「やだ、めんどくさい。ベッド気持ちいい。大学ないし。

そういうわけで極夜の間、これからもよろしく。」

「そ、そんなあ・・・」

即答した私。

彼のうろたえるさまが面白くてついついこんな事を口にしてしまう。


 こんなやりとりも、もう4年。

彼の優しさに甘えてしまっている自覚はある。

つい、頼りたくなってしまう。

私はそんなことをしていい人間ではないのに・・・

つい思考が闇に沈みがちになった矢先、


「そんなに動かないでいるとふとっ・・モウシワケゴザイマセンデシタ。」

彼の放った一言を獲物を狩りとろうとする虎の如き威圧で退ける。

その一言で暗くならないで済んだにしろ、もうちょっと言葉はないものなのか。

「あのね、もうちょい言葉選ぼうか。仮にも女の子に向かってねぇ・・・」

「だ、だって、最近そういうこと気にしてるっておばさんが・・・」

衝撃の事実。下でそんなやりとりしてるのか。

頭を抱えたくなる私。

と同時に顔が若干火照ってくる。やばい恥ずかしい。

彼のことを信頼してるのはわかるんだけどやりすぎでしょ。



 そうこうしてるうちに食事が終わった。彼と過ごすと大体時間があっという間に過ぎる。

もうじき昼の2時を指す時計の針。

さすがに食器は自分で片付けた。ついでに着替えに行く。

すっかり寝間着姿を見られることにも慣れてしまった。

最初はうろたえてた彼も今ではもうそんな可愛い反応もない。

なんだか面白い。と、同時に寂しい。


 両親は街から車で1時間くらいのスーパーに買い物に行ったため、

今、我が家には高橋くんと私の2人しか居ない。

高橋くんの両親はふたりとも研究職のため家を空ける機会が多く、

結果、両親の頼みもあって私の家によく来るというわけだ。

たしかに彼はいい人だし、私も感謝してるけど

年頃の男女が同じ部屋にふたりきりの状態を許すというのはいかがなものか。

いや駄目だろう。どう考えても正当性が見つからないぞ。

それだけ信頼されてるんだろうけど。


 いろんなことをぐだぐだと考えながら私は部屋に戻ったのだった。

ぐだぐだとしているだけですが、

あと1、2話ほどこんな話が続きます。

劇的な展開より、日常ってこんなものでいいんじゃないかなと言うのを書いてみました。

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