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99-93 カイナ村の夜

 カイナ村を一巡り散策して二堂城に戻った仁たち。

 時刻は午後4時半。


「そろそろ準備をしておくか」

「ん、エリスさんもそろそろ来るんじゃない?」


 噂をすれば影、5分もしないうちにエリスがやって来た。


「本日は孫たちのためにありがとうございます」


 二堂城でグリーナの誕生日祝いをすると告げた時から恐縮されていたのである。


「いやいや、これも楽しみの1つだし」

「そうですか?」


 自分たちも楽しんでいる、と言われてはエリスもそれ以上言えなかった。


 『五色ゴーレムメイド』の『101番』が二堂城の担当である。

 その1体、『ペリド101』がパーティのメニューを持ってきた。


「ご主人様、これでいかがでしょうか」

「どれどれ……うん、いいんじゃないかな。エルザも確認してくれ」

「……ん、いいと思う。エリスさんも、見て」

「それでは。……はい、フレディたちは好き嫌いはありませんし、大丈夫です。楽しみです」


 ということで問題はないため、この献立で準備を進めることとなった。


「……他に誰も呼ばなくてよかったのか?」


 今更だが、仁がエリスに尋ねた。


「はい、いつも内々でやっていますし、今回はジン様、エルザ様、レーコ様が出席してくださいますから」

「それならいいんだが……」


 エリスによれば、領主の家だからといって特別なことはやっていない、とのことだった。


「むしろ、ジン様からお祝いしていただけて、あの子たちもびっくりするでしょう」

「まあ、喜んでもらえればいいよ」


 どのみち、今夜はエリスとフレディを招いて夕食会を開くつもりだった、と仁。


「それが、グリーナの誕生日と2人の婚約祝いを同時にできるなんて思わなかったし」


 めでたいことはちゃんと祝おう、と仁は言った。


「ありがとうございます、ジン様」

「さあ、準備をしてしまおう」

「あ、はい」


 仁とエルザが配膳を手伝っているので、エリスもそれに加わる。

 そしてほどなく配膳は終了。


「あと1分でフレディたちがやってくるな」

「わかるのですか?」

「うん、わかる」


 実は老君が『覗き見望遠鏡(ピーパー)』を使ってフレディたちの行動を追い、仁に知らせてくれているのだ。

 今はエリスがいるので、礼子経由となっている。


 そして。

 1分後、フレディとグリーナがやって来た。

 仁は城の玄関口まで迎えに出る。


「やあ、フレディ、グリーナ」

「ジン様、ご無沙汰しております」

「ジン様、お久しぶりです」

「久しぶりだな、2人とも。元気そうでよかった」

「はい、おかげさまで」


 それ以上の会話は落ち着いてからということで、仁は2人を大広間に呼び入れた。

 仁たちだけで使うには広すぎるので、パーティション(屏風)で区切ってある。

 そのパーティ用スペースに、仁、エルザ、礼子、エリス、フレディ、グリーナの6人(5人と1体)が揃った。ホープはゴーレムなので食事はしないため、給仕係だ。


「それじゃあ、グリーナの誕生日と、フレディとの婚約のお祝いを始めよう」


 仁がそう宣言すると、2人の顔が赤みを増した。


 全員の前に置かれたグラスに、『アメズ101』がスパークリングワインをいでいく。

 銘柄は『エルリッヒの3900年』。

 発泡ワインとしてはかなりの高級品。やや甘口なので女子供にも受けがいい。

 ちなみに、発泡ワインのコルク栓を瓶の中の圧力で飛ばして開ける、という風習はアルスにはほどんどない。


「おめでとう。……乾杯」

「乾杯」

「乾杯!」


 グラスが合わせられ、澄んだかすかな音を立てた。

 このグラスはキュービックジルコニア製。

 ノルド連邦産の逸品だ(マリッカ工房製)。


「あ、美味しい」


 グリーナが素直な感想を口にした。


「甘口だけど、いける」


 これはエルザだ。

 酒好き、ワイン好きのラインハルトに感化され、特にワインの味にはうるさい。


「ジン様、エルザ様、ありがとうございます」

「いや、今日ここへ来たのは本当に偶然なんだ。だからこんなことしかできなくて済まない」

「いいえ、お気になさいませんよう」


 グリーナは恐縮している。


「結婚式はいつ頃になるんだい?」


 と仁が尋ねると、これにはフレディが、


「来年早々になるかと思います」


 と答えた。


「そうか、式場なんかはもう決めたのか?」

「いえ、これからです」

「そうか。もし何か困ったことや悩むことがあったら二堂城を通じて教えてくれ。できるだけ力になるから」

「ありがとうございます」


 二堂城のゴーレムメイドに伝言を頼めば、老君経由で仁に伝わることになるのだ。


 空には朧月おぼろづき

 カイナ村の夜は穏やかに更けていくのであった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 次回更新は1月20日(火)12:00の予定です。


 20260118 修正

(誤)グラスが合わせられ、済んだかすかな音を立てた。

(正)グラスが合わせられ、澄んだかすかな音を立てた。


(旧)

そのパーティ用スペースに、仁、エルザ、礼子、エリス、フレディ、グリーナの6人(5人と1体)が揃った。

(新)

そのパーティ用スペースに、仁、エルザ、礼子、エリス、フレディ、グリーナの6人(5人と1体)が揃った。ホープはゴーレムなので食事はしないため、給仕係だ。

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― 新着の感想 ―
まぁ結婚式前後で領主がかわることになるでしょうからクライン王国には報告しているでしょう………仁が来ると知って大慌てになるでしょうけども
最近、ホープちゃんも忘れられているにゃあ(笑) グリーナの誕生日… 本当に偶々なのかな? フレディの結婚式に仁が出るのなら、クライン王国にも連絡しないといけないのでは? 崑崙国の(他国で言えば)公爵…
良いタイミングで来たもんですよねー トラブル、は起こらないかもですが結婚式には何かしてあげたいですねえ
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