表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4292/4308

99-77 リュドミラの誕生日

 8月20日は『傀儡くぐつ』のリュドミラの誕生日である。

 例によって例のごとく、『仁ファミリー』の面々は蓬莱島に集合し、誕生日を祝っていた。


「誕生日、おめでとう」

「おめでとうございます」

「おめでとう、リュドミラ」

「ありがとうございます」


 これもまた例によって、ゴウ、ルビーナ、メルツェらは花束を贈呈する。


「ありがとうね、3人とも」


 花は早速花瓶に生けられ、テーブルに飾られた。


 そして誕生会は例のごとく、雑談会へと移行する。


「ロー、そろそろリューと挙式かしら?」


 そう話しかけたのは『森羅しんら』のシオン。

 ロードトスの曾祖母である。

 そしてロードトスは、本日の主役であるリュドミラの婚約者なのだ。


「もうあなたも140歳前なのだからね」

「はい……」


 ノルド人は長寿なので、140歳はローレン人の28歳くらいにあたる(実際のロードトスの年齢は今年137歳)。

 リュドミラは今日で107歳、換算すると21〜2歳となる。


「一時期、やむを得ないとはいえ放置してしまったんですから」

「シオン様、それは気にしていませんから。……あの時ロードトス様はジン様を捜索するという大事な使命を帯びていらっしゃったのですから」

「そうでしたね」

「それに不在の間は、『モモコ』さんを付けてくださっていましたから」


 『桃子』は、ロードトスが『礼子』を目指して作り上げた少女型自動人形(オートマタ)である。

 仁を捜索してジャグス公国に滞在(幽閉ともいう)している間、自分の代わりとしてリュドミラの身辺を任せていたわけだ。

 その代わりとして、マリッカが礼子を目指して作り上げた『花子』がロードトスの補佐をしていたのである。


「結婚式は蓬莱島で……とはいかないか」

「そうね、やっぱり氏族領で挙げないとね」


 シオンに釘を刺されるロードトス。


「そうなりますよね」

「まあ、『森羅しんら』と『傀儡くぐつ』の氏族総出で祝うことになると思うから」

「え……」


 さらに仁も付け加える。


「そっちが済んだら蓬莱島でも披露宴だな」

「ええ……」

「えええ……」


 恐縮するロードトスとリュドミラだった。


*   *   *


 ゴウとルビーナ、メルツェらはマリッカと話をしていた。


「『スミレ』を届けたら、すごく喜んでくれました」

「そう、よかったわ」

「他の2体……『レンゲ』と『ナズナ』も見つけたいですね」

「そうね……でも難しそうだから」

「でも、見つかったらいいですね」

「そうね……壊れているのか、今も働いているのか、それだけでも知りたいわ」


 そこに、仁も加わる。


「マリッカ、その『レンゲ』と『ナズナ』だけど、マリッカが起動したんだよな?」

「え? あ、はい、そうでしゅ」

「だったら、マリッカの魔力パターンを参照して探せるな」

「はい?」

「いや、老君に頼めばすぐに探してくれるだろうって」

「しょ、しょれは悪いです!」


 だが、仁は首を横に振った。


「悪くない悪くない。マリッカの作だったら、いたずらに放置しておいていいものじゃない」

「ふえええ……」


 ということで、仁は老君に『レンゲ』と『ナズナ』の捜索を指示したのであった。


*   *   *


 その一方で、エルザはリシアと語らっていた。


向こう(アヴァロン)ではゆっくり話せなかったけど、どんな具合?」

「順調ですよ。各国の辺境を回りながら、救急医療のノウハウを教えています」


 知識はあっても、経験の少なさがネックになっていた『アヴァロン病院』。

 それも、今や急速に改善されつつある。


「ボクの方も順調さ」

「あ、サキ姉」


 サキもそこに参加。


「スーリヤはなかなか優秀だよ。教えたことはすぐに覚えてくれる」

「いいお弟子さんみたいですね」


 リシアがうらやましそうに言った。


「リシアのところだって、ポリアンナとナージャスっていう優秀な若手がいるじゃないか」

「それはそうなんですけど」


 自分一人の生徒じゃないので、とリシア。

 半分はエルザの教えも受けているからだ。


「まあまあ、弟子の優秀さで張り合ってもしょうがないだろうに」


 と言ったのはグースだった。

 そして、


「エルザ、調べてみた結果だけど、『ハマダラカ』と『マラリア原虫』の起源は、どうやら仁の世界か、ごく近い世界のようだ」


 と、衝撃的な報告をした。


「結論が出たのは昨日の夜だ」


 とも付け加える。


「そうすると、いろいろと転移してきた、その中に病原体を持った蚊が、混じっていた?」

「そうとしか考えられない」

「……なら逆に考えて、蚊も根絶して構わない?」

「生態系への影響、という意味であれば」

「そう……」


 害虫だからといって無闇に根絶したくなかったのは生態系への影響を考慮したからだが、本来この世界にいなかったというなら、遠慮する必要はなさそうだ、とエルザやリシアは考えた。

 が、グースは、


「そっちへの対処は表立ってやらなくてもいいと思う」


 と言う。


「我々『ファミリー』で対処していけばいいんじゃないかな」

「本来なかったもの、だから?」

「そう、エルザの言うとおり」

「確かに、長引かせるのは、よくないかも」


 『マラリア』への対処はこれまでどおり『アヴァロン』で続けるとして、本来この世界にはいない『ハマダラカ』への対処は『仁ファミリー』で行った方がいい、というわけだ。


「それじゃあ、そっちは、グースにお任せ、する」

「うん、任せてくれ」


 この件はそういうことになった。


 『仁ファミリー』は、アルスの守護者として動いているのだ……。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 次回更新は12月5日(金)12:00の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
そろそろ、ロードトスとリュドミラが結婚か………。ゴウ・ルビーナ・メルツェのこともありますし………仁もハンナ・リシア・マリッカを奥さんにしても良いのよ?
真っ先に思ったのは、「花子とモモコ周りがフォローされてる……!」という点でして。 塩「ロー、そろそろリューと挙式かしら?もうあなたも140歳前なのだからね」 牢「はい……」 塩「一時期、やむを得な…
>「マリッカ、その『レンゲ』と『ナズナ』だけど、マリッカが起動したんだよな?」 >「え? あ、はい、そうでしゅ」 >「だったら、マリッカの魔力パターンを参照して探せるな」 >「はい?」 >「いや、老君…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ