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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
91 新たな技術篇
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91-39 小型化検討

 9月4日、ゴウとルビーナは本来のプロジェクトに合流した。

 まずはアーノルトからの質問で始まる。


「ジン殿から少しだけ聞いたが、試作までいったそうだね?」

「試作の試作……といったレベルですけどね」

「でも、動作確認ができたんだろう?」

「はい」

「凄いじゃないか」


 ここで他のメンバーも加わる。


「いやあ、さすがだな」

「まさかそこまでやってしまうとはね」

「我々も負けていられないな」


 などという反応も。

 適当な時点でアーノルトは場を締めた。


「さあ。そのくらいにしよう。まだまだやることは山積みだからね」

「はい!」

「我々も昨日いっぱいかけて『浮遊機関』への展開を行い、まずまずの成果を出したよ。ゴウとルビーナにも見てもらおう」


 ということでアーノルトは、昨日の成果……『構成』と『魔法制御の流れ(マギシークエンス)』をまとめた書類をテーブルに広げた。

 ゴウとルビーナはそれを覗き込む。


「すごい……」

「もうできているじゃないの」

「うん、そうなんだが、1点、決まっていなかった部分があるんだ」

「ああ、効果範囲ですね」


 ゴウの言葉に、アーノルトは頷いた。


「そういうことだ。でもそれは、君たちが『重力均等化装置マギ・グラビティ・アジャスター』を開発してくれたから、すぐ決められるよ」


 要するに人間が乗る可能性のある部分をどう範囲指定から外すかが問題だったとアーノルトは説明した。


「ああ、それは『重力均等化装置マギ・グラビティ・アジャスター』を使えば問題ないですね」

「そういうことだ。だから今日はまず、その『重力均等化装置マギ・グラビティ・アジャスター』の実用化を目指そう」


 今の大きさでは個人用にはなりえないから、とアーノルトは言った。


「そうですね、みなさんと一緒に検討できたらと思います」

「よし、早速始めよう」


 というわけで、ゴウとルビーナが開発した『重力均等化装置マギ・グラビティ・アジャスター』をプロジェクトメンバー全員で検討することになった。


*   *   *


「制御部分は必要な魔力も小さいから、できる限り小型化したいな」

「単純に小さく作るわけですね」

「そういうことだ」


 まずは基本。物理的に許される限界まで小さくすること。

 最終的に重力を発生させる部分は大きな魔力を消費するのであまり小さくはできないが、それを制御する魔力回路は小さくても問題ない。


「小型化の手法の1つとして、専用カスタムパーツを使う、というものがあるな」

「『制御核(コントロールコア)』はそれですね」

「それだけでもかなり小さくできそうだ」


 今回はありあわせの部品を寄せ集めたものなので、『制御核(コントロールコア)』は使っていない。

 代わりに数十の部品を組み合わせた制御魔力回路を使っている。

 専用ICの代わりにトランジスタや抵抗やコンデンサやコイルを組み合わせて回路を作っているようなものだ。


「一品物じゃなく量産するものだからな」

「専用制御核(コントロールコア)の開発は必要だろう」


 これでまた1つ、小型化への手段が見つかった。


「あとは……効率のアップかな」

「それには全体を見直して、不必要な部品や、魔力回路の簡素化が必要だな」

「これは時間が掛かりそうだ」

「うん。だからこれについては魔力回路を分割して、それぞれ2、3人で簡素化を検討し、それを持ち寄って組み合わせ、全体を検討する、というやり方でいきたい」


 アーノルトはチームを4つに分け、それぞれに魔力回路を割り当てた。


「持ち時間はとりあえず1時間でやってみよう」


*   *   *


 そして1時間、4つに分けた検討結果を持ち寄り、統合すると……。


「うん、だいぶ小さくなったね」


 元の大きさの事務机が、10キロ入りのみかん箱2つ分くらいには小さくなったのである。

 ここに、『専用カスタムパーツを使う』という対策を行えば、ティッシュの箱くらいまでは小さくできそうだ。


「うーん、ポケットに入るくらいに小さくしたいのに……」


 ぼそりとルビーナがそんな声を漏らした。


「そうだね。でもまずはこれで『機能試作』を作ってみないかい?」


 プロジェクトリーダーのアーノルトが諭すように言った。


「この大きさなら背負うにしても肩から提げるにしてもそれほど無理はないからね」

「そうですね……」


 そしてそこからもう一度小型化の検討をすればいいとアーノルトは言い、メンバーたちはみな同意したのである。


「よし。……それじゃあ昼休みにして、午後からまた頑張ろう」

「はい!」


*   *   *


 昼食は各自済ませるということで、大半は食堂で食べていたが、ゴウとルビーナは仁とエルザに声を掛けられて付いて行った。


「ええと、何か?」

「いや、ちょっと話をしようと思ってな」


 という感じで仁の乗機『ハリケーン』へ。

 もちろん中で昼食が出される。

 『ハリケーン』内にはキッチンがあるし、いざとなれば蓬莱島から食材も料理も送ってくるので不自由はしない。

 で、この日は蓬莱島から送られてきた定食だった。

 内容はお粥、油揚げと豆腐の味噌汁、梅干し、焼き魚、甘い玉子焼き、お新香といった和風家庭料理。

 それを食べながら仁は語り始めた。


「話というのは、先日行われた『オノゴロ島第5回飛行機競技会』の話さ」

「あ、そういえば」

「出たかったなあ……」

「うん、そうだろうな。だが2人はもう『アヴァロン』所属だから、出るなら休暇を申請しないといけないぞ」

「そうですよね」

「で、せっかくだからいろいろ参考になるだろうと、録画を見せてやろうと思ったのさ」


 競技の様子は『魔導投影窓(マジックスクリーン)』で観客に流されていたので、それを録画したものである。


「今回はプロペラ機での競技だったんだ」

「興味深いですね」

「あたしだったらどんな機体を作ったかなあ」


 録画を見ながら昼食を摂るゴウたち。

 ちょっと行儀が悪いが、今回は特別。


「あ、面白そう」

「うーん、チキンレースかあ……」

「空戦はやっぱり機体を傷めない実弾を使いたいですね」


 食事を済ませた後は、より集中して録画を観戦。


「ああ、シュウが優勝したのね」

「面白かったです」


 ゴウとルビーナにはいいリフレッシュになったようである。

 いつもお読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] う〜ん…… どうしても装置や機械としての側面があるからなのか 個人装備として完結させようとしてるからなのか難航してますねぇ。 いっその事、重力を発生させる部分をライフベスト+シューズ風に …
[一言] >専用ICの代わりにトランジスタや抵抗やコンデンサやコイルを組み合わせて回路を作っているようなものだ。 トランジスタだけで作った16bit CPUみたいなw 専用ICと比べると消費電力が悪…
[一言] >「ジン殿から少しだけ聞いたが、試作までいったそうだね?」 >「試作の試作……といったレベルですけどね   それにしてもマギシーケンスを試作に試さk o...の試作を重ねて実験もどっちが試そ…
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