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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
88 アヴァロン躍進篇
3387/4340

88-07 サポート

「行きます!」

「行くわ!」


 ロイザートにあるニドー家の屋敷。

 仁が『アヴァロン』で『フェニーチェ』の量産化の手伝いをするという話をしたところ、ゴウもルビーナも大乗り気だったのだ。


「メルちゃんも行くわよね?」

「え? 私も行っていいのかな……」

「もちろんだよ。ねえ、ジン様?」

「ゴウの言うとおりだ。いろいろ勉強になるから、むしろ行ったほうがいい」

「それなら、行きたい……です」

「よし、決まりだな」


 そういうわけで話はまとまり、翌18日の朝、『ハリケーン』で『アヴァロン』へ向かうこととなったのである。


*   *   *


「それでは行ってきます」

「行ってらっしゃい」

「ジン様、エルザ様、皆をよろしくおねがいします」

「ルビーナ、ジン様たちに面倒をかけちゃ駄目だよ」

「わかってるわよ、おばあちゃん」


 ダイキとココナ、アマンダらに見送られ、仁、エルザ、ゴウ、ルビーナ、メルツェらは『ハリケーン』に乗り込んだ。

 もちろん礼子も一緒だし、操縦士はホープである。


*   *   *


 道中はまったく問題なく、予定どおりの時刻に『ハリケーン』は『アヴァロン』に到着した。


「ようこそ、ジン殿、エルザ殿、ゴウ君、ルビーナさん、メルツェさん」


 トマックス・バートマンが一行を出迎えた。後ろには秘書自動人形(オートマタ)のマノンが控えていた。


「出迎え、恐れ入ります」

「なんの。『魔法工学師マギクラフト・マイスター』御一行を無視するなどということはできませんからなあ」

「……無理はなさらないでくださいね」

「お気遣いありがとうございます。大丈夫、マノンもシモーヌもおりますので」


 トマックス・バートマンはそう言って笑い飛ばした。

 が、ここにはエルザがいるわけで。


「……閣下、それでも疲労が溜まっています。せめて睡眠時間は、1日7時間以上とってください」


 と言われてしまった。


「は、はあ、エルザ様にそう言われては……」


 だがエルザは、マノンとシモーヌの『製作主(クリエイター)』にして『至上の主人(アークマスター)』、仁に頼むことができる。その内容とは……。


「マノン、これから言う指示を、シモーヌにも伝えておけ。……トマックス・バートマン殿の睡眠時間を1日あたり7時間以上確保するように、と」

「はい、承りました」

「エ、エルザ殿、ジン殿……」


 だが、エルザは真剣な顔でトマックス・バートマンに向き合い、


「閣下、今の『アヴァロン』には閣下が必要です。ですからどうか、ご自分を大事になさって、ください」


 と訴えかけたのである。


「……エルザ様……ありがとうございます」


 自分の健康を気遣ってくれたエルザに対し、トマックス・バートマンは深々と頭を下げたのだった。


*   *   *


 さて、そんな一幕があったものの、仁一行は『アカデミー』にやって来た。


「ここもかなり組織が変わったという話だけど……」


 1階エントランスの総合案内で簡単に説明を受け、『技術指導主任』であるアーノルトの部屋を教えてもらった。

 在室だというので(もちろん『仲間の腕輪』で仁たちの来訪は前もって知らせてある)皆で訪問すると、


「やあ、いらっしゃい。よく来てくれたね」

「いらっしゃいませ、皆様」


 と、上機嫌のアーノルトとその自動人形(オートマタ)チェルに出迎えられたのだった。


*   *   *


 アーノルトの執務室に招き入れられた一行は、チェルが淹れてくれたお茶を飲みながら話をしている。


「なんでも、『フェニーチェ』の量産化を手伝ってくれるという話だが?」

「そのとおりだ。元々『フェニーチェ』はゴウとルビーナの『ナイルⅧ』を元にした飛行機だからな」

「ええ、できることでお手伝いできたらと思いまして」

「それは助かるよ」

「ゴウとルビーナにとってもいい勉強になると思うから、手伝わせてやってくれ」


 仁もそう言って2人の指導をアーノルトに頼むのだった。


「エルザはどうする?」

「私は、メルツェに付いていてあげる」

「そうだよな。そうしてあげてくれ」

「ん」


 メルツェはこの機会に、『アカデミー』内の各研究室を見学したいという希望を出しており、ならばエルザが付き添う、という話になっていたのである。

 ちなみに、デウス・エクス・マキナ3世は、昨日夜、一旦拠点の『アルカディア』に戻っている。


「俺は必要なところのサポートをするよ」

「そう言ってもらえると助かるなあ」


 『技術指導主任』になったばかりのアーノルト。雑務レベルの仕事もかなり溜まっていた。


「そういえば、サポート用ゴーレムもいるんだよな?」

「うん、『サポ03』と『サポ04』が」

「その2体をチューニングしてもいいかな?」

「構わないよ。2体をもらった時に、『改造も好きにしてくれて構わない』と言われたから」

「よし」


 そこで仁は、アーノルトの負担を軽減するための一手として、サポート用ゴーレムの改造(魔改造)をすることに決めた。


 まず2体を作業台の上で停止させる。

 それを、礼子を助手に解体していく仁。

 2分で2体は解体されてしまった。


「ふうん、いい出来だな。これは元の『ゴー研』が作ったものかな?」

「その量産機だと聞いているよ」

「やっぱりな。グローマやエイラの癖みたいなものがところどころに見られるよ」


 軽銀製の骨格を64軽銀に変えながら仁がつぶやく。

 その手は止まることなく、筋肉組織、魔導神経線を次々に品質アップさせていく。


「『制御核(コントロールコア)』も少しグレードアップしよう」


 仁は礼子に頼んで『ハリケーン』から『魔結晶(マギクリスタル)』を持ってきてもらい、それを加工していく。


「これでよし、身体性能は2倍に、知力は5倍に上がったと思う」


 ここまでの作業時間はおよそ6分。

 ゴウとルビーナ、メルツェも見学していたが、その妙技に絶句していた。

 だが慣れているエルザだけは、


「ジン兄、今日は少しゆっくりだった」


 と悪気わるぎのないつぶやきを漏らしたのであった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20220729 修正

(旧)ここまでおよそ6分。

(新)ここまでの作業時間はおよそ6分。

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― 新着の感想 ―
『ノンビリとゆっくりと読み返すのも良い物ですね』 ≫「マノン、これから言う指示を、シモーヌにも伝えておけ。……トマックス・バートマン殿の睡眠時間を1日あたり7時間以上確保するように、と」 トマック…
[良い点] とうとう、改造に『魔』のルビが。 そしてエルザ……。 イ「一度、エルザさんの治療実習を見学した事がありまして、あまりにテキパキし過ぎていて、一瞬   『ひょっとして手を抜いてるのでは?』と…
[一言] 「ゴウ >行きます!」 「ルビーナ >行くわ!」 二人を乗せた『フェニーチェ』g o...カタパルトを蹴飛ばし大空へと舞い上がr...rz 「何「やらせるのよっ!!###」」どこから飛ばせる…
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