表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
80 新たな仲間篇
3018/4346

80-04 第1地下基地、改修開始

 準備を整え終えた仁は、現場にいる仁Dに資材を引き渡す。

 仁Dはそれを使い、『第1地下基地』を改修するわけだ。

 ちなみに、仁Dは仮称として『第1地下基地』『第2地下基地』と呼んだわけであるが、建設当時の人たちもそう呼んでいたとチェルが教えてくれたので、今後もそう呼ぶことに決まる。


「さて、まずはデータの保存からだな」


 『イザーク』を作り直すところから始める仁D。

 外装を取り外し、結線類も一旦切断。『魔素変換器(エーテルコンバーター)』と『魔力炉(マナドライバー)』も接続を切る。

 記憶媒体として使われている魔結晶(マギクリスタル)は4つあった。


「これをバックアップして、と」


 仁が仁Dを操縦している時の礼子は、ほぼ無言で黙々と助手を務めている。

 実際には蓬莱島にいる仁が内蔵魔素通信機(マナカム)で指示を出しているのだが。


 それを見学しているチェル。


(すごい作業速度ですね……製作者様を上回っています……)


 チェルは仁Dの尋常ではない作業速度を見て驚異の念に打たれていた。

 仁Dは記憶媒体をコピーした後、補助処理装置として使われていた魔結晶(マギクリスタル)を取り外した。

 次いで、結線類をバラけないよう仮止めすると、念のため『魔素変換器(エーテルコンバーター)』と『魔力炉(マナドライバー)』も取り外す。

 次々に補助の魔導装置(マギデバイス)が取り外されていく。

 助手の礼子はそれらを規則的に配置し、なおかつナンバリングしていった。


 最後に『制御核(コントロールコア)』が取り外され、『イザーク』は完全に解体されたのである。

 この間、およそ5分。

 チェルはもう、完全に脱帽である。

 そして、


(この方なら、基地をあるべき姿にしていただけるでしょう)


 と確信したのであった。


*   *   *


 取り外した『制御核(コントロールコア)』の情報はすぐさま蓬莱島に送られ、仁と老君が解析を開始する。


「うーん、やっぱり基礎処理部分が稚拙だな」

『はい、御主人様(マイロード)。セーフティも脆弱です』

「ここなんか、バグが残っているぞ……」

『かなり急いで作ったか、デバッグをおろそかにしたか……ですね』

「長時間の思考ループにリミッターがないしなあ」

『ハードウェア的にも、安全回路的なものが足りませんね』


 とにかく酷評であった。


 ひととおりの解析を済ませた仁は、制御核(コントロールコア)の修正……いや、新造を開始する。


「その辺を踏まえて、この思考回路をこう直して、補助の処理ルーチンを分岐させて……」


 新造ではあるが、極力元の思考ルーチンに似せることを心掛けた。


「こうして、こう……っと。老君、シミュレーションとデバッグを頼む」

『承りました』


 老君は自分の演算処理エリアに『新イザーク』の思考回路を仮想構築し、さまざまな処理を行わせ、不具合を確かめていく。

 特にループに入り込まないか、また暴走の危険はないか、といった安定性と安全性の面について重点的に確認を行う。


 そして1分後。


御主人様(マイロード)、バグはないと判断いたします』

「おお、ありがとう、老君」


 老君のシミュレート結果も上々、これで心配はほぼなくなった。

 ほぼ、というのは、いつの世にも予想できないことというのは起こりうるからだ。


 無限大の能力を持つためには無限大の時間が必要だ、って、何の本で読んだのかなあと思いながら、仁はできあがった『基礎制御魔導式(コントロールシステム)』を仁Dへと転送した。


*   *   *


 仁から受け取った『基礎制御魔導式(コントロールシステム)』をそのまま新しい『魔結晶(マギクリスタル)』に書き込んでいく仁D。

 この魔結晶(マギクリスタル)は蓬莱島産で、『旧イザーク』に使われていたものより数ランク上の品質である。


 十数秒で制御核(コントロールコア)は完成。


「よし、次は『魔素変換器(エーテルコンバーター)』と『魔力炉(マナドライバー)』も新造しよう」


 ベースになる魔結晶(マギクリスタル)の品質が悪かったので、効率も今一つ(仁基準)だったのだ。

 さらに、魔力導線に使われているミスリル銀の純度も上げておく。

 これで、全体的な『自由魔力素(エーテル)』の運用効率が7割増しになった。


(す、すごい……やはり当代きっての技術者だというのがわかりますわね……)


 チェルは絶句したまま、仁Dの作業を見つめている。


 その仁Dは、今、『旧イザーク』の外装を元通り取り付け終わったところである。

 ここまでおよそ30分。

 チェルがクゥプへ戻る暇もないほどの早業であった。


 慎重にチェックをしていた仁Dは、最後に『セキュリティ』を取り付ける。

 これは、握力が300キログラム以上ないと動かせないレバーで、その上には重さ100キログラムの蓋を載せておく。

 開けるには、指1本で100キロを持ち上げられるだけの力が必要である。


「それがセキュリティですか?」

「そう。第1段目は物理的な障害だ。そしてレバーを動かした後、俺の魔力パターンを検知し、優先度を変更させる。つまり俺立ち会いの上でセッティングすることになるな」

「なるほど、ジン様独自のやり方ですね」

「そういうことになるな」


 仁としては、ここの『主人』は国王にすべきだろうと考えているので、完成したあと、視察に来てもらい、その際に優先順位を登録すればいいと思っているのだ。

 その後は多分、これから整備する自動人形(オートマタ)に管理を任せることになるだろう。


*   *   *


 新生魔導頭脳の起動はまだ行わない。

 基地に設置された各種センサー類が未修理だからである。

 その前に、仁Dは自動人形(オートマタ)とゴーレムの整備を行い始めた。

 というより、これもほぼ新造である。

 なにしろ、戦闘用ゴーレムはそのほとんどを従騎士レイによって破壊されていたのだから。


「医療用ゴーレムは元どおりにして、整備しておけばいいかな」


 が、戦闘用ゴーレムは作り直したほうが早そうである。


「ちゃっちゃと済ませるか」

(な、なんという……)


 15分で戦闘用ゴーレムを3体仕上げてしまう手際のよさに、もう何も言えないチェルである。


 医療用ゴーレムの修理と整備も15分で終了。

 その後、仁Dは少し考え込んだあと、チェルに向き直る。


「うーん……チェル、ちょっといいか?」

「は、はい、なんでしょう?」

「こっち……『第1地下基地』って、魔導頭脳を補佐するような自動人形(オートマタ)っていないのかな?」

「はい、いませんね」

「なぜ?」

「さあ、わたくしには、こちらの基地を作られた方たちのお考えまではわかりかねます」

「そうか……じゃあ、そういう自動人形(オートマタ)を作ろうと思うんだが、いいかな?」

「はい、よろしいかと思います」

「わかった」


 こうして仁Dは『第1地下基地』を手早く改修していき、チェルはクゥプに戻ることも忘れたようにその手際に見入るのであった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 本日は都合により 異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す は休載させていただきます。

  (次の更新は7月22日(木)14:00 の予定です)


 お知らせ:7月18日(日)は昼過ぎまで不在となります。

      その間レスできませんのでご了承ください。


 20210718 修正

(誤)基地に設置された各種センサー類が未修理だらかである。

(正)基地に設置された各種センサー類が未修理だからである。


(旧)チェルは仁Dの尋常ではない作業速度を見て脅威の念に打たれていた。

(新)チェルは仁Dの尋常ではない作業速度を見て驚異の念に打たれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 礼「チェルさん、おめでとうございます」 餡「ようこそ、私たちの世界へ!」 チ「え?なに?え?え??」 仁「……お前ら、人の手際を人外魔境の様に……######」 老『え?違うのですか?』 …
[良い点] イザークの魔改造が始まったわけですが、マギクラさん(D)の超絶技能にチェルさんの評価は上がりっぱなしですね。驚異的存在として排除って思考になってみないのかな? チェル「やめて下さい、ちんで…
[一言] >取り外した『制御核』の情報はすぐさま蓬莱島に送られ、仁と老君が解析を開始する。 その間仁Dは考える人のポーズで解析&設計してるふり。 >その上には重さ100キログラムの蓋を載せておく。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ