表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
79 捜理協会篇
3011/4342

79-38 地下へ

 仁Dたちが元『聖女』アウラリアの両親を保護するためオースの町へ急行している頃。

 『大聖堂』でも元『聖女』アリアンヌの両親を救出するべく、マキナ3世と従騎士レイが動いていた。


「地下への通路は……」

「あそこです」

「よしレイ、行け」

「はい」


 従騎士レイは、礼拝堂の祭壇に真横から飛び蹴りを喰らわせた。


「あ、ちょっ……」


 仮にも『聖女』と呼ばれていた3人は、その暴挙に一瞬目をみはる……が、飛び蹴りを喰らった祭壇は少々破損しながらも横にずれ、そのあった場所には四角い穴が口を開けていたのである。


「これが地下への通路だな」

「はい」


 ここでマキナ3世はアリアンヌたちを振り返り、一言。


「行ってくる。チェル、行くぞ」


 そしてマキナ3世はレイとともに、穴へと飛び込んだのであった。

 少し遅れてチェルも続いた。


*   *   *


 穴は縦穴ではなく、すべり台のように斜めになっていた。

 『地底蜘蛛絹(GSS)』製の服は床と擦れあっても磨り減ることはなく、マキナ3世とレイ、それにチェルは20メートルほどを滑り落ちて底に着いた。

 底は10メートル四方くらいの小広いホールになっていた。

 魔導ランプが幾つか灯っているので真っ暗闇ではない。

 が、普通の人間では暗すぎてほとんど見えないだろう。

 そこでマキナ3世は特殊なゴーグルを付けた。いわゆる『暗視用ゴーグル』である。

 もっとも、このような装備を着けずとも、マキナ3世は問題なく暗視ができるのだが、チェルの前なので偽装しているのである。


「斜度は45度くらいだったから、14メートルくらいの地下というわけだな」


 ざっと計算してみるマキナ3世。


「さて、見たところ、行き止まりのようだが……」

「マキナ様、あそこに階段があります」

「お、よく見つけたな」


 3人がそこへ行ってみると、ホールの隅に人1人がやっと通れるくらいの開口部があり、その奥に地下への階段が覗いていたのだ。

 そこにも薄暗い魔導ランプが灯っていた。


「よし、行ってみよう」

「はい」

「……マキナ様は思い切りがいいですね」


 チェルが半ば感心、半ば呆れたように言う。


「レイのことを信じているからな」


*   *   *


 レイ、マキナ3世、チェルの順に薄暗い階段を降りていくと、扉が1つ。

 鍵は掛かっていないので、レイが開けてみると、奥に鉄格子がはまった小部屋があるのが見えた。

 ここにも薄暗い魔導ランプが1つあるだけなのだが、マキナ3世とレイの目には十分な明るさである。

 そして2人の目には、鉄格子の奥に横たわる2人の男女の姿が見えていた。


「もしもし」


 声を掛けると、横たわっていた2人はぴくりと動き、顔を上げた。


「あなた方はアリアンヌさんのご両親ですか?」

「……は、はい……」


 女性の方が力なく答えた。


「助けに来ました」

「ああ、ありがとうございます……」


 鉄格子は床と天井に嵌め込まれており、頑丈だ。

 だが、レイにとっては粘土細工のようなもの。


「レイ、壊せ」

「はい」


 レイは腰の剣を抜く。


「危ないですから下がっていてください」


 と言ってアリアンヌの両親を下がらせたあと、レイは剣を2度、横にいだ。

 それだけで直径3センチほどもある鉄格子が5本切り取られ、大きな音を立てて床に散らばったのである。


「すごい切れ味ですね」


 感心するチェル。


「……なるほど、超高周波で振動しているのですか」


 そして『超高速振動剣バイブレーションソード』の原理までも見抜いていた。

 改めてその能力に舌を巻いたマキナ3世である。


「……おお、ありがとうございます!」


 立ち上がり、よろめきながらマキナ3世とレイの手をとって礼を言うアリアンヌの両親。


 だがマキナ3世は、


「申し訳ないが、もう少しだけここで待っていてくれ。この階にはまだあと3人、閉じ込められているようなんだ」

「わかり……ました」


 力なく頷く2人にマキナ3世はポケットからぺルシカジュースの入った瓶を2本取り出した。


「これを飲んでおくといい。少しは元気が出ると思う」

「ありがとうございます……」

「あ、ありがとうございます……」


 礼を言ってそれを受け取る2人。


「さて、それじゃああと3人、救出に行かないとな」

「はい」

「マキナ様。こちらのようですよ」

「お、ありがとう」


 どうやら3人は重度の麻薬中毒のようで、その脳波をチェルは感じ取ったようだ。


 扉を2つくぐると、鉄格子の奥にベッドが3つあって、女性が3人横たわっていた。

 いずれも20台後半くらいで、ばさばさではあるが金髪。


「目を閉じているので定かではないが、おそらく碧眼なんだろうな」

「マキナ様、それはいかなる理由によってです?」

「さすがのチェルにもわからなかったか。……単なる見栄えだよ」

「見栄え……」

「そう。『聖女』は金髪碧眼という容姿で統一しておくと、なんとなく神々しい感じがするんだろうさ」

「なるほど……そういう心理的な効果を狙ったのですか」

「そういうことだな」


 マキナ3世とチェルがそんな会話をしているうちに、レイが鉄格子を切り飛ばし、3人を自由にした……のだが、3人とも衰弱が激しく、自分では動けないようだ。


「これはまずいな……」


 ぐずぐずしていると警備の者がやってくるだろうとマキナ3世は考えている。

 これまでは『礼拝堂』での一連の騒動により、注意がそちらに向いていたであろうが、そろそろ地下の異常に気が付いてもおかしくない頃である。

 さすがに監禁されていた5人を守りながら撤退、というのは少々荷が重い。

 戦闘力の問題ではなく、単純に数の問題なのだが。


*   *   *


 だが、デウス・エクス・マキナ3世のそんな苦境ともいえない苦境も、老君と導師は察知していた。


 そこで仁に許可を取り、『ランド隊』5体を『大聖堂』地下へ送り込むことにしたのである。

 もちろん『転送機』を使って、だ。


 名目上は『魔法工学師マギクラフト・マイスター』からの増援、ということになる。

 『こういうこともあろうかと』と前夜から準備していた、という建前だ。


 そして、その5体がマキナ3世と合流する……。


*   *   *


「マキナ様、誰か来ます。……あれは、ジン様の配下ですね」

「どうやら、ジンが事前に手を打ってくれていたようだな。これで余計な時間を掛けずに地上へ戻れるな」


 その言葉どおり、2度ほど警備用ゴーレムと出くわしたが、全く問題なく撃退できた。

 そして地上への通路も難なく見つけることができ、マキナ3世、従騎士レイ、そしてチェルらは、『ランド』5体の助けを借り、地下に監禁されていた5名を無事救出したのである。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  本日7月11日(日)は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  https://ncode.syosetu.com/n8402fn/

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。


 20210711 修正

(誤)ベルシカジュースの入った瓶を2本取り出した。

(正)ペルシカジュースの入った瓶を2本取り出した。

(誤)立ち上がり、よろめきながらマキナとレイのの手をとって礼を言うアリアンヌの両親。

(正)立ち上がり、よろめきながらマキナ3世とレイの手をとって礼を言うアリアンヌの両親。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 飛び蹴り…ドロップキックと言えば、個人的には小柄な覆面レスラーで関西のどこかの市議会議員をイメージしますなぁ。 仁「確かに綺麗なドロップキックしているけどもw」 エ「レーコだったら、タイキ…
[一言] 隠し通路の先だけあって看守みたいな存在がいないのは救出する上で面倒がなくて助かりますね 救出に来たのに人質に取られでもしたら厄介でしたし
[一言] >穴は縦穴ではなく、すべり台のように斜めになっていた。 逃走用の隠し通路か。 逃げ込んだ後スイッチを入れると途中に金棒が下りて追いかけてくる奴にダメージを与えられるようになってたりしてw …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ