表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
78 過去からの縁篇
2972/4343

78-39 とりあえずの結末

 戦闘用ゴーレム2体を、エイラやグローマの援護で辛うじて防いでいた『GXー027』であったが、3体目が出てきては到底支えられるものではなかった。


「『GXー027』!」


 奮戦虚しく、右腕をもがれ、頭部をひしゃげさせ、『GXー027』は床に倒れ込んだのである。


「くっ、エイラ、逃げろ!」

「逃げろったって、どこへさ!」


 戦闘用ゴーレムとエイラの間に立ちはだかるグローマであったが、あっさりと捕まってしまう。


「クッ、は、離せ!」


 両腕をがっしりと掴まれては、もう逃げられない。自由な足でゴーレムを蹴っては見るが、人間の蹴りではダメージなど与えることもできないのである。


「グローマ!」

「バカ、エイラ、逃げろ!」

「どこへも逃げられないよ!」


 正に『行くも地獄、戻るも地獄』。

 通路の両側をゴーレムに塞がれ、エイラたちは袋のネズミ状態であった。

 だが。


「……?」


 グローマ・トレーは、自分を捕まえているゴーレムがおとなしいことに気が付いた。

 確かに両腕の付け根を捕まえられており、ろくに身動きもできないのだが、苦しくはないのだ。

 つまり、力任せに掴まれているのではないということ。

 ゴーレムがその力を振るえば、グローマの腕など簡単に引きちぎることができるのだから……。


 だが、エイラは違った。

 2体の戦闘用ゴーレムがエイラを壁際に追い詰めている。

 そして2体が同時にそのごつい腕を振り上げたのだ。

 それが振り下ろされれば、エイラは物言わぬ肉塊になってしまうだろう。


「エイラ!」


 思わず叫ぶグローマ。

 だが、ゴーレムの腕が振り下ろされることはなかった。


 2体の戦闘用ゴーレムは、腰の部分で切り離され、上半身と下半身は泣き別れ……。上半身は床に落下し、下半身は立ったまま動きを止めたのである。

 そしてグローマを捕らえていたゴーレムもまた、両腕を切り落とされ、胴体を真二つにされて床に倒れ込んだのであった。


「貴方は……」

「間に合って、よかった」


 フルフェイスのヘルム、全身を覆う白銀色の軽鎧。

 跳ね上げた面当ての下に見えるのは、アイスブルーの瞳。


「従騎士、レイ殿」

「グローマさん、エイラさん、でしたね。怪我はありませんか?」

「ああ、はい、おかげさまで」

「それは何より。まずは、ここから出ましょう」


 のんびりした会話であるが、それもそのはず。

 セルロア王国兵士のショウ・ノリジと世界警備隊のアレオ・ヨカ・ナイツが相手をしている小柄な2体のゴーレムも、既に無力化されていたのである。


「ラザロ殿は私が背負っていこう」

「ではカイン殿は私が」


 気を失っている2人はショウ・ノリジとアレオ・ヨカ・ナイツが背負うことで、一行は速やかに砦の外へと脱出した。


 外はまだ夜。

 ユニーは西の空に高く懸かり、夜明けはまだ遠いことがわかる。


「お、あれは」

「『アリストテレス』だったっけ。デウス・エクス・マキナ3世の乗機だったな」


 ほっとした声でエイラが呟いた。


 『アリストテレス』が砦横の平地に着陸している。

 その前にはデウス・エクス・マキナ3世が立っていた。


「みんな、説明はあとだ。乗ってくれ」


 その言葉に、全員が従った。


「よし、離陸」


 全員が乗ったことを確認すると、『アリストテレス』は離陸する。

 その直後、砦から『火の弾丸(ファイアバレット)』が発射され、数秒前まで『アリストテレス』が着陸していた場所に着弾した。


「間一髪だったな。もっとも、あの程度の炎じゃ『アリストテレス』はびくともしないが」


 外を見ていたデウス・エクス・マキナ3世はそう呟いた。

 そのまま『アリストテレス』は上昇を続け、『火の弾丸(ファイアバレット)』が届きそうもない高度で静止した。高さはおよそ200メートル。


「『ルトグラ砦』の地下に、旧ディナール王国の施設があることがわかってな。無力化するために来たんだが、まさかあんなことになっているとは思わなかったよ」


 マキナ3世は、グローマたち一行に説明をする。

 クゥプの南に浮かぶ島に、『魔導大戦』時の『施設』があること。

 ここ『ルトグラ砦』の地下にも同時期の『施設』があること。

 『ルトグラ砦』の『施設』は魔導頭脳が管理しているらしいこと。

 その魔導頭脳の指示で、クゥプ南の島の『施設』から資材を持ち出し、ここ『ルトグラ砦』の補修に使ったらしいこと。

 その、クゥプ南の島にある施設を悪用した奴らがいるかも知れないこと、を。


「そして、『ルトグラ砦』の魔導頭脳は少し暴走している節があるんだ」

「そうだったんですか」

「だからとるものもとりあえず飛んできたのだ」

「おかげで助かりました」


 そんな会話をしていると、『ルトグラ砦』から飛翔体が発射された。

 が、それは『アリストテレス』の『物理障壁(ソリッドバリア)』で楽々防ぐことができた。


「ふむ、長距離用の矢のようだ」

「200メートル上空まで届くとは驚きですね」


 マキナ3世の説明に、グローマ・トレーが驚いている。


「旧ディナール王国は、このアルスの歴史上、最も魔法科学が進んでいた国だからな」

「学ぶことは多いでしょうね」


 その後、『ルトグラ砦』の動きがなくなったので、『アリストテレス』は一旦引き上げることにした。

 目指すはセルロア王国首都、エサイアである。


 夜が明け始め、雲が焼けて美しい。

 朝焼け(モルゲンロート)に染まる大地と山々。


 『アリストテレス』は黎明の光の中、一路エサイアを目指すのであった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20210602 修正

(誤) その、クゥプ南の島にある施設を悪用した奴ら」がいるかも知れないこと、を。

(正) その、クゥプ南の島にある施設を悪用した奴らがいるかも知れないこと、を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] エイラのルーツが近いうちに明かされそう。 謎に包まれた正体はw [一言] 振(頭部凹)「」死〜ん フリッツは頭部をへこました状態でちんでいる。 仁「もう出オチしないと生きていけない体になっ…
[一言] 制圧できるだけの戦力があっても魔族認定したなら容赦なしですか 間に合ってよかった
[一言] >グローマ・トレーは、自分を捕まえているゴーレムがおとなしいことに気が付いた。 戦闘用ゴーレムに洗脳解除機能がなくて良かったねw あったら気絶させられてたよ。 >それが振り下ろされれば、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ