↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
62 パンドア大陸再訪篇
2321/4421

62-25 マハリーグ視察

 天気は曇り。

 北風が吹いて、今日は少し肌寒い。……のだが、カチェアはもっと北にある村の出身だし、仁も『地底蜘蛛絹(GSS)』製の服を着ているので暑さ寒さには強い。

 ホテルを出た仁一行は、復興の進む町並を歩き始めた。

「やっぱり、全然違うな」

 元々、新興都市だったが、今はさらに整然とした区画整理がなされている。

「そうですね……ここではもう、私はジンさんを案内できませんね」

 仁やカチェアがいたマハリーグの町並はもうどこにもない。

 マルキタスの攻撃対象になっていたため、公王城は真っ先に破壊されたし、周囲の被害も相当なものだったはずだ、と仁は考えた。

「本当に、あの時は生きた心地がしませんでした」

 仁の考えを読んだかのようにカチェアは呟いた。

「地下倉庫に逃げ込んで、未完成だったゴーレムを完成させて対抗しようとしたら敵のゴーレムは20体もいて……」

 今でも思い出すと震えが来る、と言った。

「……」

 こういう時、何を言えばいいのかわからず、無言になってしまう仁であった。


「ふふ、お気になさらず。トラウマにはなっていませんから」

 無言になった仁の気持ちを察したのか、カチェアが笑った。

「私も、あの頃より少しは強くなったんですよ?」

「ああ、そうみたいだな」

 村を出る時にもおどおどしていたカチェアは、今では立派な『アヴァロン』職員であり、『アカデミー』の研究生であった。


「うーん、なかなかよくできているな」

 町並を見て歩きながら、仁は感想を述べた。

「基礎工事もしっかりやっているし、構造も、俺の知る限り問題ない」

「そうですか、それはよかったです」

 ここで礼子が右手の方向を指差した。

「お父さま、あれを」

「おお」

 そこには、高さ50メートルはありそうな塔が建っていた。

「おそらく『管制塔』ですね」

 ホープが言う。

「そうだな。あれ? 確か飛行場の方角は逆じゃないか?」

 そもそも、『ハリケーン』が着陸する際、あんな塔は目にしていない。

「おそらく飛行場はマハリーグの東西にあるのでしょう」

 ホープが推測を述べた。

「国内線用と国際線用、とかかな?」

 仁も想像してみた。

「はい、その可能性もありますね。今はまだ分けられていないでしょうけれど」

 仁が着陸したのは将来的に国内線用の飛行場だったらしい。

「海側が国際線で、山側が国内線ということかな?」

「そうなるのではないでしょうか。『ハリケーン』を駐機した飛行場は小さめでしたから、国内線用という可能性が高いです」

 それに、海側に国際線用飛行場を作るというのは理に適っている、とホープ。

「そうですね、ホープさんの言うとおりでしょう」

 カチェアもその意見に賛成のようだ。

「あの管制塔もそのためのものでしょうし」

 

 そんな会話をしつつ、復興の様子を観察していく仁たち。

「8割から9割復興していると、活気もありますね」

「だな」

 今、仁たちは商店街にやって来ていた。

 住民がいるのだから物流は生まれる。中でも食料は必須だ。

「この辺は活気があるな」

「ええ、そうですね」

「どこかでお昼にしよう」


 時刻はそろそろお昼になる頃、食堂を探す仁たち。

「お父さま、あそこはどうでしょう?」

 目のいい礼子が指差したのは、広い道路の反対側にある食堂。

「各国の食事が楽しめるみたいです」

 50メートル以上離れているが、食堂の中まではっきりと見えている礼子は、

「食べている人の表情も悪くありません」

 と説明した。


 そこでお昼はそこで食べることに決める。

 道路を渡って反対側へ。

 まだ馬車も自動車も通っていないので静かなものだ。

「席は……空いているな」

 半分くらいの席が埋まった状態だったので、仁たちは安心して中に入った。

「いらっしゃいませ」

「ええと、ゴーレム1体と自動人形(オートマタ)1体も一緒でいいかな?」

「はい、大丈夫ですよ」

 どうやらおおらかな店のようで、混雑もしていないので仁たち4人は奥の席に陣取った。

 メニューはテーブルの上にあったので、さっそく確認する。

「この『ショウロ皇国風定食』にするかな」

 と仁。

 カチェアは、

「無国籍バラエティ定食」

 を選んだ。

「なんだ、それ?」

 と仁が尋ねると、

「『アヴァロン』でも時々出るんですよ。要は、各国の料理を色々混ぜたようなものです」

 それを聞いた仁は、なんとなく理解した。

(パンに味噌汁、酢豚にグラタンみたいな組み合わせかな)

 カチェアもまた、仁同様に好き嫌いはなくなんでも食べる。

 そして普段から『アヴァロン』でこうした組み合わせの食事をしているんだろうな、と仁は思った。


 定食はまずまずの味であり、値段も良心的。

「おそらく『アヴァロン』で学んだ料理人ですね」

 とカチェアが言うところをみると食べ慣れた味だったようだ。


*   *   *


 昼食後は、復興中のエリアに行ってみることにした。


 そこでは、作業用のゴーレムもおり、人間の現場監督の下、きびきびと作業が進められていた。

「この町では口を出すところはなさそうだな」

「そうですね。これだけの効率でなされている作業はなかなかないと思います」

「同感です」

 仁、礼子、ホープも作業の適切さを認めた。

 ただカチェアだけは、じっと一点を見つめている。

「どうした、カチェア?」

 仁が尋ねる。

「はい、あそこが気になって……」

 カチェアが指差したのは、資材置き場だった。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  お知らせ:

  本日8月4日は14:00に

  異世界でホムンクルスになっていたのでスローライフを目指す

  を更新します。

  こちらも応援のほどよろしくお願いいたします。


 20210517 修正

(旧)なので、高緯度にあるこの町を歩くには少し肌寒い。

(新)北風が吹いて、今日は少し肌寒い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  始めのほうで、「高緯度にあるこの町」とあるのですが、マハリーグは北緯25度付近なので、むしろ低緯度というべき場所ではないかと思います。5月初旬なので北から冷たい空気が南下してきて、少し肌寒…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。