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マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
62 パンドア大陸再訪篇
2308/4291

62-12 管理官の訪問

 翌朝、朝食をカチェアの実家で済ませた後、仁は礼子、『エンジュ2』、カチェアと共に村長セルゲイ宅へ。

「おはようございます」

「おお、おはよう、ジン君。……その人は?」

「医療用自動人形(オートマタ)の『エンジュ2』です」

「い、医療用自動人形(オートマタ)!?」

「はい」

 仁は昨日、医療関係がまだ充実していないと聞いたこと、カチェアの義姉イネッサが臨月なので心配になったこと、などから、『ハリケーン』に用意していた医療用自動人形(オートマタ)を起動したと告げた。

 そして『アヴァロン』から医療スタッフが派遣されてくるまで貸与します、と言った。

「おお、それは助かる」

 駐在場所は村長宅でいいということになる。

 一番わかりやすいだろうから、それでいいと仁も思った。

「セルゲイさん、よろしくお願い致します」

「エンジュさん、でしたな。こちらこそよろしく」

 そして仁は、

「そういうことですので、体調の悪い人はどんどん見てもらってください」

 と言っておく。そしてさらに、

「診察料はどうしましょうか……」

 と、セルゲイに確認する仁。

 無償で医療行為を行うと、今後治癒士が派遣されてきた際に困るだろうからだ。

「それは私がだいたい知ってます」

「お、そうか」

 が、カチェアが『アヴァロン』での医療業務の対価に関しても少し知っていると言ってくれたので任せることにする。

 カチェアがいてくれて助かった、と仁は安堵し、彼女を連れてきたのは正解だった、とも思ったのである。


 ともあれ、医者不足はこれでいいだろう、と仁は少し安堵したのだった。


*   *   *


 が、なかなかめでたしめでたしとはいかないようで、

「村長、いるかね?」

 と言いながら、役人らしき者が入ってきた。

「あ、これは管理官殿」

 仁は、やって来た人物が、どうやらこの地方の管理官らしいと推測した。

「何かありましたか?」

「……その前に、この者は? それに、そちらの女性は?」

 仁とエンジュ2を見ての言葉である。

「こちらは客人のジン殿。そちらはジン殿が貸してくださった医療用自動人形(オートマタ)の『エンジュ2』です」

「ほほう……」

 管理官は不躾ぶしつけな態度で、仁とエンジュ2をじろじろと眺めた。

「何か?」

 その態度があまりにも不快だったので、仁は顔をしかめ、

「貴殿の名前は?」

 と尋ねてやった。

「む? メルカーナ自治区北部管理官、ゴーン・マウイ・フォン・キーマだ」

「ショウロ皇国の出身か」

「そうだが……ジンと言ったな? ジン? ジン・ニドー……殿か? いや、ですか?」

 仁が何者か、ようやく気付いたらしく、慌て始めるゴーン。

「そうだけど」

「こ、これは失礼をば致しました。『魔法工学師マギクラフト・マイスター』のジン殿ですね!?」

 今度はペコペコし出すゴーン。

「……ああ、もういいから、何かあったのなら用件を伝えてくれ」

 あまり長いこと相手をしていたくない人物だな、と仁は判断。

 戻ってから報告する内容がまた1つ増えたようだ。


「は、はい。……ええとですね、隣のファン村が盗賊に襲われたのです」

「何だって!? 被害は?」

「死者は0、重傷者1、軽傷者多数……ということです」

「その盗賊は?」

「食料を奪って逃げたとのことです」

 これは一大事と言っていい事件であった。


 ファン村までは直線距離で35キロ、道のりは40キロくらい。歩いても1日で来られる距離だ。

 このタジー村にも盗賊がやってくる可能性は高い。

 それ以上に、

「重傷者というのは……大丈夫なのか?」

 こちらの方が気になる仁である。

 それに対してゴーン管理官は、

「今、治癒士の手配中で、今日の夕方には到着するはずです」

 と答えた。

「……」

 この答えに仁は、

「それじゃあ間に合わなくなるかも知れない。俺たちがファン村へ行こう。……カチェア、一緒に来てくれるか?」

「あ、はい」

 ファン村には、カチェアの知り合いがいるだろうという推測からである。

 なにしろ仁にはファン村は全くと言っていいほど知らないのだから。


「ヘルガ、カチェアの家の人にそう言っておいてくれ」

「わかったわ」

「じゃあ、行こう」

 仁は礼子と共に駆け出した。カチェアも後に続く。

 カチェアが追いついてくる前に仁は、

(礼子、老君に言って『ハリケーン』に『エンジュ3』なり『リーゼ』なりを送ってもらってくれ)

 『エンジュ2』はタジー村に貸与しているので、もう1体医療用自動人形(オートマタ)がほしい仁である。

(わかりました。……お父さま、老君は『エンジュ3』を送るそうです)

(わかった)

 そう話し終わった時、カチェアが追いついてきた。ちょうど『タウベ改』の駐機場所である。


 礼子は『タウベ改』の発進準備に取り掛かる。

「ジンさん、タジー村はこの先大丈夫でしょうか?」

「だから『エンジュ2』を置いてきたんだ。あれでもいざとなれば、普通の人間の5倍以上のパワーを出せるんだ」

「そ、そう、なんですか……」

 

 そして仁たちは『タウベ改』で一旦『ハリケーン』に。

「ホープ、『エンジュ3』は?」

「はい、ジン様、ここにおります」

「よし」

「え、え? ……エンジュ……さん?」

 が、カチェアは『エンジュ3』を見て驚いている。

「ああ、これは『エンジュ3』だ。『エンジュ2』と同型の自動人形(オートマタ)だよ」

「そ、そうだったんですか」

「ああ。……ホープは引き続き『ハリケーン』の警備を頼む。ただし、タジー村が危険になるようなことがあったら介入しろ」

「わかりました」

 いざという時の指示を出した仁は、医療用のセットも積み込んだ。

 操縦は礼子に任せる。

 エンジュ3はもう1つ医療用セットを持ち、乗り込んだ。

 仁とカチェアも改めてシートに着く。

「では、『タウベ改』発進します」

 礼子は一言告げると『タウベ改』を再スタートさせた。

 目指すはファン村である。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


  N-Star様で『家業が詰んだので、異世界で修理工始めました』

  の第2部が開始されています。

  https://ncode.syosetu.com/n1990fc/


  応援の程よろしくお願い致します。


 20190722 修正

(旧)「ああ。……ホープは引き続き『ハリケーン』の保守を頼む。

(新)「ああ。……ホープは引き続き『ハリケーン』の警備を頼む。

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