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第二話
「落ちましたよ」
突然、後ろから見知らぬ男から声をかけられ思ず振り返った。
「うん?何……」
か?と、言うつもりでいたが、男が、早口にさらに声をかけてきたので、最後まで言えずに尻切れになった。
「だから落ちましたって、サイフ……」
男の薄汚れた右手には、確かに見覚えのあるそれがあった。
「どうも……」
男の焦げ茶色の土のついた手からサイフを受け取った。
「あの……」
その手には土以外にも、血がついているのが気になり思わず声をかけた。
「はい、なにか?」
男はただ平然と疑問を投げかけてきた。
「あっ、すいません……その手……」
威圧的な声でも無く、ぶっきらぼうな態度に何故か恐縮してしまい、思わず謝ってしまった。
「あっ、あぁ、すいません……汚れていましたね」
「手に怪我している事は、何でもないのだろうか?」
ただ、手が汚れていて、加那のサイフが汚れているのではないかと、心配する様にサイフを覗き込んできた。
「そう……じゃなくて、血が……」
「す、すいません……サイフ汚れてませんか」
そんな男の声を無視する様にサイフを手にとった。




