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夜の中で、灯りは灯る

作者: ごはん
掲載日:2025/07/31

部屋の天井を見上げると、少しだけ模様があるのに気がついた。


「こんなところ、前からだったっけ……」


高橋玲たかはし れいは、久しぶりにカーテンを少しだけ開けた。

光が眩しかった。でも、今は眩しさも痛くない。


——長い長い、闇のトンネルの中にいた。


眠れなくて、朝も起きられず、ごはんも食べられなかった日々。

「自分には価値がない」と思い込んで、世界と接する気力さえなくなっていた。

誰にもわかってもらえない。わかってもらえないのに、「がんばって」と言われる。


そのたびに、心がすり減った。


そんなある日、玲はスマホの電源をようやく入れた。

LINEには、何通もの未読メッセージがあった。

けれど、読む気にはなれなかった。


ただ、一通のメッセージだけが、画面の中で浮かび上がった。


「今日も生きててえらい。

呼吸してるだけで大丈夫。

玲はそのままでいい。

夜の中にも、灯りはあるからね。」


それは、昔の親友からの言葉だった。

既読もつけられず、返信もできなかったけど——心に染みた。


その日、玲は泣いた。


誰にもわかってもらえないと思っていた。

けれど、本当は、「わかりたい」と思ってくれている人もいた。

「がんばれ」と言わないで、ただ、「生きててえらい」と言ってくれる人がいた。



あれから少し時間が経った。

朝、目が覚めて、カーテンを少しだけ開けることができるようになった。


それだけでも、今日は自分をほめていいと思った。

まだ何もできなくてもいい。

ゆっくりでいい。

少しずつ、少しずつ、自分を取り戻していけばいい。


玲は、小さなため息をついて、ふと空を見上げた。


曇り空の隙間から、ほんのわずかに光が差していた。

まるで、雲の向こうに太陽がずっとそこにあるように。


——夜の中で、灯りは確かに、消えていなかった。

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