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第一話 逸材隠してたお前に一言物申しに行く!

なんか急に書きたくなったので…

もしもし吾輩魔王。今人間に攻撃受けてるの。こいつら(勇者パーティ・おそらく人間の中ではここ1000年の中で一番強い)弱いんだもん、どう手加減しても四肢欠損させちゃうじゃん…と思いながらこいつらの攻撃をまともに受けているんだわ。


「魔王!これが俺達の力だ!」


勇者らしい青年が吾輩に吠える。威勢はいいよ、吾輩魔王だし、そりゃ怖いよな。怖い相手によく吠えてるよ。偉いと思うよ?吾輩の分身が相手だったら吾輩もどう倒そうか悩む。さてどうしようか、と思ったら勇者らしき青年の後ろから、どうやら攻撃力倍増の魔法だろうかがかけられている様子。いいんじゃないか?もっと足掻くといい、もっともっと足掻くといい。限界まで攻撃を続けてみるといい。吾輩一切攻撃しないし防御もしないし。いっくらでもどんな攻撃でもいいから。


「うむ、お主らの攻撃、もっと吾輩に打ち込むがよい。ありとあらゆる術で吾輩を圧倒して見せるがよい。吾輩の前に立てたのだからな、お主らの全てを受け入れてやろう」


さてこいつらに吾輩が言った意味は伝わるかな?まあどうせ伝わらないだろうな、と魔王はただ突っ立っているのみ。まるで警備員のように。


さて、こいつらに焦りの色が見えてきたぞ。そうだよね、そろそろ魔力切れちゃいそうだもんね。いいよいいよ、攻撃少し休まないか?お茶でも飲むか?


「お主ら疲れてないか?休憩してよいぞ」


「うるさい!まだまだ!」


はーこいつらも頑固だこと、吾輩は休憩するよ?


「ジュディ、コーヒーを頼む。アイスでな」


「かしこまりました」


こいつらの攻撃が明らかに鈍ってる、だから休憩した方がいいって言ってるんだけどな?


「あのな、吾輩ぶっちゃけて言っちゃうけど、お主ら弱すぎる。吾輩倒すんならもっとレベル上げないと無理だよ?一回攻撃止めて吾輩見てみな?どこか傷ついたところある?」


やっとこいつらの攻撃が止まった。なんかもう魔王の威厳とか知らん。こいつらが最強って言うんだったらこいつらを2000倍強くしないと服すら傷つかないんだもん。人間って弱いんだよなぁ、短命だし。


「お、おのれえええ!!」


あーヤケ起こしちゃったか。


「魔王様、アイスコーヒーお持ちしました」


「ありがとうジュディ、仕事速くて助かるよ」


「何をのんきに飲んでやがる!」


「ん?アイスコーヒー。お主らも飲む?なかなか旨いぞ?」


呑気に吾輩が答えてアイスコーヒーを飲む。お、こいつらも休憩入れるみたいだ、そうそう休憩大事なんだよ、実力差明らかならさっさと倒しちゃうのがいいのかもしれないけど、もういい加減吾輩も飽きたんだよ。勇者とか吾輩倒した後世界が本当に変わると思ってるの?吾輩万が一倒れたとしたら即魔王擁立させて今度こそ人間滅ぼされちゃうよ?


「おい、魔王」


「んー?」


吾輩考え事し始めると床で横になってごーろごーろし始めるんだわ。ジュディに800年くらい前それを指摘されて、寝っ転がりながら飲める今のコーヒーの容器が出来上がったんだわ、その形をこっそり人間界で発表したらすっごい利益出ちゃって、勇敢な税理士が税金の支払い催促に来たんだわ。吾輩どこの国に属してるんだ?税金払う義務あんの?その税金何に使われるの?と色々税理士に聞いてみたんだけど答えなんもなし。ただ払え払えうるさいだけ。吾輩その時も困ったんだよ、人間は話を聞いてくれないと思って。だから今はこいつらがなんか言ってるのを無視してみる。


「ジュディ、質問がある」


困ったときの頼もしい部下。


「800年くらい前に人間の税理士名乗るもの来てたの覚えてる?」


「しかと記憶しております」


「あの人間、もしかして吾輩と違う言語だった?」


「左様でございます、ただし言うことが支離滅裂でしたので手下に始末させました」


「始末?」


「は。おそらく何者かに言語野を操られていたのでは?」


「そうか…なあお主ら、魔王城出たら始末されるかもしれないけどどうする?」


もっと鍛えてから出直しなと言いたいところではあるんだけど、この世界の神、この前この世界から追い出しちゃったんだよな。神の奇跡がない人間の成長限界迎えた肉体ではそれまでじゃないかなと吾輩は思うんだよ。神探してこの世界もうちょっと導かせればよかったなあと吾輩反省。


「…くそっ!」


「なあお主ら、名前は?吾輩の名は知ってる?」


ごろごろしてるのも悪いかなと思って正座してみる。


「ハーディア、勇者だ」


「フロン、戦士だ」


「ミアネス、白魔術師」


「アネス、荷物持ちよ」


「荷物持ちアネス、君から攻撃受けてないんだけど」


この荷物持ちアネスちゃん、このパーティでというか、唯一今の吾輩に対抗できそうな潜在能力持ってるんだけど。


「一応名乗るか、吾輩魔王・ファオレスト。こっちが吾輩の頼れる部下ジュディ」


「魔王様が名乗られるとは…アネスに惚れましたか?」


「急に何言ってんのよ!?」


「惚れる?え?吾輩の性別って何なの?男と女だよね?吾輩どちらになるの?」


「魔王様は性別お好きなように変えることができますが、今の姿はオスでございます」


「だから惚れるのか。人間はよくわかんないな、ん?待った、吾輩が惚れたの?」


「ねえ魔王、アタシにはあんたの方がわかんないんだけど。なんで防ぐこともしないでただ受けてたの?」


アネスが聞いてきた、と言われてもなあ、お主ら弱いんだもん。これストレートに言っちゃっていいものなの?でもさっき口に出しちゃったような気がする。


「魔王様の代わりにお答えしましょう。君達弱すぎるからこちらが何かしたら達磨になっちゃうよ?と魔王様はお考えになられています。実際魔王様へダメージ与えられた感じはしましたか?」


「…ないッ!」


「我々も困ったのです。人間の中では強いのかもしれないけれど、魔王軍の最末端ですら一撃で倒してしまいそうな弱さで、迂闊に手を出すことができなかったのです」


「吾輩が強いんじゃなくて、君らが弱すぎるんだよ。アネスちゃんは鍛えれば吾輩倒せるくらいの能力持ってるのにね」


「一斉にアタシに注目されても困るよ…アタシただの荷物持ちじゃん…」


勇者ってどういう基準で決められるんだろうか?吾輩倒せる可能性ゼロ。荷物持ちのアネスちゃんはしっかり指導して正しい動き方とかちゃんと勉強させたら魔王軍の脅威になりうるんだけどね、なんで荷物持ちで攻撃とか全くしないんだろう?


「勇者ハーディアに聞きたいんだけどいい?」


「なんだよ…」


「勇者って何?」


「…え?」


「吾輩一応魔王だから、今まで何人も勇者退けてきたんだけど、お主ら神の加護無しでよくやってきたなと感心する部分はあるんだけどさ、加護無しでもそこのアネスちゃんだったら吾輩倒される可能性あるんだよ。お主らアネスちゃんの動き見たことある?ないよね?アネスちゃん、手際よく吾輩の視線逸らさせたり、回復薬を渡すタイミングとか、補助魔法のタイミングとか、とにかく把握する能力凄い高いんだよ。この子こそ勇者であるべきなんじゃないのかな?と吾輩思うんだよ」


「なるほど、魔王様としては何をもって勇者なのかとお悩みなのですね」


「そうそう。神追い出しちゃったのがまずかったかな、今の勇者って誰がどうやって選出してるのかなと思ってね」


「…勇者は王によって定められる。俺は英才教育を受けて勇者としてマブレス王国の王から勇者の称号を与えられた。けど、魔王ファオレスト、お前には勝てないと判断した…なんだよその化け物じみた防御力は…」


「吾輩防御も何もしてないけど?」


「あー、ちょっといいかい魔王、一回国に帰っていいか?体勢を立て直したい」


「アネスちゃんが勇者になるならいいけど?」


「アタシじゃ決められない事なんだよ!それにアタシただの荷物持ち!このパーティーに何かあったときに安全に王様のもとに運ぶ大事な仕事なの!」


はて?前回の勇者パーティーにそんなのいたっけ?


「ジュディ」


「おりませんでしたよ。アネス程の実力者は…1100年ぶりでしょうか、ただし勇者としてでしたが。荷物持ちというパターンも初めてでございます」


「よし、んじゃ吾輩直接マブレス国の王に苦情言いに行く」


「急に何言ってんのよあんたは!」


「だってさー、吾輩暇なんだもん。あと外の状況も直接確認したいし」


「ふむ、魔王軍としてはご乱心と言いたいところではありますが、個人的にはおおむね賛成ですね。外では無法を働く馬鹿共もおりますので、懲らしめるきっかけにはなるでしょう。魔王城内では処理できぬことも魔王様自らの手ならば魔物共も諦めるのではないかと」


「だからって魔王が国王に直接苦情なんて聞くわけないじゃん!」


「でも吾輩魔王だよ?お主らの国の事情とか知らないし。あとうちの手下とはその下とかが何やってるのかも気になるし。無法働いてたら懲らしめなきゃなと思う所もある、ちゃんと下心もあるぞ」


「え、えっち!」


「え?ジュディ?」


「魔王様に性知識はないのでご安心を」


「うっそ…魔物ってけっこう…」


「アネス、発言を控えなさい。魔王様にそういう知識は必要ないのです」


「吾輩蚊帳の外?」


コーヒーがなくなったな。んじゃもうこいつら纏めて連れていくか。

多分パーティーは解散するんじゃないかなあ…

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