第十六章40 【覇王杯/オーバーロード・カップ/唯野 芳一チーム】38/【芳一】の第4班の展開(【ドロワー・サーガ(引き出し英雄物語)編】)5
【ドロワー・サーガ(引き出し英雄物語)】において、最初の異空間から次の異空間へ通じる【引き出し】は各箇所に3つずつあるとされている。
【赤い引き出し】、
【青い引き出し】、
【緑の引き出し】、
の3つである。
通常の場合、【鍵】を近づけると3つの引き出しが現れ、その中から引きたい【引き出し】の鍵を開けると次の【異空間】にワープして、その開いた引き出しの中の【アイテム】を使って、次の【引き出し】を探していくというパターンになっている。
だが、今回の場合は、【芳一/表道化】が手探りで【引き出し】の鍵を開けたので、どの色の引き出しなのか解らない。
当然、次の引き出しも正規品の【鍵】であれば、引き出しが反応して引き出しが出てくるが、紛い物の【鍵】と化したので、次からは一応、反応して、【引き出し】の様な物が出てくる様になるのだが、その【引き出し】の色は色の付いていない真っ白な半透明であり、色を選択して行動するという事は出来ない。
言ってみれば【ステルス性の引き出し】を開けて冒険する事になるので、毎回、何処に行くのかわからない状態でやるので、目的がついて見るまでわからないという冒険スタイルとなる。
行き当たりバッタリスタイルと言うのが正しい表現だろうか?
その事を【芳一/表道化】が説明すると、【仁愛】は、
「面白いではないですか。
次に何が出てくるか全く解らない。
自由気ままに、一期一会スタイルとでも言えますね。
望むところです」
と言った。
【芳一/表道化】は、
『姫様なら、そう言っていただけると思いましたよ。
あっしも結果がわかっている冒険よりも、結果が全く読めない冒険の方が燃えるってもんですよ。
では、最初の引き出しを開けますよ。
恐らく、最初の引き出しは1人3アイテムと手紙が入っているハズなので、4人だから12アイテムと手紙が入っていると思いますね。
じゃあ、鬼が出るか蛇が出るかって事で、引きます。
後、申し訳ないんですが、手を繋いでいただけますかね?
あっしが引き出しを引いた時にあっしとつながってないと別々の空間になってしまいますからね。
身体が接触しているとか手を繋いでいると一緒に移動出来るって寸法です。
手を繋ぐのはお嫌ですか?』
と聞いた。
【仁愛】は、
「問題ありません。
では皆さん、手と手を繋ぎましょう」
と言うことになり、4人で手を繋ぎ、
『どれ・・・?』
と言って【芳一/表道化】は【引き出し】を引いた。




