第十六章38 【覇王杯/オーバーロード・カップ/唯野 芳一チーム】36/【芳一】の第4班の展開(【ドロワー・サーガ(引き出し英雄物語)編】)3
【芳一/表道化】は、
『皆さん、見つかりましたか?』
と聞いた。
【仁愛】は、
「いいえ。
見つかりませんわね?」
と言った。
【美紗緒】は、
『こっちも見つからないわ』
と言った。
【ルーネス】も、
「こちらもです。
申し訳ございません」
と謝罪した。
【芳一/表道化】は、
『そりゃ、困ったなぁ~。
見つからないと話が始まらないんだけどね』
と言った。
【仁愛】は、
「この物語はどうやって引き出しを見つけるのですか?」
と尋ねた。
【芳一/表道化】は、
『うん、それなんですけど、【英雄側】は、ヒロインに導かれて、っていうか利用されて、最初の引き出しを見つけるんすよね。
【魔王側】は、引き出しの位置を知っているって設定だったし、どうしましょうかね?
あっしが何とかするしかないっすねぇ~』
とちょっとおどけて見せた。
そして、
『ルールでは【引き出し】の世界に入ったら無力な人間として行動しなくてはならないでしたよね?
だったら、【引き出し】の世界に入る前なら使っても良いのでは?
って事で使っちゃいましょうか。
という訳で設定しました。
何か【異空間】に入る力をどなたか持っていませんかね?』
と身も蓋もない事を言い出した。
【ルール】を守っていれば何でもあり。
それが、【芳一/表道化】のやり方だった。
そんな無茶苦茶な・・・と突っ込みを入れたい所だが、メンバーの中にそれを言う役は居ない。
【仁愛】は、
「そうですか?
ではわたくしが空間を開けましょう」
と言ってさっくり空間を切り裂いて入り口を広げた。
【芳一/表道化】は、
『さすがは姫様ですね。
では参りましょうか、皆さん。
中に入ったら異能は禁止、というか使えない設定になりますので注意してくださいね』
と忠告したのだった。




