第十六章27 【覇王杯/オーバーロード・カップ/唯野 芳一チーム】25/【芳一】の第2班の展開(【七番目の怨霊編】)6
【比奈美】が声の主の存在に気付いたのは、彼女が予定外の行動を取った時だった。
予定していた進むべき方向から真逆に進んで、ちょっとデザートを買おうとコンビニに寄った時、それを目撃した。
コンビニの横で、
『くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ、くっちゃ・・・』
と何かを咀嚼する音がする。
何かな?と思って見てみると、それは【居た】。
声の主は、彼女の【影】から姿を現し、ストーカーを喰っていた。
声の主の正体は彼女の影だった。
声の主、改め【影】は、
『あぁ・・・見つかっちゃった。
後、5人食べてから姿を見せようと思ってたのに・・・
今の無しね・・・
劇的な出逢いを演出したいから・・・』
と言って消えた。
【比奈美】は【サイコパス】として生まれていた。
人を殺したいと言う衝動を持って生まれついていたが、両親や周りの環境などに影響されて、まっとうな精神を持つに至った。
だが、押し込められた【サイコパス】としての本能は彼女の影に潜み、ずっと力を蓄えていた。
そして、彼女に近づく人間の悪意を吸収し、ドンドン、増幅して言ったのだった。
普段の彼女にとっては毛嫌いする様な悪意の有る人間達でも【サイコパス】としての彼女にとっては同類に近い存在である。
だから、
《美味しく食べたい・・・》
と思う様になったのである。
【影】は、【比奈美】に見えない所でドンドン悪意ある人間達を食べて成長していた。
そして、最後は【比奈美】と入れ替わるつもりになっていた。
それを知った彼女は恐怖した。
【影】の恐ろしさはもちろん、自分の影なので、絶対に逃げられないという事を本能的に悟ったからである。
逃げ場が全くない。
何も逃げ場が思いつかない。
そんな絶望感にさいなまれている時、【芳一/真性暴獣】達が現れる。
【フィナレエンデ】は、
『とりあえず、あの子がターゲットみたいね。
とっとと祓ってしまいましょう』
と言った。
【芳一/真性暴獣】は、
『ぐあぅぅっ
待て、やらせろっ
ぎゃうっ』
と言った。




