第十六章23 【覇王杯/オーバーロード・カップ/唯野 芳一チーム】21/【芳一】の第2班の展開(【七番目の怨霊編】)2
【七番目の怨霊】とは、【七番目】とされる【危険な怨霊】を巡り、様々な除霊活動などを展開する作品であり、第8作【七番目の怨霊/ようか編】が女性主人公の複数の【ようか】、第32作【七番目の怨霊/ようき編】が男性主人公の複数の【ようき】が【七番目の怨霊】を追って主に、解決編にだけ登場すると言う作品である。
つまり、物語の大部分はそれぞれの主人公以外の【怨霊】の被害者達の目線で展開し、どうしようもなくなった時、主人公が登場して、除霊するという形式の【主人公】がその章の最後まで登場しないと言う珍しい形式の作品となっている。
よって、【主人公】達を探しても意味がないのである。
【怨霊】などに苦しんでいる被害者を考えてそれを除霊などすると言う行為をする事でこの物語に参加する事が出来ると言うことになる。
もちろん、作品には無い、新たな除霊方法で、と言う事になる。
そうすることで作品に革命を起こせるのだ。
ここから、【七番目の怨霊】の形式に従って、最初は被害者のシーンからという事になる。
「本気なんだ、【霊古ちゃん】。
信じてくれ」
【藤村 大輝】は、少女に対してそう告げる。
告白とも取れるが、これは断じて告白などではない。
友達同士でやっていた彼女を利用しての罰ゲームだった。
【大輝】が告白した【隠梁 霊古】は不気味だと言われている女性とだ。
気持ち悪くて誰も話しかけたくない相手。
無視されている相手。
それが【霊古】である。
完全な虐めとも取れるが、実はこの【霊古】。
教師には見えないのだ。
生徒だけに見える女生徒。
それが、【霊古】である。
教師に尋ねても、
「【隠梁 霊古】?
そんな生徒、うちには居ないぞ。
馬鹿な事、言ってないで席に着け席に」
と言った様に、【霊古】を居ない者として扱っている。
それが、【教師公認】で虐めを促しているととらえた一部の心ない生徒達が、【霊古】に対して、バケツに汲んだ水をぶっかけたり、机に落書きしたり、足を引っかけたりして虐めていた。
【霊古】は何も文句を言わずにただただ、その虐め・・・と言うより暴力を受けていた。
【霊古】は、
『・・・』
と何もしゃべらない。
だから、しゃべらせようとして意地の悪い生徒達はあの手この手を使ってしゃべらせようとする。
【大輝】の告白も【霊古】をしゃべらせようとする一種のイベントの様な感覚で言ったものだった。
【霊古】を好きな気持ちなんて微塵もない。
見るだけで嫌悪感のある顔をしている【霊古】の事は好きなどころか気持ち悪いとさえ思っている。
だから、からかっている。
そんな軽い気持ちだった。
だが、賢明な方ならば、気付いているだろう。
【霊古】は人間ではない。
【怨霊】である。
【人の悪意】を溜めていき、一定まで貯まると、その【悪意】を【呪い】に変えて返すと言う【悪霊】なのだ。
【教師】が居ないと思っているのは【教師】には本当に見えないからだ。
決して虐めている訳ではない。
本当に居ると認識していないのだ。
これは【学生の悪意】に対応して姿を現す【悪霊】。
悪意のある生徒にしか見えないのだ。




