第十六章17 【覇王杯/オーバーロード・カップ/唯野 芳一チーム】15/【芳一】の第1班の展開(【まいなぁめじゃあ編】)10
【芳一/主人格】が第7案を考えて居ると、【芳果】が、
『それにしても次から次へとよく考えるのぉ。
感心する。
どこからそう言う発想が生まれてくるのやら』
と言った。
【芳寿】も、
『そうね。
確かに、本当に色んな事で湯水の様に発想が出てくるわね。
私達が選んだとは言え、本当に凄いと思うわ。
他の【選ばれし者】ではこうはならないと思うわね』
と言った。
【美和】は、
『それはそうよ。
彼は、息する様にアイディアが生み出せる様になるまでに相当苦労をしたもの。
いくらアイディアを出しても周りが認めてくれないって事がずっと続いていた。
だから悔しくて何百も出して居ると認めない者達は、
「アイディアはしぼって出しなさい」
と言っていたわ。
そのアイディアの数々がどんなに優れたものでも目が節穴な連中は決して認めなかった。
だけど、それは会社内の話であって、外に向かって発信すれば、彼のアイディアは飛び抜けて凄かった。
それをネットで公開する様になって彼は自分の凄さを自覚したのよ。
それまでは誰も認めてくれなかったけど、それは結局凄すぎて、認めてしまうと他の人が霞んでしまうから怖かったのよね。
保守的な凡人は天才が何かするのが嫌なみたいだからね。
だから、彼はそう言う所には見切りを付けて離れたりするんだけど、離れられて初めてそう言う連中は今まで彼におんぶにだっこだった事を自覚して焦るみたいね。
彼に仕事のやり方を何十個もメモとして残してもらったって会社もあったわよ。
彼が勤めている時はもの凄く低評価だったけど、蓋を開けて見れば彼に何でもやらせていた。
それで実際に彼が辞めるとなって慌てていたわよ。
いわゆるざまぁ展開みたいになって面白かったけどね』
と言った。
【美和】は【芳一/主人格】の分身の様なものなので彼が体験した事柄は良く覚えていたのだった。
そんな雑談をしている内に、【芳一/主人格】は第7案のアイディアを考え出したのである。
保守的な凡人達が本能的に恐れるのは彼の湯水の様に出るアイディアのひらめきである。
それをここでも発揮したと言うことになる。




