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潮風の伝言  作者: AIR MILE
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第1話:いずもへの切符

登場人物

蒼井あおい しずく:主人公。護衛艦「いずも」に乗艦した新人女性自衛官。明るく前向きな性格。

海崎うみざき かける:雫の同期の男性自衛官。寡黙で頼りになる存在。過去の任務で心の傷を負っている。

神宮寺じんぐうじ うらら:雫の同期の女性自衛官。明るく華やかな存在。雫の良き相談相手。

岩田いわた 健太けんた:雫の同期の男性自衛官。ムードメーカー的存在。

艦長:「いずも」の艦長。厳格ながらも部下思いの人物。



「蒼井二士、配置につけ!」


艦内に響き渡る怒号。


蒼井あおい しずくは、背筋をピンと伸ばし、駆ける。


目指すは、護衛艦「いずも」のCIC(戦闘指揮所)。


最新鋭のレーダーや通信機器が並ぶ、艦の中枢だ。


「は、はい!」


息を切らせながら、指定された席に着く。


目の前には、無数のモニターが並び、複雑なデータが飛び交う。


「蒼井二士、データ入力作業を開始してください」


先輩隊員の指示に従い、キーボードを叩く。


緊張で指先が震える。


夢にまで見た「いずも」の乗組員。


しかし、現実は想像を遥かに超える厳しさだ。


「もっと早く!訓練で教えたことを忘れたんですか!」


またもや怒号が飛ぶ。


冷や汗が背中を伝う。


(ダメ…!しっかりしなきゃ!)


雫は、歯を食いしばり、データ入力に集中する。


その時、隣の席から優しい声が聞こえた。


「蒼井さん、落ち着いて。大丈夫ですよ」


声の主は、同期入隊の海崎うみざき かけるだった。


「海崎…」


「緊張するのは分かります。でも、焦るとミスに繋がりますよ。深呼吸して、一つずつ丁寧に」


翔は、そう言いながら、雫のパソコン画面を指差した。


「ここ、入力ミスしてますよ。確認してください」


雫は、翔の言葉にハッと我に返り、画面を見直す。


確かに、入力ミスをしていた。


「ありがとうございます…!」


雫は、翔に頭を下げた。


「気にしないでください。僕たち同期なんですから、助け合いましょう」


翔は、そう言って微笑んだ。


その笑顔に、雫はドキリとした。


(海崎…優しい人だな)


訓練後、食堂で夕食を取っていると、神宮寺じんぐうじ うららが話しかけてきた。


「雫ちゃん、緊張してる?さっきの訓練、大変だったね」


「うん…でも、海崎が助けてくれたんだ」


「へえ、海崎くんが?彼、訓練中は厳しいけど、根は優しいからね」


麗は、そう言って笑った。


「そういえば、雫ちゃん、海崎くんのこと、どう思ってるの?」


麗の言葉に、雫はドキリとした。


「え?べ、別に何とも思ってないよ!」


慌てて否定するが、顔は赤くなっている。


「ふふ、ごまかしても無駄よ。女の勘は鋭いんだから」


麗は、ニヤリと笑った。


その夜、自室でベッドに横になりながら、雫は昼間の出来事を思い出していた。


(海崎…優しい人だったな)


訓練中の厳しさと、休憩中の優しさのギャップに、雫は戸惑いを隠せない。


(もしかして、私、海崎のこと…)


考えれば考えるほど、胸がドキドキする。


(ダメダメ!今は訓練に集中しなきゃ!)


雫は、慌てて頭を切り替える。


しかし、一度意識してしまうと、どうしても翔のことが気になってしまう。


翌朝、訓練場で翔を見つけた雫は、思わず声をかけた。


「海崎!」


「おはようございます、蒼井さん」


翔は、いつものように爽やかな笑顔で答えた。


その笑顔に、雫はまたドキリとした。


(やっぱり、海崎のこと…)


雫は、自分の気持ちに気づき始めていた。

第2話へ続く

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