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これが正しき英雄譚?  作者: 少雨
11/14

人が消える時(魔)

とりあえずタイトルで遊ぶ(遊ぶと言うより、こんな投稿のしかたはどうだろう?


と思いついたので試す。


タイトルイメージは中を読んでご想像ください。

私は勇者の指示に従って人間の生気を追う。私にとって人間は食すにも足りない餌だが餌を探し当てる本能は魔族として当然ながら備えているので生存者を探し当てるのは簡単だ。


「おい、そこの人間。」


私は肩を押えながら蹲っている人間に声を掛ける。人間とは面倒な生き物だ。互いに助け合わなくては生きていけない脆弱な生き物であり、そのくせに人間同士で争い殺しあい助け合わない。だがその集団能力は軽く強者たる屈強な魔族を凌ぐ。あまりにもチグハグだ。あまりにも不完全な生き物。生物として歪んでいると誰かが言っていたのを思い出す。


「なんだ・・・。」


肩に手を当てた、そいつが此方を見る。その目には光が無い。ふん腐った目だな見ていて胸糞が悪くなる。自分で何も出来ず諦観する事で諦める。ツマラナイ


「この通りの生存者は其処の宿の下に4人居る。3人は重症1人は軽症だ。後から来る連中に伝言を伝えろ。」


私はそれだけ伝えると歩き出す。この辺りに他の生存者の反応は無い。在るのは無数の屍のみ・・・・歩きだして暫くして私の足が止まったのは何かの偶然だったのだろう。余にも小さな生気

の反応、普段なら時期に死ぬと判断して歩き出すのだがその時は何故か足が向いた。

 多分あまりにも多くの死気を感じたからだったのかもしれない。生き物は死ぬ時に残っている生気を死気に変えて周りに放つそれは魔族も魔物も人間も何も変わらない。魔族は当たり前ながら中々死なないし、もし魔族が死ぬとしても数十年に1人とかそんな程度だ。逆に人間を殺すとしてもこんな無駄に死気を撒き散らす様な殺し方はしない。人間は餌で魔族は生気を食うのだから生気が無駄に死気になるような無駄な事はしないのだ。だから幾ら私でもこれ程の死気に囲まれた経験は無い。

 反応は半壊した以前は店だったのだろう建物の中からだった。歩みを進める私の視線の先に居たのは一人の人間。その人間の後ろから生気の反応を感じる。私はその人間をそっと横たえる。予想通りその背には生存者が居た。赤子だ。恐らくこの人間が赤子をこの狭い横穴に入れ自分の体で蓋をして赤子を守ったのだろう。背筋を走るのは悪寒なのか喜びなのか・・・・魔族にとって赤子が死ぬのは普通の事だ。この世に生れ落ちたその瞬間から生ある者は弱肉強食という食物連鎖の中に立っているのだ。赤子だからなどと言うのは理由にならない。故に誰かが死んでも誰かに殺されても誰も何も思わない。そいつに生き残るだけの運も力も無かったそれだけの事だ。親が子を守る?何故他者を守る必要がある?

 だが人間は違う。人間は自分の命を賭けてでも他者を守る。私には理解も共感も出来ない考え方だが、本能だけが告げるのだ「ああ綺麗だと。」それは憧れに近い情景なのだろう。魔族であり強者である私が弱者に憧れる、滑稽と言ってしまえばそれまでだが滑稽と言うには私の心はこの本能に毒されてしまっている。彼はそれをなんと言うのだろう?唯静かに底の見えない笑みを浮かべるのだろうか?私は赤子に手を伸ばし



首を絞める



赤子の生気が失われていくのが感じるのでもなく判る。ああ私は今この脆弱な命を殺そうとしている。何故だろう?何故私はこの命を殺そうとしているのだろう?判らない。唯感じるのは目の前の命が失われ行く光景に美しいと感じる私が居る事。


「それが○○○○○○事だよ」


その瞬間冷水を浴びた様に正気に戻る。赤子の首から手が外れ赤子はヒューヒューと音を立てている。何故かあの時の彼の言葉が出てくる判らないワカラナワカラナイワカラナイ


火がついたように泣き出す赤子を前に私は立ち尽くす。ワカラナイ彼に従わされてから私は私がワカラナイ、私いや私の心は一体何処へ向かっているのだろう。魔族である私は存在も判らない神を信じるなど意味の無い愚かな行為は必要ではない。だが今は誰かにこの意味を聞きたかった、だが誰も居ない横たわるのは言葉を語る事の無い死者の群。だから私は神の御使いと呼ばれる男に届かないと知りながら尋ねる。


「勇者よ。貴様は私を何処に導くのだ?私は何処に向かっているのだ?私は何をしようとしているのだ?教えてくれ・・・・・・・・勇者よ。」


声は赤子の鳴き声に紛れて消える。闇は何処までも暗い。だが、その底に宿る一つの光。光があるから闇がある。闇があるから光がある。でもそれは矛盾


暗き魔族は一筋の光に何を見るのだろうか?

迷える子羊に救いの手を


前回のあとがきでも書きましたが(伏字でですがw

子供みたいな魔族という設定になりました。


そして全7話構成にまた伸びたorz

今度こそ伸びないとか言いつつまた伸びそうで嫌だ。

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