海底列車はゆれる
列車の中はゆらゆら揺れる。
ゆらゆら揺れる。電車の床にはこんぶやワカメが定着していて、手すりに捕まるようにして流されないようにしている。ママさん昆布は、ぶつかって卵が壊れないように必死にくるまって、守ってる。それはニシンの卵なのに。
海底をずっと、列車は走る。もう車体は錆びてボロボロになってるのに。
2号車はタコの棲家にされているらしくて、乗客のスズメダイは半分くらいに減ったらしい。
ぐるぐる回る。この海底の遺跡を回り続ける。
律儀にエビは駅で待っている。列車が着くとコンブに隠れてひと休みする。
一周すると、また起きて餌を探しに行く。
ゆらゆら揺れる。錆色の列車はゆれる。