竜装少年のダンジョン攻略~エピローグ~
いまメインで書いている作品を書き終えた後、長編として投稿し始める作品の最初の部分です。
広告代わりに投稿します。
メインで書いている作品と関係があるので、興味を持った方はメインで書いてる小説を見に来てくださると幸いです。
ダンジョンが出現した。
ソレは何の前触れもなく唐突に現れた。
一瞬にして地球を光の波が襲い、光が消えた後に、国有地にのみ、謎の洞穴が発生したのだ。
人々は落ち着きを取り戻すと、視界の端に灰色の四角が浮かんでいることに気付いた。
その四角に意識を向けると、脳内に以下の内容が直接流し込まれる。
以下に記すのは、その内容を日本語にしたものである。
【先ほどの光の波は、とある神が失敗したことによるものです。
その余波で生じた無限にも近いエネルギーを消費するため、モンスターの現れるダンジョンを生成しました。
それに伴い、いくつかの情報を伝えます。
一、緊急で生成したため、保有エネルギー量がばらつきました。
上から順に金色、銀色、銅色、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、藍色、紫色です。
エネルギー量の多いダンジョンであればあるほど、モンスターの強さも上昇します。
なにも武器やスキルを持たない人間は、青色に出現するモンスターと同程度の戦闘力です。
火薬は、内部のエネルギーを増やすため使用不可能です。
最初は一番下のエネルギー量の所にしか入ることができません。そのダンジョンの最奥まで到達することで、次のダンジョンに侵入することが可能となります。
二、諸事情により、日本と呼ばれる太平洋沿いの国にダンジョンが多く生成されています。
三、私は人の争いを望みません。
そのため、ダンジョンの生成地点をずらし、国有地のみに限定しました。
その国の最上位権限保持者にのみ、ダンジョン侵入許可の付与、及び付与の代行権を付与することが可能となります。
国の制度として定められた正当な手段で最上位権限保持者が変更された場合、付与能力も移行します。
四、エネルギーが溢れ爆発することを防ぐため、何もしない場合、金は320日、銀は160日、銅は80日、赤は40日、橙は20日、黄は10日でダンジョン内からモンスターが排出されます。
緑~紫のダンジョンは、エネルギー量が少ないため、排出は行われません。
ダンジョン内のエネルギー量が消費された場合、排出は行われません。
器にエネルギーが溜まり、溢れる寸前にモンスターの排出という形でそれを防ぐため、大量に討伐したとしても排出までの日数が最大以上になることはありません。
五、ダンジョン内での人間同士の戦闘は認めません。意図して人間を攻撃した場合、ダンジョンから排出され、侵入許可が取り消されます。
また、侵入許可が取り消された場合、その旨が許可を付与した存在に通達されます。
六、ダンジョンのエネルギーをなるべく消費してほしいという目的の都合上、人の死を望みません。
内部で死ぬと、後述するステータスの内、レベルが10下がり、ダンジョンの第1階層に排出されます。
10以下で死んだ場合は、残念ですがそのまま死んでいただきます。
七、ダンジョンが消滅することはありません。
八、ダンジョン内に生じるモンスターを討伐すると、確実に魔石を、一定確率で関連するアイテムをドロップします。
魔石は穴が開いている球体であり、その中心に刺激を与えることで内部のエネルギーを放出します。
アイテムドロップの確率は、
肉)基本種:0.1%、進化種:1%、貴族種:10%、王種:100%
他)基本種:0.01%、進化種:0.1%、貴族種:1%、王種:10%
です。
肉や他の意味は実際にダンジョンに侵入すれば理解できるので省略します。
九、ステータスについて。
この内容を理解し終えた者は、この内容を理解開始するまでハイのシカクがあった場所にハイのトリの模様が生じます。
そこに意識を集中することにより、ステータス画面を展開可能です。
以下に、ステータスの基本を表示します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Name)
Sex)精神の性別
number)12桁あり、ダンジョン発生後存在している知的生命体に各自バラバラな番号が割り振られます
Lv レベルです。モンスターとの戦闘により生じるエネルギーを吸収し、上昇します。死亡すると10低下します。
Party)組んでいるパーティー 所属していない場合はemptyと表示されます
Pro)progress 進捗 どのダンジョンのどの階層まで到達したことがあるかを示します
HP)ヒットポイント モンスターの攻撃を肩代わりしてくれるエネルギー Rank×100+Lv+装備分
MP)マジックポイント 魔法を使うのに必要なエネルギー Rank×100+Lv+装備分
SP)スキルポイント スキルを使うのに必要なエネルギー Rank×100+Lv+装備分
ECL)Equipment Condition Levelつまり装備条件レベル
装備する条件に関与・ミソロジースキルにより+10、
通常のスキルにより+1 20を超えていると大抵なんでも所持可能です。
Skill)獲得したスキルを表示します。スキルについては自分で確かめてください。
【ランキング】ここに意識を向けることで、レベルとダンジョンへ侵入度合いの世界ランキングと国内ランキングを表示します。名前を非表示にすることも可能です。
【マップ】一度通ったことのあるダンジョン内の道を表示します。他人との共有は不可能です。
【文章】この記載されている文章を再確認できます。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
これ以外のステータスもありますが、容易に変動するため表示しません。
十、通達は以上です。ご武運を。ハイイロノコトリから、愛すべき人類へ。】
光の波に襲われて3日後までに、記された文章は排出以外全て事実であることが確認された。
そのことから、人類は排出も事実であると想定し、青色のダンジョンまでの侵入で留めず、早急に金まで到達することを目的とし、行動を始めたのだ。
それから3年の月日が経過した。
人類は早々に、スライムのドロップアイテムであるスライム溶液と各モンスターのドロップする肉を混ぜ合わせ、皮膚に触れさせ魔力を通すことで思うがままに操作することが可能なことを発見した。
その強度は、元となった肉により変動する。
魔肉と呼ばれたそれは、ダンジョン攻略に用いられ、人類の助けとなった。
ダンジョンに潜る者達の憧れは、竜の肉を使った魔肉、竜肉を纏い、最前線で活躍する者たちである。
そんな日々が過ぎ、魔肉を体の延長にするのではなく、体を覆うとどうなるのか、と考えた研究者が現れた。
愚かな彼は、幾度も肉に溺れかけつつも、魔石を用い、ある程度の形を常時保つことに成功した魔肉で作られた装備、魔装を発明することに成功した。
ダンジョンに潜る者達の憧れが、竜装へと移ったのは、考えるまでもない事だろう。
これは、そんな世界でダンジョンに潜る、竜装少年のお話である。
『行くぞ、少年。次はそこに悪魔がいる。』
「あぁ、マップの赤い点・・・5つってどういうことだよ。」
『あぁ、どうやら下級の悪魔を目くらましに呼んだらしくてね。』
「めんどくさいなぁ・・・」
『おいおい、契約するって決めたのは君だろう?』
「そりゃそうだけどさ。契約してからの情報の開示はずるくね?」
『はっはっは。なんのことやら。』
「ま、いいけどさ。行くぜ、小鳥さん?」
その言葉に、小鳥さんと呼ばれた灰色の彼は、この世界における「最初」を思い返す。
とある見習い女神は悩んでいた。
簡易世界を作る課題をするため、高エネルギーの世界の素を用意したのは良い物の、核を学校に忘れてしまったのだ。
提出までに学校に戻ると、忘れてしまったことがバレてしまう、みたいなところだろうか。
女神はたしか、魂がなんだとか・・・と悩み、根幹世界の魂、とその単語を口に出す。
「そうよ!たしか、根幹世界の魂を核にすればいい世界ができると言っていたわ!そうと決まれば・・・えぇっと、まず転生を受け入れやすい国で・・・日本でいいかしらね。ファンタジーへの適応があって、家族が居なくて、財産も少ない・・・うん、これが良いわね。部屋に狐耳の娘が飾ってあるし、大丈夫でしょう。」
そう言うと見習い女神は杖を振る。
その数瞬後、白い球形の魂が目の前に現れる。
「あぁ、申し訳ありません。」
白い魂は、唐突に現れた美女に謝罪される、と言う現象に理解が追い付かない。
「貴方は死んでしまいました。私の不手際のせいです・・・」
「は、はぁ!?不手際だって言うなら、生き返らせろよ!」
もっともなことを言う魂に対し、見習い女神は内心で舌打ちしつつも、表情を申し訳なさそうなまま変えず、懇願する。
「因果律に反するので、できないのです・・・お詫びに、異世界に」
「はぁ!?できないってどういうことだよ!?神なんだろう!?異世界なんか行っても意味ねぇよ!推しが居ねぇんだから!」
見習い女神は困惑した。地球に関する授業を寝て過ごしていた彼女は今の推し、と言う単語が理解できなかったようだ。
やっぱりこの見習い女神ろくでもないな。これが管理する世界は大変な目に合いそうだな・・・
「申し訳ありません・・・」
申し訳なさそうにし続ける見習い女神に、哀れな魂は怒りを燃やし続けても意味がないと悟ったようだ。
「くそっ!・・・なぁ、異世界に行った後、戻れるのか?」
「申し訳ないのですが、一方通行なのです・・・」
申し訳なさそうにしながらも嘘を吐く女神に、魂は絶望に染まる。
あーあ、黒くなっちゃった。根幹世界に手を出して魂を持ってくるだけでアウトなのに、黒い感情に染めるとか、どんな目に合うのか今から楽しみなレベルだよ。
黒い魂は、不安定である。呪詛をまき散らし、魂からでた黒い霧が見習い女神に迫る。
「きゃっ!汚い!」
あのバカ見習い女神!根幹世界の魂を壊しやがったぞ!?くそっ、止めるべきだったか・・・
「え?なにこれ!?」
アホな見習い女神が反射的に魂を砕いた後、その破片はアホ見習い女神が浮かばせていた高エネルギーの世界の素とアホ見習い女神がいる空間に混じり、一つの生物のようになってしまったのだ。
ソレは蠢き、根幹世界の一つに、うじゅるうじゅると音を立てて迫る。
「カエ、ル。アノコ、ノ、イル、セカ、イニ」
流石に直接手を出されるのは不味いと、私が干渉しようとしたその時、そんな声が聞こえたんだ。
自我を維持しているのであれば、抽出できるのでは?そんな考えが頭をよぎったことが原因だったのだろう。
ソレは想定していたよりも俊敏に蠢き、すでに地球を覆い、あの娘とやらがいる東京に落ちる寸前だった。
「きゃー!」
アホ見習い女神が悲鳴を上げた直後、白い光がソレを貫き、ソレはエネルギーに還元される。
手を出さなくて正解だったな。こんな芸当ができるのは、相当・・・うん?なにかおかしいぞ。
「まったく。リラフェイアさん。貴方は世界作成実習、及び根幹世界基礎の単位は落単です。」
「せ、せんせ・・・えぇ!?なんでですか!?」
「はぁ・・・実習前にきちんと説明したはずですがね。根幹世界への干渉は禁じられています。」
「え、あぁー・・・そういえば・・・」
「はぁ・・・そのような軽いものではないのですがね。まぁ、今回は私が過去改変を行い今いるここを分流にし、彼の死は落雷によるもので、自然現象であった、と言うことにしておきました。」
あぁ、なるほど。そう言うことか。余計なことをしやがって。アレの所持エネルギーの世界との比が変動し、機敏になったと。間に合うという予測は間違っていなかったわけか。
「貴方は反省文を書いてもらいますよ。さて、そろそろ離れましょうか。直に、ここも波にのまれますから。」
・・・力的に、こいつも、やろうと思えば魂分離できたよな?なーんかむかつくなぁ・・・
「はぁーい・・・ここはどうするんです?」
落単女神の問いに、先生とやらは平然と答える。
「光の波にのまれて消えますよ。」
あぁ・・・なるほどね?この世界ごと滅ぼすと。へぇ・・・気に食わないな。
「えぇ!?じゃあ、小鳥さんも連れていきたいです!」
「小鳥?そのようなものを探している時間はありませんよ。」
「大丈夫です!そこにかけてある鳥かごに・・・あれ?いない?」
落単女神は私が先ほどまでいた鳥かごを見て、空になっていることに首を傾げる。
「はぁ・・・行きますよ。」
そう先生とやらが言い、落単女神の首根っこを掴んで転移する。
「さぁ、ここからは私の時間だ。」
そう、あえて転移する寸前、ぎりぎり声が聞こえるタイミングで口に出す。
それと共に私はかすめ取って溜めていた落単女神が用意していたエネルギーの一部を使い、人型を取り戻す。
そして、灰色の翼を広げ、地球に迫っていた光の波に突っ込み、干渉しながら語りかける。
「哀れなる魂よ
砕かれし魂よ
焦がれし魂よ
家に帰りたいとは思わんか?
元に戻りたいとは思わんか?
声を聞きたいとは思わんか?
私が叶えよう
私が帰還させ
私が作り直す
さぁ、その力を私に渡したまえ」
その、魂に直接響かせる私の言葉が通じたのか、光の波に干渉ができるようになった。
私は限られた時間で常識以外の記憶と魂の核を回収することに成功した。
そのまま世界から脱出し、常識を根幹世界から学び魂を返還する、でもいいのだが、気に食わない。
このままこの世界が滅びる、なんて思った通りにさせるのは不愉快だ。
「・・・そうか。アレにはエネルギーがだいぶ必要だったな。継続には恐怖と欲を信仰とすればいいだろう。」
そう、ずっと小鳥であったがために心の中で思ったことを口に出してしまってから、恥じる。
まるで私が人間を気にしてるみたいじゃないか。あんな、使いつぶしたというのに。
「・・・だが、それもいいだろう。私は気まぐれだからな。」
その直後、世界に光の波が襲いかかる。
感想大歓迎です。
☆やいいねをよろしくお願いします。特に☆は1でもいいので何卒・・・
でもメインで書いてる方に来てくれる方がうれしいです。