第3話
申し訳ございません! 投稿日を勘違いしていました!!
「ここにいるんだろう! 出て来い、羽白華夜!」
「.....まずい」
常に無表情だった華夜の額に汗がにじむ。とりあえず、説明を貰わなくては。
「今来たのは、幻獣の一人。この声は多分、九尾、だと思う」
「幻獣?」
クソ、また新しい情報だ、頭がパンクしてしまう。いったん全てを疑わずに受け入れる、それが俺が今やるべきことだろう。
「とりあえず、俺はどうすればいい?」
「......ここにいて」
そう言って九尾、というものの前に姿をさらす華夜。俺はこっそりと参道の様子を窺う。
「......なんだ、あれは」
そこには、化け物がいた。人間の姿ではない、全長3メートルほどの巨大な狐だ。金色の毛はしなやかで美しく、9本の尻尾はそれぞれ意志を持っているかのように揺らめいている。目を縁取るように生えている赤い毛が威圧感と厳かな印象を与えてくる。
「貴様が黒神社の巫女であるな?」
「そう」
「なら話は分かるだろう? あれを差し出せ」
「あれは誰の手にも渡ってはいけない。その程度のことも分からないの?」
「ふん、それは今だけの話だ。将来、絶対に必要になる。そんな時に所持しているものが幻獣のなりそこないなど許されないのだ。さあ、渡せ」
「いや」
「渡せと言っている!!」
咆哮が辺りに響き渡る。九尾が歯をむき出しにして華夜を睨みつける。なんて恐ろしい奴だ。俺はこの時が早く、俺に飛び火しないように過ぎることを祈った。だが、それはどうもできないみたいだ。
「......っ」
震えている。後ろ姿しか見えないが、華夜の体が確かに震えている。なら、俺が隠れているわけには行かない。
「何の用だ、九尾」
「ムッ、ここに巫女以外の人間がいるとはな......貴様、その手に握られているものはなんだ?」
「オーパーツだ」
「渡せ」
「いやだ」
「渡せ!」
九尾の意識がこちらに向く。改めて目の前にすると、大きい。あの口の大きさなら俺は噛まれただけで死んでしまうだろう。それでも、退けない。
「どうか、お引き取り願えないか? 俺は一応仕事で来ているんだ」
「ほう。どのような仕事だ」
「これを調べることだ」
「貴様の歳を言ってみろ」
「28」
「ふん、我の百分の一も生きていないような奴に調べることができるものか。さあ、渡せ」
「できるできないの問題ではない。お前の方が可能性があるなどという問題ではない」
俺はオーパーツを握りなおして宣言する。
「俺が、華夜から託されたんだ。お前に渡す筋合いはない!」
幻獣こわい。
※今回投稿日を間違えてしまいました! 次回の投稿は12月31日です! すみませんでした!