第二十四話:悪夢の光
――エパルロラの砦で天使と交戦中の堕天使達グリゴリに加勢した。
天使五十七体を三十四体に減らし、こちらが無傷で十七体のままだ。
「ルシファー様流石ですな。一瞬で六体の仮面屠るとは」
「まだまだ、あと三十四体いるわ。サリエルは私と、仲間のケット・シーのケッティと幻獣スコル、ハティが加勢している事を皆に伝えて。同士討ちになってた堪らないもの」
「了解しましたルシファー様」
「ここからは散開して各個撃破していきましょう」
「ウチもいいところ見せるのニャ」
「はいよぉ」
「了解なのぉ」
ケッティは、<シャドー・ムーブ>で影に潜り離れた場所へと移動。
スコルとハティは、捻じれた角にそれぞれ赤と銀の稲妻を纏い、時計周りに駆けて行った。
私は幻獣コンビとは逆周りに進むとしよう。
<エアリアル・スキャン>で周囲を索敵。
仮面七体をマーキングし五対十枚の翼で羽ばたく。
そばに着地後、翼を十本の漆黒剣に戻し、マーキングした仮面を次々に串刺す。
それから再び索敵マーキングしていく。
蛇竜ヴィーヴィルは魔素を吸収してしまったので<死せる戦士の剣>で倒したが、仮面には魔素を吸収される事も無いので漆黒剣でサクサクと突き刺し、斬り裂いていた。
反対側周辺ではケッティが黒影刀<闇竜>を振るい漆黒の軌跡が宙を斬り。
双子の幻獣兄妹もまた時計回りに突き抜け角で刺し牙で噛み千切って行く。
その姿に砦の堕天使達から歓声が沸き起こった。
もちろんグリゴリの堕天使達も創世主との百五十日間の戦いを耐え生き残った面子なので決して弱くはない。
だが強くなった私達は討伐スピードが段違いだったのだ。
「さぁ仕上げと行きましょうか」
「ボク達がもらっちゃうよぉ! ハティ!」
「はいなのぉ」
「スコルとハティはここまでも全速力だったのに元気なのニャ」
外周を倒しきり中央に残る仮面の天使を追いつめるように掃除。
結構な光の魔素も吸収する事ができた。
「気を抜くんじゃないわよ、仮面の奴らとは格が違う天使のお出ましよ」
「這い出してきた堕天使どもに仮面では役不足でしたか…………」
――――遠方の空から近づいて来ていたソレがエパルロラの砦の上空へと現れた。
それは、優美な顔立ち、手には槍を携え白い法衣に身を包んだ三対六枚の翼を持つ熾天使。
間違えない四大天使の一体であるガブリエルだ。
後ろには翼が二対四枚の中位天使が十二体。
それに先程倒した仮面の天使と同じに見えるもの達が三十六体控えている。
「わたしはガブリエル。
創世主様の代理人として遣わされました。
あなた達では創世主様には勝てませんよ。
創世主様の導きのままに恐れる事は無い死を受け入れなさい。
そして――過去に終止符を打ちましょう」
「そんな事にホイホイ従えるわけないだろう」
「そうだそうだ我々は創世主を倒す!」
「まったく創世主様の慈悲が分からない雑魚どもが…………」
そう言うとガブリエルは槍を天空に向けた。
それに呼応するように中位天使が端点となり上空で巨大な六芒星を描く。
仮面の天使は中位天使を守るように三体ずつ横についた。
中位天使の周囲が眩い光に包まれ、六芒星の中心に魔素が収束して行く――。
「これはあの時の極大魔法!?」
「ボク達の母さんを消したあの……」
「みんな離れるのニャ! あれは危険なのニャ」
ケッティが供に戦っていたグリゴリに注意を呼びかけた。
だが市街地にはまだ所々逃げ遅れた住人がいるようだ。
私はガブリエル達に向けて漆黒剣にを飛ばした。
ケッティは<ダークネス・ドッペル>で闇の分身体が三体作り出し、逃げ遅れた住人をなるべく離れた場所に退避させている。
スコルとハティも同じように住人を背中に乗せ走った。
<エアリアル・スキャン>で索敵した結果、市街地の中心には誰も居ないようだ――。
「土の霊素よ、我が身に宿れ、<アース・ウォール>!」
着弾予測地点の地面を深く下げ、非戦闘員が多そうな方向を中心に分厚い土の壁を形成。
漆黒剣はガブリエルに軽く落されたが再度展開。
次の瞬間――――
一瞬無音で光が叩きつけ、遅れて轟音を立てながら光が滝のように降り注ぐ。
咄嗟に再展開した漆黒剣を漏斗のように配置。
剣は瞬く間に消されたが光の初動を少しだけは誘導した。
「風の霊素よ、我が身に宿れ、<エアリアル・ウォール>!」
降り注ぐ光を囲むように風の壁を作り爆風の向きを少しでも上に反らす。
光の柱が激しい衝撃波とともに消えた。
市街地の中心には底の見えない黒々とした大穴が開いていた。
全てを飲み込むかの如く大穴の傍に建っていた建物は中へと崩れ落ち、セレフコス川の水も吸い込まれるように流れて行く。




