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41話「神龍、【ダンジョン】に降り立つ!」

三章です!

この物語に登場する国や組織なんかは同じ名前でも違うものです!フィクションです!

 

 20XX年、魔物が地上を跋扈し始めてからそれを更に煽らんとする出来事が起きた。


 それは日本列島に出現した三体の強大な魔物であった。


 北海道に出現した『大海の怪物』クラーケン。

 関東地方に出現した『大太郎の巨人』デイダラボッチ。

 関西地方に出現した『九尾の狐』クラマ。


 同じ様に強大な魔物が複数同時に出現した国がいくつかあった。

 それら全ては被害状況を並べれば切りが無く、死者行方不明者は数万にも登っていた。

 更に、以前として討伐されておらず休眠または封印されて終結した例もある。


 しかしそんな中、全世界中で最小限の犠牲で乗り切っていたのは日本であった。


 被害は大きかったが死者行方不明者は合計して万を超えることはなく、全て討伐すると言う異常事態とまでされた。


 その根本たる状況を作り出した人物はデイダラボッチを一人で討伐し、他の日本在住の冒険者がクラーケンを討伐するまでクラマを足止めし続けたと言う。


 まさに、伝説と言われるに等しく名実ともに日本最強の座を手に入れていた。


 そして、そんな人物は今⋯⋯


「勝手にしやがれバカヤロオオオオオオオオオォォッッ!」


「ちょっ! 流君!?」


 室内の側面に大きく貼られている窓を開けそのまま空へ飛び立っていった。文字通り、遠く彼方へ飛び立っていった。


 つまり、源二が許可証を貰うために流の部屋にやって来たところまで遡るのだ。


 ◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


「くっそぉ⋯⋯何だよ何だよあいつ等⋯⋯俺を無視しやがって⋯⋯そんなに俺が邪魔ならこっちから願い下げだっつうの!」


 空気が流のために道を作っているかのように、重力が流のために反転し働いているかのように自然な動きで宙を滑る流。


 左目が空色、右目が金色の瞳から涙を流しながら⋯⋯涙を流したおかげでカラコンが外れ更に涙を流し、拭いながら北に向かって飛んでいた。


「⋯⋯ずびっ⋯⋯だいたい、字とか読むの面倒なのに何で俺に押し付けるかな⋯⋯んなもんゼッテー無くすだろ」


 高いところで、高いワインをグラスに注ぎ「今日の美しい夜に乾杯⋯⋯」とかやりたいなぁ、と思っただけでギルドマスターに就任した流。


 しかし、待っていた現実は非情に残酷でワインすら飲むことはできず書類捌きの日常。せめてもの抗いとして高い革製の椅子を購入したのだ。


「あ゛あ゛ぁ⋯⋯こんなことならギルマスなんかになるんじゃなかったな⋯⋯冒険者で暴れていた方がずっと面白い⋯⋯そうだ!」


 空を滑空する中で流は一つの名案を思いついてしまった。

 その原因は彼の視線の先に見える⋯⋯


「これ潰せば少しは仕事量減るかもっ!」


【妖物のダンジョン】であった。


 当然、仕事量が減るはずもない⋯⋯寧ろ増えるだろう。しかし、考える力がアレな彼には只々目先の利益しか見えていないのだ。


 ◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


【妖物のダンジョン】ーーそこは中国寄りの日本海に出現した【ダンジョン】である。


 主導となって攻略を進めているのは中国と韓国。

 一度目の大々的な攻略は一階層突破で軍、冒険者がほぼ壊滅する事態に陥っていた。


 そのお陰で、以降は “命の保証は無く、死んだとしても捜索はしない” と言う旨の誓約書にサインをした者の立ち入りは自由となっていた。


 他の国でも似たような事をしているが真っ先に行われたのがここであった。


 その効果もありポツリと出現した島には多くの人で賑わっていた。


「うおぉぉ⋯⋯流石大国⋯⋯人口の多さは半端じゃねえな」


 何も考えずに空から降りてきた流は何事もなかったように人混みの中をスルスルと抜けていく。


 まるで、流の周囲に別の力が働いているかのように人々が気にせず、無意識のうちに退いているようにも見える。


「ほぉ⋯⋯ここが【ダンジョン】の入り口か」


 問題なく辿り着いた場所には入り口を守る意味で立っている軍人と受付を行なっている女性が数人いた。


 各々が冒険者用の証明書か誓約書の引き換えを持ち、受付嬢に見せてから【ダンジョン】に向かっていた。


 流はこの瞬間全てを理解した⋯⋯ここで第一印象が決まると!


 襟を立たせ、裾を波立たせ眼光に力を入れる。

 そして、横並びになる受付嬢を選別。誰が一番仕事が丁寧か、誰が一番捌きが早いか、そして⋯⋯誰が一番好みかを()()()で判断する。


 この間、僅かコンマ数秒。


 そして、当たりをつけた流もまた同じように進み、冒険者カードを見せると、


「#&▲%□⋯⋯Ω*¢£○☆!?」


 驚かれた。


 横髪を三つ編みで結い、後ろで結ぶスタイルの髪型。おっとりとしているが深い二重の瞳。当然色は黒。

 線が細く、ガラス細工のように整った流好みの受付嬢はその美しい造形を崩しかけながら驚いた。


「⋯⋯フッ」


 この瞬間、流は思った⋯⋯決まった、と。

 だが、流は気づいていない。今使った冒険者カードにはキチンと『日本支部ギルドマスター』の肩書きが()()()書かれていることに。


『えっと⋯⋯日本のギルドマスター様がどう言ったご用件でこちらへ?』


「⋯⋯」


 おずおず、と言った様子で話す受付嬢。しかし、流には言語知識は備わっていない! ならば残された手段はーー


「⋯⋯クククッ、問題は無い! その血塗られた歴史に終止符を打つために我ーー神龍は降りたったのだ!」


 ーー感覚と感性によって導き出されるフィーリングに頼る。


『⋯⋯? えぇっと、【ダンジョン】の方への調査なのでしょうか?』


「迷い、惑うのも仕方無し。だが、その迷宮は既に一条の光が見えている。神のみぞ知る唯一絶対の答えがな!」


『⋯⋯? と、とりあえず【ダンジョン】へ入られるということでよろしいですか?』


「無論!」


『わ、分かりました』


 大仰に頷く流を見た受付嬢はそう言うと【ダンジョン】への入場登録を済ませ、丁寧なことに【ダンジョン】の入り口まで案内もしてくれた。


 お陰で流は人の波に飲まれることなく【妖物のダンジョン】へ足を踏み入れた。


『⋯⋯』


『さっきの方ギルドマスターなの?』


『あ、先輩⋯⋯』


 呆然と流の背中を見送っていた受付嬢に別の風格ある受付嬢が話しかけてきた。


『ギルドマスターが来るなんて話聞いてたかしら?』


『いえ、私も何も聞いていません』


『そうよね。はぁ、まったく、上の人間は本当に適当なんだから⋯⋯少しは下で働く身にもなって欲しいわね』


『あはは、そうですね』


 軽く愚痴を零し切った二人の受付嬢は今も列になっている仕事を捌くために定位置へと戻っていくのだった。


 ◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾️◆◾


「ほぉ〜、これが【ダンジョン】かぁ」


【ダンジョン】に本格的に乗り込んだ流はかなり感動していた。

 それもそのはず、流は外では魔物を狩ったことがあるが【ダンジョン】には初挑戦なのだ。


 ゴツゴツとした壁と地面。まさに洞窟の一言に尽きてしまうがそれだけでは終わらない。

 所々に足元から周囲を薄っすらと輝く紫色のクリスタルが妖しく、しかし何処か幻想的な空間を作り出している。


「クククッ⋯⋯ここが我にとって約束された地であると同時に歴史を語る始まりの場所となるわけ⋯⋯か。高鳴る⋯⋯高鳴るぞッ! フハハハハハハハッ!」


 右腕を振り払いコートの裾をバサァ! きっと一部の人にとっては日常であり、憧れである決めをとり高笑いしながら進む流。


 当然、他にも冒険者はいるが聞こえたとしても知らないふりをするだろう。が、


「グギギ⋯⋯」

「ガガギギッ⋯⋯」

「ギギッ⋯⋯」


 魔物は別である。


「ーー、一、二、三⋯⋯っと、存外にお客が多い⋯⋯か」


 流の前に姿を現したのは数体の魔物。


 人間と同じように二足歩行を行い、人間の子供と同じくらいの身長を持つ。しかし、その肌は黒と緑を混ぜたように濁っている。

 開き切った赤い瞳は常に飢えた獣のように爛々とし、手に持つ切れ味の悪そうなナイフは狩人であることを強調しているかのようだ。


「ゴブリンか⋯⋯」


「ギィギィッ!」

「ガギャガギャッ!」

「グガギャギャギャッ!」


 ニタニタと笑いながら距離を詰めてくる数体のゴブリン。その様子はまるで罠にかかった獲物を追い詰める狩人。しかし、


「手慣らしとしてゴブリンか⋯⋯この【ダンジョン】は闇の中で語られる契約(お約束)を守っているようだな。だがーー」


「ギャッギャッぎ⋯⋯ぃ⋯⋯?」


 唐突に先頭に立っていたゴブリンの首が落ちた。なんの前触れもなく突然に。


「ギャッ!?」

「グギャギャッ!?」


「この様な下等生物では我に触れること⋯⋯いやーー」


「ギャぎ⋯⋯ぃ⋯⋯」

「グッ⋯⋯ゥ⋯⋯」


 次々に落ちるゴブリンの首。一切の慈悲もなく、一瞬の前触れもない。

 ただそれが定められていたかの様に切り離され、生きる意味を失った体が地を這い、そして還っていく。


「ーー我を見続けることにすら辿り着けてなどいない」


 流の背後で何かを落とした様な乾いた音が響く。それを聞けば更なる高揚が彼を押し上げる。


「クククッ⋯⋯嗚呼、右目が疼く。そうだ⋯⋯足りない⋯⋯足りないな。クククッ⋯⋯カカカッ!」


 右目を軽く覆いながらしっかりとした足取りで流は【ダンジョン】の奥へと進んで行った。


初っ端から暴走していく流君。

作者の限界がくるまでこの暴走は続くでしょう。

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