表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/188

116 四天魔将の実力

「我が槍に喰われろ魔王!」


 グリュンブリンが転んで動けないアーシュに槍を突き出す。


 黒く禍々しい槍は先端がぱくりと割れて、牙の生えそろった大きな(あぎと)と化してアーシュに迫る。


「間に合えっ!」


 私はギリギリで、グリュンブリンとアーシュのあいだに割りこんだ。


 ルイスからラーニングした防御障壁を展開しつつ、無念の杖を取り出して前にかざす。


 グリュンブリンの魔槍は、防御障壁を食い破り、無念の杖にがっちりと噛みついた。


 無念の杖がぎしぎしと音を立てて震えてる。


「アーシュ! 逃げて! 長くはもたないよ!」


 私は冷たい汗を全身にかきながら、背後のアーシュにそう叫ぶ。


「あ、足が動かないんです! 足首が曲がって――」


 アーシュの悲鳴に、目の端だけで背後を見る。

 アーシュが足首を押さえてる。

 たぶんねんざだ。

 人間なら痛みをがまんして逃げることもできそうだが、肉体を手に入れて間もないアーシュは、未知の痛みに怯えてる。


「足が折れてもいいから走って! あとで治してあげるから!」


「ぐぅっ、くっ……わ、わかり――」


「わたしを前におしゃべりとはいい度胸だな、羽虫!」


 無念の杖に食い止められた魔槍を右手一本で支えながら、グリュンブリンは空いた左の手のひらを上にかざす。


 激烈に嫌な予感がした。


「くっ!」


 私はむりやり後ろに飛んでアーシュを突き飛ばす。

 そのはずみで無念の杖から魔槍が外れ、私の右肩をかすめてすぎた。

 それだけで、ドロップアイテムのショルダーガードが砕け散り、激痛とともに右肩から血が噴き出した。


「み、ミナト!」


 地面に倒れる私に、突き飛ばされて腰を抜かしたアーシュが叫ぶ。


(だから……逃げろよ!)


 叫んだつもりだったが、喉からは声が出なかった。


 右肩から邪悪な波動が侵入してきて、私の身体を痙攣させたからだ。


「メインディッシュ前の余興としては悪くなかったぞ。

 だが――これで終わりだ、羽虫!」


 グリュンブリンは、左手に生み出したもう一本の魔槍を私に向かって突き出し――



「だ、だめえええええっ!」



 瞬間、白い光が私の意識を埋め尽くした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ