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「可愛くても足はない! 癒し女のおみっちゃん!」
この物語は、クセのある幽霊が国民的テレビアニメになれるようなキャラ文芸的な日常を描く。
「それを拒否する。」
拒否女の乃木子とおみっちゃんの友情の物語である。
「エヘッ。」
エヘ幽霊のおみっちゃんが笑って誤魔化して始まり。
「ふん! ふん!」
乃木子がスリッパを振り回している。
「乃木子ちゃん何してるの?」
おみっちゃんが尋ねる。
「前回、百目ちゃんのコンビニを破壊したでしょ。」
「うん。あと片づけに一晩費やして、睡眠不足で眠たいよ。ふわ~。」
欠伸をして自分は頑張りましたアピールをするエヘ幽霊。
「その時に壊れた壁のコンクリートの破片で餓ッ鬼ーをどつきまくったでしょ。」
「当然です! 餓ッ鬼ーがコンビニ破壊の首謀者だもの。」
「そうそう。」
納得し合う拒否女とエヘ幽霊。
「その時、気づいたの。主人公の私が妖怪・あやかしを使って戦うゲームより、主役である私にも何か武器があって、自ら先頭を切って戦場に出て行ける方が盛り上がるんじゃないだろうかと。」
「いいアイデアですね。」
「そこで重たいコンクリートの破片は手首を痛めたので、軽いスリッパの素振りから始めようと思って。」
乃木子は転生の才能でスリッパを振り回す。
「おみっちゃん、試しに叩かれてみて。」
「いいけど。私、幽霊だからスリッパは当たらないわよ。」
乃木子のスリッパはおみっちゃんの体をすり抜けた。
「ほらね。だって私は可愛い幽霊おみっちゃん。エヘッ。」
調子にのって、歌って踊り出すエヘ幽霊。
「これならどうかしら? 霊力注入!」
乃木子は自分の霊力をスリッパに注ぎ込んだ。
「おみっちゃん。もう一度、叩いていい?」
「何度でもいいわよ。だって私は可愛いエヘ幽霊。エヘッ。」
「許可は得た。」
乃木子はスリッパを構え、霊力を注いだスリッパでおみっちゃんの頭を叩く。
「ギャア!?」
乃木子の一撃はおみっちゃんにヒットした。
「痛い!? なにするんですか!?」
「叩く許可はもらったはずよ。」
霊力注入したスリッパは幽霊を殴ることができたのだ。
「これなら私も妖怪・あやかしと戦える!」
乃木子は戦士として目覚めた。
「はあ!? 痛い!? ・・・ということは、私! 生き返ったんだわ!」
おみっちゃんは勘違いに目覚めた。
「これで美味しいものが食べられる! オシャレな服も着れる! イケメンの男とも遊べるんだわ! エヘエヘエヘッ。」
「ワッハッハ!」
不敵に笑い続ける乃木子とおみっちゃん。
「乃木子ちゃん、私を叩いたでしょ。私も乃木子ちゃんを叩いてもいい?」
「それを拒否する。」
拒否女とエヘ幽霊は仲良し。
つづく。