5-12
「可愛くても足はない! 癒し女のおみっちゃん!」
この物語は、クセのある幽霊が国民的テレビアニメになれるような日常を描く物語である。
「エヘッ。」
おみっちゃんが笑って誤魔化して始まり。
「おみっちゃん、カワイイ。」
「そう? エヘッ。」
乃木子がおみっちゃんに声をかけ、まんざらでもないおみっちゃんは笑顔になる。
「おみっちゃん、すてき。」
「やめてよ。照れるから。エヘッ。」
エヘ幽霊の宿命であった。
「ちょっと! 遊ばないでよ!」
「バレたか。」
乃木子とおみっちゃんは仲良く遊んでいる。
「う~ん。」
乃木子が何か悩んでいる。
「どうしたの? 便秘なの?」
おみっちゃんが心配して声をかける。
「実はそうなの、もう3日も出てないの・・・違うわい!」
乃木子はノリッツコミもできるみたい。
「さっきの借りは返したわよ。エヘッ。」
これがおみっちゃんのエヘ返し。
「で、どうしたの?」
おみっちゃんが聞き直す。
「今後の展開を悩んでいるのよ。」
「今後の展開?」
「アイデアは3つあるのよ。1つ目は神社仏閣ロワイヤルを始める。2つ目は幽霊のおみっちゃんが現世の街に遊びに行く。3つ目が人間界でバイヤーになり、仕入れた商品を妖界のコンビニ桔梗屋で販売するというアイデアよ。どうしようかな?」
乃木子は物語の進行に悩んでいた。
「そんなの簡単よ。」
「え?」
「私は全部やりたい。」
おみっちゃんの言葉に迷いはなかった。
「せっかく現世に甦ったんだから、全国制覇もしたいし、昔とは違う今の日本も見てみたいし、なんか商売も楽しそう。私、昔は耳かき専門店を営んでいたんだか。大丈夫よ。」
おみっちゃんは幽霊だが力強い返事が返ってきた。
「そ、そうね。なんだか悩んでいた自分がバカバカしく思えてきたわ。」
乃木子も悩むのを止めて、物事を前向きに考え始め、表情が明るくなってきた。
「大丈夫。なんとかなるよ。」
「そうね。おみっちゃんが言うんだもの。」
「そうだよ。エヘッ。」
なぜエヘ幽霊で、このような前向きな展開になったのかは意味不明であるが、もしかしたらおみっちゃんは幽霊だが人間に勇気を与えることができる存在になるかもしれない。
「よし! そうと決まったら、行くわよ!」
「おお! 街に遊びに行こう!」
乃木子とおみっちゃんは意気投合。
「それは拒否。」
「え?」
乃木子とおみっちゃんは意気投合していなかった。
「青山霊園に行って、お化けや人魂を倒して集めて、おみっちゃんのレベル上げをしに行くのよ。」
「ええ!? そんな話は聞いてない!?」
「全国制覇するためにはレベル上げするしかないでしょう?」
「嫌!? お墓怖い!? 私、耳かきしかできません!?」
「幽霊が騒ぐな! 故郷に帰るだけだろうが!」
「あ、そっか。なんだ~・・・嫌! やっぱりお墓は嫌だ! 私いかない! お家でお団子食べるんだ!」
「それも拒否する。」
これでも乃木子とおみっちゃんは仲良し。
つづく。




