5-11
「可愛くても足はない! 癒し女のおみっちゃん!」
この物語は、クセのある幽霊が国民的テレビアニメになれるような日常を描く物語である。
「エヘッ。」
おみっちゃんが笑って誤魔化して始まり。
「ここは・・・。」
「赤坂王子稲荷神社よ。」
乃木子はおみっちゃんを赤い鳥居の連なる前に連れて来た。
「この鳥居を通っていくと、異世界にたどり着くのよ!」
「ええ!? そうなの!?」
「もちろん、霊感のある人間と妖怪・あやかしだけね。たぶん。」
「すごい! 行こう! 行こう! 妖界へ!」
難しダジャレ・ギャグだが、おみっちゃんは妖怪・あやかしの世界の妖界に行ってみたいと張り切っている。
「行くわよ! なんか妖界!」
「おお!」
鳥居を進み、乃木子とおみっちゃんは異世界にワープする。
「これが妖界?」
「そうよ。この何にも無いのが妖界よ。」
妖界は、華やかだろうというおみっちゃんの予想に反し、昔の江戸時代のように静かで何もない旧街道のようなところに降り立ってしまった。
「さ、寂しい・・・。」
おみっちゃんは絶望した。
「大丈夫よ。コンビニはあるから。」
「ええ!? コンビニはあるの!?」
「ほら、あそこに。」
「どれどれ!?」
乃木子が指さす先に、コンビニがあった。
「コンビニ・・・桔梗屋!?」
「もちろん24時間営業で全国チェーンよ!」
コンビニの名前は桔梗屋だった。
「行きましょう。」
「うん。」
乃木子とおみっちゃんは桔梗屋に行くことにした。
「いらっしゃいませ。乃木子様。」
店員のお化けが挨拶をする。この時点で店員に個性はない。だが店員さんが卑怯にピザをデリバリーするなど話を膨らませることはできるだろう。
「こんばんわ。」
乃木子は店員と顔なじみらしい。
「なんかディープなスポットね・・・。」
店内は薄暗く、取り扱う商品もお墓とか、提灯とか、呪いの人形とか不気味な商品が多かった。
「ゲッソリしてきた・・・。」
幽霊のおみっちゃんがゲッソリする品揃えであった。
「乃木子ちゃん、私、トイレに行って来る。」
足はなくても尿素は感じるエヘ幽霊であった。
「いいけど、ここのトイレは便器から河童が出るわよ。」
「嫌~!!! 痴漢~!!!」
用を足してからだと18禁になるので、先に行って回避する。
「もう嫌だ・・・帰りたい。」
おみっちゃんは幽霊だけど完全にゲッソリした。
「んん!? なんだ!? あそこだけ輝いている!?」
おみっちゃんはコンビニの一部に輝いている場所を見つける。
「カワイイ! サンタクロースのコスプレ衣装!」
これを書いている時が12月であった。
「それは私が現世で仕入れて、妖界で桔梗屋さんの強力の元、販売させてもらっているのよ。」
もちろん売り上げは桔梗屋グループでランキング1位である。
「すごい! 乃木子は商才があるのね!」
「そうなの。おみっちゃん、今度、現世のディスカウントストアに買いつけに行きましょう。」
「行く! 行ってみたい! 乃木子ちゃん大好き! エヘッ!」
いつも仲良しな乃木子とおみっちゃんであった。
つづく。




