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5-10

「可愛くても足はない! 癒し女のおみっちゃん!」

この物語は、クセのある幽霊が国民的テレビアニメになれるような日常を描く物語である。

「エヘッ。」

おみっちゃんが笑って誤魔化して始まり。


「おみっちゃん、飴ちゃんをあげるわ。」

乃木子はキラキラ光る宝石のような飴玉を差し出す。

「うわ~! きれい! 本当にもらっていいの!?」

「いいのよ。」

「ありがとう。エヘッ。」

ゴックンとおみっちゃんは幽霊なのに呑み込んだ。しかし、飴玉は透けて床に落ちない。

「どういたしまして。」

乃木子はニヤッと笑う。

「ワッハッハー!」

いきなり乃木子は笑い出す。

「引っかかったわね! エヘ幽霊!」

「なに!?」

「あなたが飲んだのはの乃木の宝石よ。飲んだあなたは乃木神社の正統継承者の私の言うことには絶対服従するのよ!」

「謀ったな!? 拒否女!」

拒否女、拒否少女、拒否巫女・・・拒否ガールの方がしっくりか。

「これでおみっちゃんは私の命令には従ってもらうわよ。」

「嫌だ! 拒否させてもらう!」

逃げようとするおみっちゃんは、飼い主の乃木子に似てきた。

「逃がさないよ! おみっちゃん! おいで、おいで、こっちへおいで。」

乃木子が不気味におみっちゃんを手招きする。

「うわあ!? 体が引き寄せられる!?」

おみっちゃんは乃木子の方へ見えない力で引き寄せられる。

「ようこそ。優しくてカワイイ乃木子の元へ。エヘッ。」

乃木子は目の前に来た、おみっちゃんに微笑む。

「どこが!? 地獄の三丁目の入り口じゃない!?」

おみっちゃんは天国と地獄の違いが分かるらしい。

「乃木神社、正統継承者、乃木子が命令する。おみっちゃんは私以外の者に憑りつくことはできない!」

「は・・・い。」

乃木の宝石の拘束力なのか、おみっちゃんは拒否できなかった。

「いい、おみっちゃん。私のお父さんやお母さんは霊感が無いの。おみっちゃんの姿も見えないし、おみっちゃんに憑りつかれたら、さあ大変なの。だから、私以外に憑りついちゃダメよ。」

「はい。」

拒否できないおみっちゃんは素直に乃木子の言うことを受け入れた。

「はあ・・・。」

怒られてしょんぼりするおみっちゃん。

「その代り、妖怪・あやかし専用のマーケットに連れて行ってあげる。」

「え!? 本当!?」

暗かったおみっちゃんの顔に女子が大好きなお買い物と聞いて笑顔が戻る。

「本当よ。身の回りの物を揃えましょうね。もちろん、幽霊専用よ。」

「乃木子、大好き!」

単純なおみっちゃんと乃木子は仲良しに戻った。


つづく。

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