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「可愛くても足はない! 癒し女のおみっちゃん!」
この物語は、クセのある幽霊が国民的テレビアニメになれるような日常を描く物語である。
「70位までね。」
おみっちゃんが考え込んでいる。
「どうしたの? おみっちゃん。」
又ちゃんが現れる。
「あ、又ちゃん。」
「どりゃああああああ!? 恥ずかしいから又ちゃんって呼ばないで!?」
ここまではお約束。
「アルフ〇のキャラ文芸コンテストで70位までしかいけない・・・。」
「クスッ。」
又ちゃんは、つい笑ってしまう。参加者が少ないのも分かる。
「何がおかしいのよ?」
「だって、上位の顔ぶれを見たことある?」
「ない。」
「上位は書籍化作品で固められているのよ。カクヨ〇や、なろ〇のランキングと一緒の固定制よ。」
たぶん、そう思われても仕方がない状態である。
「やはり、ここも出版社にコネ無しは用がないんだわ・・・。しくしく。」
「泣かないで!? おみっちゃん!?」
この辺が出版社の仕掛け売り意外、ネット小説が盛り上がらない原因である。
「クソっ! おもしろくねえ。」
お江戸悪徳商会の副社長ぬらりひょんは不機嫌だった。
「同時進行の異世界ファンタジーものはストーリーがあり盛り上がっているのに、どうして、こっちはストーリーがないんだ!? しかも、まだキャラクター設定中だと!? ふざけるな!」
これがぬらりひょんの激怒の原因である。
「まあまあ、ぬらりひょん様。」
「火車か。」
そこに手下の火車が止めに入る。
「この前は3万字制限で、私がおみっちゃんのサンマ定食屋を放火して燃えて話が終わったんですから。それに妖怪って人数が意外に少ないんですよ。これが話が広がらない原因です。世界観を作るのに時間がかかっても止む得ませんよ。」
「バカ者!!!」
それでも、ぬらりひょんの怒りは収まらない。
「いったい、いつまで本編を待たせるんだ! 私が社長の座に座るのに何年、いや、何千年待たせるつもりだ!? 流石の私もしわしわの爺さんになってしまったではないか!? 人員が足りないだと!? なら私が悪役を増やしてやろうじゃないか! これでも食らえ!」
「ギャア!?」
ぬらりひょんは火車に呪いをかける。
「できたぞ。」
火車の横に火車ソックリの者が多数現れた。
「水車。」
「風車。」
「雷車。」
「土砂。」
それぞれ自然属性の違う火車が現れた。
「ゲッ!? 俺ソックリ!?」
火車も4車も新投入されたので驚いた。
「小説って奴は、こうしてスケールを大きくしていくんだよ。ラノベなんだから何でも好きに創作しないと損だろ? ワッハッハー!」
「さすが、ぬらりひょん様。」
こうしてガス屋の火車だけでなく、水道局の水車、風力発電屋の風車、雷観測屋の雷車、土木作業屋の土車が現れた。
「結局、妖怪・あやかしものっていったって、戦闘、戦闘しないと盛り上がらないのよね。」
「地味な会話だけだとアニメ制作会社が売れないって、嫌がるからね。」
まだまだ困っている、おみっちゃんと又ちゃんであった。
「エヘッ。」
最後は、おみっちゃんが笑って誤魔化して終わり。
つづく