３話
「絶対？ 本当に？ 絶対に解けない謎はない！ 私が絶対法則をぶち壊す！」
この物語は、性格にクセのある女子高生探偵が登場するライトミステリーである。
「ギャア！？ 右のポケットに入れた給食費がない！？」
学校では事件が起こっていた。事件の内容は北野北さんの給食費がなくなっていたというものだった。
「誰だ！？ 私の給食費をネコババしたのは！？ 返せ！ 私の給食費！」
北さんの心の叫びが教室に響き渡る。
「セーフ！ セーフ！」
「間に合ったね、鈴ちゃん。」
「私の辞書に遅刻の二文字はないのだよ！ ワッハッハー！」
その時、教室で事件が起きているとは知らずに、鈴木鈴と南野南がやって来た。
「ジ・・・。」
「ど、どうしたの？」
「じ、実は・・・。」
「ふむふむ。」
クラスメートは空気を読めない鈴と南を冷たい目線でガン見する。戸惑いながらも、鈴と南は経緯を聞くのだった。
「なんだって！？ 北さんの給食費が消えただと！？」
「これは事件よ！ 鈴ちゃんの出番ね！」
「イエーイ！」
笑顔でハイタッチをする鈴と南はハイテンションで喜んだ。
「人の不幸なのに、どうしてそんなに嬉しいのよ・・・。」
「人の不幸は蜜の味ってね！」
「やめて！ 鈴ちゃんのイメージが壊れすぎる！」
「ギャア！？」
悪い鈴が出てきたところで南が、どこからかハリセンを取り出して叩き、鈴の悪い口を塞ぐために吹き飛ばす。
「今回ばかりは、霊感の強い鈴ちゃんでも無理よ。」
「そうかな？」
鈴は持ち前の特殊能力で、学校でも事件を解決したり、探し物を見つけ出したりしているので、霊感が強い女の子という有名人であった。
「絶対に無理よ！」
給食費は戻ってこないと諦めて自暴自棄になる北さん。
「絶対に？」
鈴は思春期だからか絶対にという言葉に敏感だった。
「絶対？ 本当に？ 絶対に解けない謎はない！ 私が絶対法則をぶち壊す！」
「わ～い！ キャッチコピーにつながったね！」
「ありがとう！ 南ちゃん！」
ビシッと決めゼリフと決めポーズを決める鈴。南は鈴のファンであり、助手であり、友達であった。
「あんたたち・・・本気で探す気があるの？」
北さんは浮かれてはしゃいでいる鈴と南を疑いの目で見る。
「うちの鈴ちゃんに限って、解けない謎はありません！ 絶対に問題を解決するんだから！」
「ワン！」
「キャア！？」
「クンクン。」
鈴は犬のように北さんの臭いを嗅ぎ始めた。
「でた！ 絶対に謎を解く、鈴ちゃんのミステリアス・ドック！」
南ちゃんも、まだ命名には確信が持てない。
「分かったわ！ 北さんの給食費は・・・左のポケットに入っている！」
「うわあ！？ あった！ 私の給食費！」
北さんが左のポケットを調べると給食費の入った封筒が入っていた。
「よかったね、北さん。」
「ありがとう！ 鈴ちゃん！」
こうして消えた北さんの給食費事件は解決した。
「よしよし。鈴ちゃん。」
「ワン。」
鈴は南ちゃんの膝の上が大好きだった。
つづく。
